第5話 蒼天の霹靂

朝、教室に入ろうとすると教室のドアの前で倒れている生徒が数人いる。一瞬心配したが全員笑顔で全員HMA会のメンバーだということに気づき、

心配することをやめた。どうせまた遥香のこと見て倒れただけだろう。ドアを開けて見るとHMA会が倒れた理由が分かった。

「遥香、珍しいね髪型変えるなんて」

遥香は昔からストレートばかりだったが、今日は違う。ツインテールをしていた。そんなに高い位置じゃないのは恥ずかしいからだろうか

「おはよう、颯、ちょっとイメチェンして見たく

 てね!どう?」

「うん、似合ってるよ、可愛いと思う」

「か、可愛い...?そ、そこまで言わなくてもいい

 のに...///」

遥香は頬を押さえながら明後日の方を向きながらもじもじしている。そんなに嬉しいのかな?

このタイミングで来た美月とマサ

「おはよー、あれ遥香どうした?」

「ごめん、今ちょっと悶えてる」

え、そんなにショックだった?ひどくない?

「変な遥香、それより私今日ちょっと違うんだけ

 ど気づかない?」

「えっ、美月も今日何か変えたの?」

「うん!あ、そういえば遥香がツインテールなん

 て珍しい!」

みんな、なぜこんなタイミングで色々変え始めたのだろうか、

「えー?美月の変わったところ?痩せた?」

「マサ、嫌い」

本当にデリカシーもクソもないなこいつ

するとほのかに甘めの香りがした。

「なんか、甘い香りしない?」

「そう!シャンプー変えてみたの!どう!?」

「うん、今まで使ってたのもよかったけど、今回

 のもいいね素敵だよ?」

「そ、そう?あ、ありがとう...//」

美月は急に髪の毛を指でくるくるしながらそっぽ向いている。少し小さな声で「へへへ...」と聞こえる。ここまで変わる人が多いと天道さんにも期待してしまう。しかし、期待に反しなんの変化もなく天道さんは現れた。

「おはよう、天道さん」

「おはよう!颯くん!」

ん?颯くん?今までそう呼んでたっけ?まぁいいか、天道さんは席に着くとハンドクリームを塗り始めた。

「あれ?菜緒ちゃんハンドクリーム変えた?」

「うん!遥香ちゃんも髪型変えたんだ!美月ちゃ

 んはシャンプー?」

「そう、変えてみたんだ〜あ、よかったらそのハンドクリーム少し付けさせて?」

「いいよ!はい、どうぞ」

「ありがとう〜!」

「あ、私も〜!」

「はいはーい」

「じゃあ俺も〜!」

「仕方ないなぁ500円だよ?」

「俺だけ有料!?」

「颯くんもつける?」

「うん、天道さんがいいなら」

「もちろん!」

すると天道さんは自分の手にクリームを乗っけそのまま僕の手に塗り始めた。

「天道さん!?自分で出来るよ!?」

「ん...?あ!ご、ごめん!//」

顔が真っ赤になっている。自分も顔が真っ赤なんだろう。めちゃくちゃ熱い。遥香と美月は口を開けてワナワナしている。マサはケラケラ笑ってる

何が面白いのか分からないけど、なんとなく助かった気がした。ただ3人の中で1番変化が大きかった気がする。そもそも3人急に変わった時点で変な話だ。まさか...確かめる必要があるな、その日の放課後、僕は天気雨神社に行くことにした。


放課後教室から出ようとすると3人に呼び止められた。

「ねぇ、颯くん一緒に帰らない?」

「えっ、いや今日はこのあと寄るところが...」 

「えっ、颯、私と帰ってくれるんじゃないの?」

「ちょっと美月!?いつそんな約束したの!?」

「そうだよ美月!颯は今日私と帰るんだから!」

「いや、そういうことじゃないよ!?」

3人は僕の声を聞かずずっと誰が一緒に帰るか話し合っている。嬉しいけどもはや怖い。

とりあえずすぐそばにいたマサを身代わりにして逃げるように教室からでて神社へ向かった。


神社に着くとすぐ琴子さんと好花さんを探した。

「琴子さん!好花さん!ちょっと!」

「ん?どうしました?颯さん?」

「油揚げ売り切れてたの?」

「違いますよ!昨日来た俺の友達、何願ったんで

 すか!」

「颯さん、昨日言いましたが人の願いを聞くなん

 てダメですよ、私たちも基本言ってはいけないとい

 う掟ですし」

「破っちゃうとその言った願いを叶えられなくな

 っちゃう」

「つまり最初から叶えるつもりのない願いは言っ

 てもいいけど、叶えるつもり、もしくは叶えて

 効果が続いている願いは言っちゃうと叶わなく

 なっちゃうと...」

「そういうことです」

「そっか...じゃあ、昨日みんながいくら使ったかは教えてもらえる!?」

それだけ分かるだけでも多少変わるのだが...

「それは...まぁ大丈夫ですかね、朝東風遥香さんが3000円、朔美月さんが5000円、天道菜緒さんが1万円です。」

全員願い叶えるためにガチすぎない...?

「ちなみにマサさんは4万円でした。」

「あいつバイト代のほとんどを突っ込んだの

 か...」

給料日前なのにもつのだろうか...

「あと、夏鈴ちゃんは毎日100円だよ?」

なんが1番安心する。とはいえ一月約3000円なのか...

「何かわかりました?」

「いや...なんとも言えないけど、でも3人の願いは

 叶えたんですよね?」

「はい!よくわかりましたね!」

「なんか今日みんな昨日と変わってきたので、遥

 香は髪型、美月はシャンプー、天道さんは僕の

 呼び方、あとなんか今までより触れる回数が増

 えた感じがあって」

「なるほど、そんなに強く叶えたつもりなかった

 んですけどね...」

「まぁ分かった、ここで何かを願ってみんなが変

 わったって分かったら多少安心するよ...」

「それならよかったです。あ、夏鈴さん!お帰り

 なさい!」

「ただいま、あ、颯さんこんにちは!来てくれた

 んですね!」

「うん、ちょっと気になることがあってね、でも

 解決しそうだから今日はもう帰ろうかな」

「そうなんですか...」

「...そういえば、油揚げが切れそうなんですよね

 ぇ〜」

「そういえば、そうだったね好花ちゃん」

「えっ、まだ少し残っていた気が...」

「いやいや!そんなことないですよ!ということ

 で颯さん!明日お願いします!!」

「えっ、あ、おぉ..分かったよ明日買ってくるよ」

「ありがとうございます!」

「ありがとう〜」

「本当にすみません」

「いいよ、気にしないで?笑じゃあ僕は今日はこ

 こで、また明日ね」

「はい、また明日」

「楽しみにしてますねー!」

「ばいばーい」

やっぱりあの3人が変わったのはこの神社、というかあの2人の願いを叶える力の影響だったか、

明日から何を願ったか考えながら話したりしてみるか、というか、4万も使ったのに叶えてもらえなかったのかマサ...


「好花さん、嘘はダメですよ、まだ全然残ってたでしょ?」

「ならもっと強く言ったらよかったじゃないです

 か?全然残ってるので大丈夫ですって」

「...ありがとうございます」

「いいんですよ(ニヤニヤ)」

「ニヤニヤ」

「ニヤニヤしないでください!」

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