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この国には約定がありました。
それは伝説になるほどの古い時代。
私たちの先祖は、この国の戦いに巻き込まれ、ある男を助けました。
最後まで勝ち進んだ男は王となり、我々に報酬を出しました。
平和な生活、安住の地。
そして王は約束します。
永遠に鬼人が心静かに暮らせるよう、不可侵とすること。
約束を違えたときは、我らにこの国を譲り渡すことを。
先祖たちも約束しました。
この国とこの国の人を護ること。
約束を違えたときは、我らはこの命を差し出すことを。
約定は守られていました。
約定は守られてきました。
我々は最後まで約束を守ったのです。
「姉様」
「陛下、カクムでございます」
「これでゆっくりとできますね」
「陛下?」
「この国、全部が聖域になりました。もう何も気にすることはありません」
「そうですか」
「だから姉様」
「コゴミ。またゆっくりと皆で暮らしましょう」
そう言いながら私が差し出した果実を嬉しそうな顔で受け取る貴方。
夏の太陽の下、貴方はもいだばかりの真っ赤な赤茄子を美味しそうに囓りました。
(了)
貴方が赤茄子を囓るまで でもん @daemon
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