「吹奏楽部怖い吹奏楽部恐い吹奏楽部こわい……」 by千夏

「こんにちは、今回の担当になりました風守千夏と申します。そして、今回のゲストはこちらの方です、どうぞ!」


真島ましま中学校吹奏楽部2年、トランペット担当の粕谷かすや未瑠みるでーす! よろしくお願いしますっ!』


「おお、のっけから元気いっぱいなゲストさんだ!じゃあ、作品タイトルの方もお願いしちゃいますね」


『えっと、メモが胸ポケットに……あったあった。『With Heart and Voice -僕らの音は、心と共に-』、です!』


「ありがとうございます。で、インタビューを始めたいんですけど、ぶっちゃけインタビュアーって何やっていいのかわからないんですよね」


『確かに。粕谷もいきなり『インタビュアーやって』って言われても拘束して逃げ場を失くすくらいしか分からないです』


「うん、その突飛な回答の方が私にはわからない!それはさておき、私は考えた末、もう形式にこだわらずに私のスタイルでやらせてもらうことにしました!」


『おー! 何されるんだろ、ドキドキ……』


「というわけで、お茶でもしながら話しましょう。お茶会という響きにはそぐわないけど、ペットボトルの紅茶と缶コーヒーを無断で用意してみました!」


『やったー! 粕谷さっきまで吹いてて、ちょうど喉渇いてたとこだったんですよ!』


「未瑠ちゃん、どっちがいい?」


『コーヒーは粕谷にはまだ早いので紅茶をいただきたいです!』


「うん、了解。あ、それと私の事も千夏でいいよ。年も近いと思うし」


『んー、年が近いと言っても高校生なんですよね? 年上には違いないですし……じゃあ、千夏先輩とお呼びしてもいいですか?』


「うん! じゃあ、まずは未瑠ちゃんの所属している吹奏楽部について聞かせて? 例えば……未瑠ちゃんの先輩たちの話とか」


『おー、インタビューっぽいですね! ……ごく、ごくっ……ぷはーっ! この紅茶おいしいです、千夏先輩! この紅茶、今度自販機とかコンビニとかで見かけたらリピートしますね? 粕谷のお気に入りになりそうです!』


「そう?私も気にいってるブランドだから、そういってもらえると嬉しいかな。まあ、今は紅茶の感想より、先輩さんたちの話を聞かせてもらおうかな?」


『……あ、そうでした。質問されてるの、粕谷の方でしたね。あはは……。

 えーっと……まず3年生の先輩と言えば、粕谷が担当してるトランペットパートのパートリーダーで副部長のやまかおる先輩ですね。

 かおる先輩はとにかくすごい先輩で、いつも元気で前向きで、困った時に頼りになる先輩なんです。部の中心的な存在と言っても過言じゃないくらい。トランペットもすごく上手くって……なんというか、すごく真っすぐですごく澄んだ音がするんですよ!

 ほかにも、学生指揮者で銀縁眼鏡がすごく似合ってるクラリネットの花岡はなおか恵里菜えりな先輩や、すごく弦バスが上手くって、とってもクールでカッコいい部長の中井田なかいだ文香ふみか先輩など。

 5人しかいない3年生の先輩ですけど、みんなすごくいい先輩ですよ?』


「話している未瑠ちゃんの表情からすると、素敵な先輩みたいだね」


『そりゃあ素敵ですよ! 特にかおる先輩はすごくすごく尊敬しています、粕谷の心の師匠ですよもうっ!』


「じゃあ、逆に後輩の子達についても聞かせてくれる?」


『後輩かあ……やっぱり色んな子がいるんですけど、一人挙げるとすれば見澤みさわ悠斗ゆうとくんかな。これまた粕谷と同じトランペットの子なんですけど、部で唯一の男の子なんです。紅一点ならぬ黒一点。

 音楽初心者なんですけども、今の時点でもすごくパワフルな音がするんですよ?』


「へぇ、黒一点の男の子か。下手すれば一人だけ浮いちゃうような状況だけど、未瑠ちゃん以外は受け入れてるの?」


『すごくいい子なんですもん、当たり前です。粕谷含めてみんな受け入れてます。それに幼馴染の子もいるみたいですし、浮くなんてことはないと思いますよ?』


「ならまあ、安心かな。そうそう、顧問の先生ってどんな人?」


『顧問の先生ですか? 長谷川はせがわ先生っていう男の先生なんですけど、これもすごくいい先生なんですよ。

 今年から先生になったみたいなんですけど、すごく優しくって……何というか、粕谷たちをちゃんと見てくれる先生だなって思うんです。ちょっとした昔話を粕谷は知っているから、尚更です』


「ちょっとした昔話……もしかして、前の顧問の先生とかに何かあったとか?」


『んー……ちょっと色々ありすぎて、その辺はあんまり触れてほしくないんです。ごめんなさい』


「ふぅん。そういう事なら触れないでおくよ。それにしても、学校の吹奏楽部なんて小さな空間でも、実際には色々あるんだね。部外者of部外者な私としては何も言う資格はないけど、今吹奏楽部のみんなが楽しいのが、私は一番だと思うよ」


『やっぱり千夏先輩もそう思います? ……ちょっとしんみりしちゃいましたけど、やっぱり今が一番ですよね! ごく、ごく……ぷはーっ! 紅茶おいしかったです! ごちそうさまでした!!』


「ちなみに、未瑠ちゃんは吹奏楽のどういう所が好きなの?」


『いい質問ですね……千夏先輩……ふふふ……』


「あれ?な、なんかスイッチ入っちゃった?」


『吹奏楽の好きなところ、それは! 吹奏楽が吹奏楽であるところです!!』


「なるほど、わからない!?多分、私だけでなく読者もわからない!!」


『それよりもそれよりも! 千夏先輩って粕谷と相性良さげですよね!!』


「どうしたの急に!?そして、私と読者の疑問への回答は!?」


『話しててすごく楽しいですし、もらった紅茶もお気に入りになりましたし……粕谷と千夏先輩、もっと仲良くなれそうな気がします!』


「……え!?ちょっと待って!?なんで私急にスカーフで椅子に縛られてるの!? ていうか、どこに連れていくつもり!?」


『粕谷の必殺技、『超高速拘束術』です。大丈夫ですよ、ひどい目には合わせませんから……ただ、先輩のことをもっともっとふかーく知りたいなって思って……!』


「え!? ちょ!? 椅子ごと持っていくつもり!? ていうか怖い! 転ぶ! 転ぶからぁ!! キャスターを猛スピードで転がすのやめてぇ!?」


『えー、粕谷ともっともっといいことしましょうよ千夏先輩っ!』

「あーーーーーーれーーーーーーーー」


 ゴロゴロゴロゴロ……カチッ



「……あははー、今確実に何か踏んだよねー?それも、かなり不吉なモノを。ネエ、今ノッテ、一体何ノ音カナ?」

『カチッ……?』

「うん、もう嫌な予感しかしないんですけど!」

『あ……起爆スイッチ、踏んじゃいました』


「……!?Why!?何そのとってつけたようなオチ!?ギャグ漫画!?ていうか、なんでこんなところに起爆スイッチ!?起爆スイッチナンデ!?アイエエエエエエ!?」

『爆発オチなんて……爆発オチなんてー!!』




 どかあああああああああん……




『……どこをどうやったらこんな世界の結末になるんだろう……あはは、わたしちょっと迷走してるなあ……』



どこかおかしくて、でも温かい人が集まる吹奏楽部はこちら↓


With Heart and Voice -僕らの音は、心と共に-

https://kakuyomu.jp/works/1177354054890630293

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