「悪人が複数集まれば、それが悪党ってか?議席はとれねえな」by ラックル
『…… ビク!!』
「よう、お目覚めかい?」
『??? ここはどこや?』
「どこかといわれてもなぁ。此処は何処でもあって何所でもないのさ」
『はぁ? なにふざけたこと言ってんねん』
「いやいや、一向にふざけてなどいないさ。あと、ここは向こうとも違ってねぇ。あんたが押し付けられたあの能力は使えねえよ」
『ちぇ、なんやこれ』
「ま、お上に目をつけられた自身の不運を呪うこったな。とりあえず、この世界でのアンタの役目を果たしたら、あんたは元居たクソったれな世界へ無事帰れる。ま、帰りたいかどうかは知らないが」
『あんたあの女神の仲間かなんかか?』
「いんや、そんな大層な存在じゃないさ。オレさんの名前はラックル。あんたと同じ、ろくでなしの人でなしさ。短い付き合いになるだろうが、まあよろしくしてやってくれや。あんたの名は?」
『…… ハンニバル・ダンタリオン。ってろくでなしってなんやねんゴラァ』
「おお怖い怖い。にしても、稀代の戦略家と悪魔の一柱を組み合わせた名前ねぇ。いやいや、なかなか素敵な名前だ。センスあるねぇ。一体どこまでが意図された産物で、どこからが偶然なのやら」
『意図された産物?』
「なぁに、ただの独り言だよ。そういちいち噛みついてきなさんな。それより、今はあんたの話だ。とりあえず、生前のアンタは何者だったんだ?」
『ふん、ただの奴隷プランテーション経営者や。死ぬ前の数年間は軍人やったけどな』
「あー、そういう感じか。道理で他のお仲間さんよりも匂いが薄いわけだ」
『匂い?』
「いや、なんでもねえよ。それより、アンタの他にも愉快な同類が向こうに放り込まれたんだろ?どんな面々だ?アンタ視点で適当に解説してくれや」
『知るわけないやろ。俺はあいつらん中でも一番早い時代からの人間や。でもまあ、ええやろ。鬼鞍はケンカ早くて血の気の多いやつや。ジャパンからって言っとたけどやっぱり侍は皆短気やな。トイフルシュタインは意外と幼稚なドイツ軍人。レヴィミルはロシアのツッコミ上手で筋肉馬鹿や。あいや、ロシアやのうてソビエト連邦? とか言う国って言ってたなーどうでもええわ。メフメトはオスマンの軍人、あそこはイスラム国家なのにそれとは違う変わったやつや。バスティエンはホントによくわからんで、ひ弱でおとなしいやつかと思えば、とんだ悪魔やであいつ。ベルギーって存在の薄い国からやけど』
「ホントに適当だな、おい。おもしれえからいいけどな。そんで、あんたらは向こうの世界で何をやらかすつもりだ?」
『さあ? Go with the flow 流れに従う』
「気の向くままにってか。まるで風来坊だな。いいんじゃねえか?」
『お前にどうこう言われる筋合いはねぇ』
「ちげえねえ。ま、せっかくもらった第二の人生だ。せいぜい楽しく使い潰せばいいさ。きっと、あっちの世界はお前さんたちを飽きさせはしないだろうよ」
『へ、言われなくても』
「そんなところで、そろそろ刻限だ。向こうへ戻る前に、一言残して逝けや」
『ってもう行くんか。マジでなにしにきたん?』
「そいつはお前さんたちは知る必要のない事だとさ。でもま、これでオレさんとお前の役目は終了だ。ごくろーさん。これを見てるお前さんらもお疲れさん。また会おうや」
『おい、俺のアクセント真似すんな』
↓悪党にも色々いるもので
[極転]極悪人の俺が戦死したら異世界に転生。その世界もクソだったので破壊します。
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