「ある意味では、とても一途な人だったよ!」 byフィー


「やっほー、おにーさん!練習や調整で忙しいのに、時間を作ってくれてありがとね!さっそくだけど、これを読んでいる皆に向けて、自己紹介だけしてもらってもいいかな?」


『あ、えっと、高橋龍平です。あの、あなたは……?』


「そういえば名乗ってなかったっけ。私はフィーだよ!今回、おにーさんのインタビューを任されたからよろしくね」


『あ、よろしくお願いします』


「まず最初になんだけど、おにーさんは自分の人生にタイトルを付けるとしたらどんな題にする?」


『目の前のことを全力で、ですかね』


「すごくシンプルだね!おにーさんは、先発というよりは抑えでの起用が多いんだっけ?」


『そうですね。僕は長いイニングを投げれるタイプじゃないから、目の前の打者1人1人を打ち取っていくしかないですからね。それに、そもそもドラフトで指名漏れする様なピッチャーだから、先を見てる余裕は無いし、もう泥臭くやるしかないのかなって……』


「うん、フィーはカッコイイと思うよ、そういうの。とにかく遮二無二、一球入魂って感じで」


『あ、ありがとうございます』


「でも、おにーさんはそれだけじゃないでしょ?一度は絶望すら味わったけど、それでも血と汗と涙を滲ませながらここまで来たんだよね?」


『そうですね、まあでも生活する上でお金が必要だけど、もう稼ぐ手段が僕にはこれしか無かった様なもんでしたし……。だからもう、拾ってくれた林さんや大学の監督さんの為にも、もう全力でやらないと、っていうのがありましたから。』


「ちなみに、これまでの野球人生を振り返ってきて、特に印象深かった思い出ってある?」


『やっぱ大学のリーグ戦でベストナイン貰ったことですかね。初めて選手としての自分が認められた気がしますし』


「へぇ、やるじゃん!実を言えば、フィーはこうしてインタビューさせてもらうまで貴方の事全然知らなかったんだけど、その頃からちゃんと成果は出してたんだね!っと、今の発言は流石に奔放すぎたかな。気に触ってたらごめんね?」


『あ、いやいや大丈夫です!』


「よかった!じゃあ、これからもどんどんおにーさんの心を土足で踏みにじっていくね!」


『え、あ、あの……、』


「にゃは、冗談だってば!ちなみに、今に至るまでに色んな人の支えや励ましがあったと思うけど、その中でも特に感謝してる人となると誰になるのかな?」


『特に……、やっぱり林さんですね。だってプロ以外は断ってたのに、指名漏れした途端に声を掛けてくれたんですから。』


「ふふ、おにーさんはいい出会いに恵まれたんだね」


『それは間違いないですね。この琉球ネイチャーズというチームに入って、本当に良かったです』


「そっかそっか。じゃあ、次に行くね。えっと、おにーさんのこれからの目標や抱負を教えて?」


『唯一無二の存在になること、ですね』


「その心は?」


『えっと、これ、仲村さんってチームの先輩に言われたことなんですけど、自分の何が武器なのか理解して、そこで勝負していこうと。球も速くないし、身長も無いから上のレベルで戦っていくには、人と同じことしてちゃダメだろうなって思うんで』


「そっか。じゃあ、フィーもささやかながら応援させてもらおっかな。草葉の陰からひっそりとね」


『え、死んでないですよね? っていうか、ただでさえ影の薄い立ち位置なんですから面立って応援して下さいよ……』


「あはっ、おにーさんって、球だけでなくツッコミもキレが良いね!てゆーか、野球に対してはどこまでもストイックだけど、堅物かと思ったらちゃんとユーモアも持ち合わせてるんだね。うんうん、そーいうの、フィー的にはポイント高いかも」


『えっ?』


「あ!でもでも、恋愛対象としてって意味じゃないから勘違いはしないよーに!」


『あ、え、は、はぁ……』


「もしフィーを口説きたいなら、プロの世界で戦い抜いて、『チーム優勝の影の立役者は、誰でもないこの俺だっ!』って胸を張って言えるくらいになってからね」


『随分と高い要求してくるんすね』


「ふっふっふ。フィーちゃんはこう見えてお目が高いのだよ。やっぱり、男と歯とお風呂の床はしっかりと磨かないとね!」


『あ、道具が抜けてません? 選手が用具磨かないんじゃダメっすよ、風呂磨く余裕あるんだったら』


「にゃはは。おにーさんの野球に対する姿勢はどこまでも真摯だなぁ。……じゃあ、最後の質問!ずばり、貴方の考える理想の投手とは?」


『そりゃあチームを勝たせられるピッチャーです。野球はチームスポーツですから。』


「おにーさんらしい答えだね!さてさて、そろそろ時間なわけだけど。せっかくだし、ここまでインタビュー内容を読んでくれたファンの人達に一言、もらっちゃおうかな?」


『あ、えーっと、ありがとうございました。これからも頑張っていきますので、応援をよろしくお願いします。あ、でもまずは名前だけでも覚えて下さい……』


「うん、いい締めになったんじゃないかな!それじゃ、今回はここまで!次のインタビューにも期待しててね!」







↓二十七のうちのたった一つ。されど値千金なそのアウト一つをもぎ取る為に、全力を尽くす投手がそこにいる↓


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https://kakuyomu.jp/works/1177354054918012868

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