穏やかな日々

雨世界

1 ……私に甘えてもいいんだよ?

 穏やかな日々


 プロローグ


 ……私に甘えてもいいんだよ?


 本編

 

 私を救ってくれますか?


 穏やかな日々が好きだった。

 なにもない変凡な日々が、私の宝物だった。


 でも、そんななんでもない毎日が、急になくなることになった。それは、あなたのせいだった。……あなたに出会ったからだった。

 あなたに出会って、私の穏やかで、退屈で、平凡な日々はなくなった。


 私の日々は戦いの日々になった。


 それは私の望んだ未来ではなかった。

 でも、それはもう無理だった。


 生まれ変わったら猫になりたいと思っていた。

 猫になって、一日中、ぼんやりとして過ごしたいと思っていた。


 それが私の夢だった。


 でも、そんな私の夢は、変わってしまった。


 私は私ではなくなってしまった。


 もう以前の私はいなくなってしまった。


 私は新しい私になった。


 新しくなった私を、あなたに知ってもらいたいと思った。


 私の穏やかな日々はなくなった。


 もうそれは、二度と戻ってこない日々だった。


 ねえ?


 あなたは私のことをどう思っていますか?


 私のことを、ちゃんと見てくれていますか?


 私の思いは、あなたにきちんと届いていますか?


 私は不安なんです。


 私のことを、あなたはちゃんと、救ってくれますか?


 ……春の日。


 桜の花びらが舞っている。

 

 たくさんの桜。

 

 綺麗な花。


 ……私は、そんな桜の花びらが舞う風景を見ている。


 あなたを待ちながら。


 たくさんの思い出を、思い出しながら。


 あなたと出会ったときのことを、思い出しながら。


 あなたのことを待っている。


 私はいろんなものを失って、今、ここに立っている。


 私は戦うためにここにいる。


 強い私になるために。

 

 弱い自分とさよならをするために、ここにいる。


 やがて、あなたの姿が見える。


 ……あなたが、桜の舞う風景の中にいる。


 ゆっくりと歩いて私のところにやってくる。


 満開の桜の森の中で私たちは出会う。


 そして、一緒に、歩き出す。


 未来に向かって、歩いていくのだ。


 にっこりと笑って。


 あなたと一緒に。


 ……穏やかな日々に、さよならをして。


 戦うために。


 ……あなたと一緒に、生きていくために。


 歩き出すんだ。


 走り出すんだ。


 穏やかな日々 終わり

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穏やかな日々 雨世界 @amesekai

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