第四回募集分
「小学生のころの姿も見てみたかったのですよ!」 by密柑
「皆様こんにちはです。今日のインタビュアーを押し付けられました、
『天神アレクセイといいます。よろしくお願いします』
「アレクセイ君ですね。今日はよろしくです!」
『はい。こちらこそ』
「……」
『あの……何でしょうか? そんなに見つめられると緊張します』
「えっと、念のために訊いておきますけど。男性、って事でいいんですよね?」
『当たり前じゃないですか!学ランだって着ているでしょう』
「ご、ごめんなさい!名前的に男性だとは思ったんですけど、なんていうか、顔立ちがすごく可愛らしかったので、つい自信が……」
『少しはホルモン治療で男の子っぽくなったと思っていたのに、まだまだ厳しいのでしょうか……?やっぱり、副作用が辛くても治療を続けるべきだったのでしょうか……?』
「大変失礼いたしましたです。では、先にアレクセイ君の簡単な自己紹介からお願いしますです!」
『猩々緋学院中学校の一年B組に在籍しています、大田区生まれの十四歳です。事前に家族のことも聞きたいと言われていたのでお話しますが……今は、以前に僕の家で家政婦をしていた女性と暮らしています。とても優しくて素敵な方です。遺伝的な両親のことは……特に父のことは話したくありません』
「にゅ。いろいろと複雑な家庭事情があるようですね。これ以上土足で踏み入るのは気が引けるので、この話はここまでにしておきましょうか」
『そうして頂けるとありがたいです』
「じゃあ、学校のほうに話を移しましょう!アレクセイ君は仲のいい友達とかいるんですか?もしいるなら、何人か紹介してほしいのです!」
『特に仲の良いお友達が三人います。康介くんと慧くん、それから圭吾くんです。康介くんと慧くんは小学校からのお友達です。特にこーちゃん……康介くんは、僕やお友達が困っていると助けてくれます。喧嘩も強くて、僕が不良グループに絡まれた時も簡単に追い払ってくれました』
「いい友達がいるようで何よりです!友人は大切にするといいのですよ!どっかの作者みたいに、気が付いたら疎遠になってしまったなんてことがないように、なのですよ!」
『はい。大人になっても一緒に遊べるような関係でいたいです』
「でも、その康介君って子はすごく義に厚くていい子なのですね。二人が出会ったきっかけは何だったのですか?」
『僕は見ての通りの外見なので、小学校の頃は金髪って呼ばれて虐められていたんです。それを康介くんが助けてくれて、それに僕の目を「青くて綺麗、宝石みたいだ!」って褒めてくれて……そんなこと言われたこと無かったので本当に嬉しかったです』
「かっこいいのですよ、康介君!男の鏡なのですよ!」
『力が無くて弱い僕を守るために柔道まで習い始めて、中学校でも柔道部なんです。先輩から将来の部長候補って期待されているんですよ。僕は柔道部のマネージャーとして部員の皆を支えています』
「いいなぁ。密柑も、友達と真っ当な学生生活をエンジョイしたかったです」
『密柑さんも、何か学校に嫌な思い出があるんですか?』
「いえ、こっちの話なので気にしなくていいのですよ!この先も、心に残るような、良い学生生活を送れるよう願っていますですよ!」
『はい。今だけの時間を沢山楽しみます』
「うーん、それにしても可愛らしい顔立ちですねぇ。……今度、女装とかチャレンジしてみませんですか?というか、一度可愛く着飾ってみたいのですよ」
『……お断りします。僕は男ですし、それに女性として見られることには飽き飽きしているんです』
「むぅ、残念です。リアル着せ替え人形遊びができるかと思ったのですが」
『僕は人形じゃありません!勝手に遊ばないでください!』
「ふふ、冗談です。じゃあ、そろそろ時間なので、最後に一言何でもいいので締めの言葉をくださいまし」
『では事前に渡されていたメモを読ませて頂きます。手帳に挟んできたので。えーと……この『勇気の花』は少年達の小学校から高校卒業までを書いた作品です。全八十三話で完結に丸二年掛かかった大作です。続編として主人公たちが父親になった姿を書いた『勇気の果実』があります。お時間がある時にでもお読み頂ければ幸いです。以上ですね』
「はい、お疲れ様なのですよー!じゃあ、今回はここまでなのです。次回を楽しみにしてほしいのですよ!」
山あり谷あり波乱あり!予想を超える展開と、それらに直面しては成長していく、彼らの学生生活模様を見届けよ↓
『勇気の花』
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