朝陽のころに

開店時間になるといつもの常連客がニコニコしながらお店へ入ってくる。

メイドの私は早速机へと案内する。


「いらっしゃいませ!」


「あ~らおはようスグリちゃん」


「おはようございます!丹波さん」


丹波さんはいつも朝最初にお店に来てくれる常連客だ。そしていつもリンゴとナシのタルトパイを注文する。このお店は離れに果樹園も経営しているから、育てている果物を誉めてくれるのはもちろん嬉しい。


「朝早いのに元気ねぇ~。おばちゃんも元気貰っちゃおうかな~」


「ふふっそんなことないですよ。ではこちらの席へどうぞ」


「ありがとう。じゃあ今日もいつものやつを頂戴。」


「リンゴとナシのタルトパイですねかしこまりました。」





「すいませーんタルトパイ焼き上がりまであとどれくらいでしょうか」


「あと2~3分くらいかな焼きあがったら持って行くからスグリ

は他のお客さん通してあげて」


今タルトパイを焼いているのは果島≪かしま》ロメルさん。薄緑髪の女性で私がここで働くよりも前からここで働いている先輩。植物園を管理しているひとりで秋を担当している。凄く優しいけど果物のことになると時々人が変わります。


「わかりましたおねがいします」


テリア・デ・ノスタルジは季節によって厨房のマスターがかわるんです。

今は10月なので秋担当のロメルさんが担ってるって感じですね。

ちなみに春は八朔はっさくネオラさん。

夏は私、椨《たぶのき≫スグリが。

冬は甘陽≪あまばる≫セトカさんがやっています。


「おーいセトカさーーんそっちの接客手伝いますよ!」





……………


「別にいい。これくらい一人でできる」


「むぅ~~頼ってくれてもいいのに」


「まぁまぁセトカちゃんも悪気はないからね許してあげて」


慌てて仲介に入ったネオラさんのおかげでギスギスした雰囲気は無くなった

私とセトカはよく意見の食い違いで喧嘩しているのでなれた光景なのだろうけど。


「ネオが言うならまぁいいけど…ありがとう」


可愛い、とても可愛い


「えへへっありがとうセトカさん。今日も頑張りましょう!」


場にほっこりした雰囲気が流れた


朝陽は少しずつ角度を上げ、私たちを射している。

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