「取り巻きの方が優秀に見えるのは気のせいですかねー?」 byクレッセ


「どうもー、今回インタビューを申し付かりましたクレッセですー。ぶっちゃけ面倒なんで、前置き抜きでさっさと進行しますねー。今回のゲストさんどーぞー」


『ふははは! 俺の名はヴェルトロス・レクス! 名前の意味はドイツ語で「役立たずの王」って言うらしいぜ! 超かっけえだろ!』


《大猿のフロガさんが入室しました》


『俺様は猿のフロガ!! 面白そうな事やってっからついて来たぜ!!』


「はい、ようこそいらっしゃいましたー……と、言いたいところですが、これ、喚ぶ相手を間違えてないですかぁー?事前に渡された資料では、異世界の魔王が来るって話だったんですがー、この方、魔王の風格も威厳も弱いですよー?あと、しれっとお呼びでない方まで来てませんかねえ?」


『ふうかく? いげん? おいおい、難しい言葉で俺を攻めようたってそう簡単にはいかねぇぜ? 俺は魔王なんだからな!キリッ』


『弱いどころかコイツには無えんだよ。勘弁してやれ。ったく歴代魔王の名が泣くぜぇ? おい!!』


『歴代魔王なんていたのか……?』


「……えーと、じゃあ、魔王としてこれまで何をしてきたのか教えてくださいよー」


『先ず、食用スライムで村人に健康を与えた。次に俺の右腕ペットを作り遊んだ。後は、色んな魔物を召喚してわいわい遊ぶ。……な!! 魔王ってやっぱりかっけぇわ……。誰とでも仲良くなれる性質がある。ウムウム(-ω-)』


『これについては部下である俺様は魔王の考えを尊重する。と言っても……これじゃあ世界平和は出来るけど征服は出来ねぇって何時も論争起こってるけどな! ガハハハ!』


「後ろの方はともかく、最初の方は、ただ犬と戯れたりしてただけじゃないですかー。ていうか、よく考えれば後ろの方もおかしいですけどー。そして、おまけの方はこのまましれっと続投しますかそうですかー」


『戯れているだけ……? チッチッチ、分かってないなぁ。これは癒しというの名の回復行為何だよ。こんでぃしょんは最高でないと!』


《大猿のフロガさんが退出しました》

《神速の馬エクウスさんが入室しました》


『あぁ、本当にいつまで回復したら無能魔王は役に立ってくれるんだろうなぁ? てめぇは今の今まで有能な部下によって生かされてるんだ。しっかり部下に感謝してるかぁ? ワンバンで死ぬ雑魚魔王さんよぉ』


『何時もより当たりキツくね!?』


「続投するのかといった瞬間に、ピッチャーが交代しましたねー。リリーフを呼んだつもりはありませんがー。それは置いといて、ポンコツ臭が漂ってくるのは気のせいですかねー?まあ、仕方ないので信じてあげますけどー。じゃあ、自称魔王とやらが本来いた世界について教えて下さいなー」


『じしょう魔王……? ったく良い名前付けやがって。最初は兎に角平和で、魔物も魔王の存在すら知られていなかった世界だ。しかーし! 俺の活躍によって、人間と魔族が共存する瞬間がだんだんと作られて来たんだが……そこでけーわいの勇者が潰しにきやがった。まったく、平和に済ませるという考えは働かないのかねえ?』


『言っておくが、俺は人間と共存なんざ死んでも反対するからな。いつか夢が叶った時は真っ先にぶっ殺してやる』


「あー、やっぱり勇者とかいるんですねー。私も訳あって、これまでにいろいろな勇者を見てきましたが、どれもこれも酷いのばかりでしたねー。そっちの世界軸の勇者はどんな感じでしたかー?」


『勇者の活躍は詳しくは知らんが、チートみてぇな力使ってなんとしても魔王である俺をぶっ殺そうとしていたのは確かだな。確かに2〜3度追っ払ってんだけどなぁ。どうやらまだ生きているらしい。主人公補正っていうの? 勇者としては死んだら物語が終わるからな! 勇者じゃなくて、俺の視点を置いて欲しいぜ!』


《神速の馬エクウスさんが退出しました》

《勇者が入室しました》

《建築士の山田武さんが入室しました》


『ほんと全くだよな。こちとら訳も分からず魔王に召喚された身だってのに魔族じゃなくて勇者が活躍してるし……。俺、勇者側に寝返ろうかなぁ……』


「一応は、勇者として真っ当に活躍してたっぽいですねー。どこぞの軍資金をすべて遊郭につぎ込んだ似非勇者とはえらい違いですねー。そして、またもピッチャーが変わってますねぇー。今のところ、みんなワイルドピッチかデッドボールばかりですけどもー」


『なんだよその勇者。最高かよ。仲良くなれそうだな。俺のウルフをモフモフさせてやりたいぜ(´ω`)ヘヘッ』


『最低な勇者だなそれ。んな事言っても我ら魔王様は、逆に友好関係結ぼうとしている訳だ。まぁ、友達のいない魔王には丁度良いかもな』


「うわぁ、こっちはこっちで似非魔王でしたー。まああの絶対領域スキーな勇者の話はおいておくとして、暫定魔王は世界を征服した後どうするつもりなんですかー?」


『征服した後?あー、まぁ、とりあえず、楽園とか作っちゃう? 勇者の存在しない世界も良いな!』


『そういや庭師の玄三さんが畑作ってたよな? アレを拡張したらどうだ?』


「アバウトですねー。もっと具体的な目標を持ちましょうよー。例えば、野菜嫌いだから野菜の栽培禁止!とかー。退屈だから、全員宴会芸を披露して魔王を笑わせてみよ!とかー」


『なるほど……いやぁ、性に合わねえな。もっと癒しを……天界にも届くような。最高の……』


《建築士の山田武さんが退出しました》

《大魔王ルシファーさんが入室しました》


「人間を数十人単位で牢の中に閉じ込めて、供給されるわずかな食料をめぐって相争う様を鑑賞して愉悦に浸ったりとかー」


『待て待て待て! とんでもねえ事考えるな(; ゚д゚)……お前にはそんな事しか頭に考えられねぇのか? やばい。想像したら頭が痛くなってきた……』


『ククク……ハハハハ!! 素晴らしい事を考えるなクレッセよ。全人類を蹂躙し、絶望のどん底に堕とす。それこそが魔王という名に相応しき所業よ。我を部下とす魔王は見習って欲しい物だ』


「え?魔王って、そーゆー事を楽しむような、悪逆非道の巨悪じゃないんですか?あと、そこのお飾り魔王よりも魔王らしき存在がしれっと来ましたけどー?魔球とか投げるエースですよね、これー」


『あり得ねえ! 魔王が悪逆非道だって!? はっ! 聞いて呆れるな! 魔王は神様のように優しい存在だろぉ!?』


「むー、互いの"魔王"という肩書のイメージに齟齬があるようですねー」


『そう。正に極悪非道。一切の躊躇いが無く無慈悲。魔王はそうで無ければならない。だが、部下となった我に今の考えを覆す権利は無い。このまま平和な世界が訪れてしまうのだろうか……』


『ちがーう! そっちの魔王が間違っているんだ! 世界の均衡を保ち、国々の人々が平和に暮らし、自然豊かな、青い空と涼しい風が肌を撫でる! 笑顔溢れる世界を作るのが魔王だろうが! その逆で勇者の方が疑い深いぜ。相手の家族の事も考えずに、躊躇いなく、無情に、魔物を殺し続ける! そして魔王を倒そうとするなんて! マジねぇよな(・ω・)』


『全く呆れる! あぁ、地獄に帰りたい……』


《大魔王ルシファーさんが退出しました》


「アッハイ。……なんにせよ、目標を立てるなら、それを達成した後のことも視野に入れないとですよー?でないと、目標の大学に合格した途端に虚無感に襲われる学生みたいな、いわゆる燃え尽き症候群みたいになりかねませんからねー」


《勇者が退出しました》


『ほうほう。ガクセイとかダイガクとかよく分かんねえけど、良く分かったぜ!』


「言葉が矛盾しまくってますねー。まあ、そもそも計画なんて立てない僕が言えたセリフではないですけどねー」


『そうだな! 計画なんて要らねえ! こんなもん成り行きだ。成り行き』


《勇者が入室しました》


「それには同意するのですよー。人生ケセラセラ。なるよーになーれが、僕のモットーなのですよー。マイペースが一番ですー」


『良いなそれ! こんど勇者とかなんでも放ったらかしにしてみようかなぁ。( *`ω´)フフフ』


「それは奔放すぎますー。というわけで、締めのセリフに移りたいと思いますー」


『む………もう締めか(´・ω・`)……。まぁ、俺には? ウルフがいるし、どうにでもなるんだけどな!』


《勇者が退出しました》


「どうにかなるんですかねー?とりあえず、僕はマイペースなので、進行もマイペースにやらせてもらいますよー。もちろん、段取りとかハナから考えてませんので悪しからずー」


『ハナから考えてねぇのか。ところでどうやってハナから考えるんだ?』


「ツッコむのも馬鹿馬鹿しいので、スルーしますねー。というわけで、何か締めの一言をお願いしますねー」


『締め……。良し……! 締めの一言は……俺は、おにぎりの具は梅派だぜぇ!』


「はーい、毒にも薬にもならない言葉をありがとうございますー。そんな感じで今回は閉幕ですー。また呼び出されることがあればよろしくですー」


《勇者が入室しました》


『あ、やっと繋がった……。さっきから接続不良って、魔王が誰かと対談してるから邪魔しようと思ったんだが……手遅れか。まぁ良い、これがあると言うことは今は魔王城は手薄という事なのだろう。次こそ必ず潰してやる……』






果たしてこの魔王、ポンコツか、それとも大物か?↓


『魔王の世界征服日記』


https://kakuyomu.jp/works/1177354054885602562

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