第十三階 不遇ソーサラー、お礼を言う


名前:ソフィア

年齢:21

性別:女

ジョブ:ソーサラー

レベル:35


LEP421/421

MEP730/730


ATK17

DEF15

MATK103

MDEF90

キャパシティ7


固有スキル


【転生】【先行入力】【効果2倍】


パッシブスキル


ムービングキャスト4


アクティブスキル


マジックエナジーロッド6

エレメンタルプロテクター1

サモンシルフィード2

インビジブルボックス4

ベナムウェーブ6

マジックエナジーストライク2


 ソーサラーになって全部元通りかと思ったら、微妙にステータスが変化しているのがわかる。能力を受け継ぐとはいえ、他人に転生すれば骨格が変わるわけだからしょうがないか。憎たらしいソフィアの体だから今すぐ壊してやりたいくらいだが利用価値はある。これで例の宗教団体に再潜入し、内部から破壊していけばいいんだ。


 ただ、レベルが35ってのがなあ。このままだと絶対に怪しまれる。あのとき、確かソフィアは45になったらと言っていた。ということはそれに近いレベルだったはず。少なくとも40以上はあった。だから最低でも40まで引き上げて潜入しないといけない。というわけで、俺はエリナと一緒に地下5階層まで行って狩りをすることになった。




 ◆◆◆




 目的地に到着し、早速狩り始める。ここは牛エリアと比べてあまり人気のない狩場だと聞く。ソロで狩れるような場所でないと言われてるしそれも影響しているんだろう。


「ほら、クアゼル。とっとと倒しなさいよ!」

「そう言われてもな……」


 実際ここで戦ってみてそれがよくわかった。箱エリアともいわれる場所で、出現する敵はミミックという宝箱のようなモンスターとマジカルキューブという浮いた四角形のモンスター。


 こいつら、とにかく物理攻撃が当たらないのでやり辛い。【先行入力】の軌道さえもモンスターの勘によるものか掻い潜ってくる。インビジブルボックスで拘束してマジックエナジーロッドにつなげようとしても、相手の素早さが影響しているのかすぐに解除されてしまうんだ。スキルレベルがまだまだとはいえ【効果2倍】でこれだからな。


 ……って、そうだ。アレがあるじゃないか。


「マジックエナジーストライク!」


 これは牛を釣るためだけに入れておいたスキルで、威力は弱いが魔法の立ち上がりが早く命中率も高い。ほかに入れるものがないからと放置していたが正解だった。スキルレベル2でも威力が【効果2倍】なのも手伝ってかミミックはどんどん沈んでいった。やつらがやってくるような場所を読んで、そこに【先行入力】でこのスキルを叩きこむのも忘れない。


 ただ、マジカルキューブとかいうモンスターが素早さに加えて異様に魔法に対しても固い。ミミックに比べると相当にMDEFがあるなこいつは。


『アースボルト』

「うっ……?」


 しかも遠距離から四色の魔法まで唱えてくる。三匹出てきたときに後ろから食らって、あんまり痛いんで処理した後ちらっとLEPを見たら一発で120くらい持っていかれていた。


「ヒール!」


 エリナがすぐ回復してくれたが何匹も同時に出てきたら脅威だ。それでも二匹以下だと雑魚で、エレメンタルプロテクターを使いつつヘイストとシルフィードの【効果2倍】で超加速し、攻撃される前に接近して何度もマジックエナジーストライクを叩き込むと簡単に沈んでくれる。


 スキルレベルを上げていくとわかるが、元々ディレイが少ない上にそれが下がっていって連打に近いことができるから結構便利だ。それに加えて【先行入力】を上手く活用すれば三匹でも対応できる。それに数自体はミミックのほうが多いから助かった。これで経験値も同じくらいだからな。


「ベナムウェーブ!」


 エリナの話じゃミミックの物理攻撃を食らったら150ほど持っていかれるらしいが今のところこいつからは無傷だ。命中率を下げる効果を増した毒霧の前にことごとく空振りしているし当たる前に沈めることができる。これだけあっさり沈むってことはやはり【効果2倍】になった毒の影響もかなりあるっぽい。


 それから一時間ほど狩ってようやく目標のレベル40に到達したが、キャパシティが8になったので、あるスキルを追加するとともにそのレベルを上げることにした。そしてレベルがもう一つ上がって41になったこともあり休憩所に戻ることに。


名前:ソフィア

年齢:21

性別:女

ジョブ:ソーサラー

レベル:41


LEP474/474

MEP826/826


ATK19

DEF18

MATK140

MDEF115

キャパシティ8


固有スキル


【転生】【先行入力】【効果2倍】


パッシブスキル


ムービングキャスト5


アクティブスキル


マジックエナジーロッド6

エレメンタルプロテクター2

サモンシルフィード3

インビジブルボックス4

ベナムウェーブ6

マジックエナジーストライク7

フレイムボルト5


 エレメンタルプロテクター、便利だから上げたくて使いまくったけど2までしか上がらなかった。それに比べてマジックエナジーストライクの上がりやすいこと。これだけ連打できるなら、魔法しか効きそうにない相手への主力スキルとして考えてもいいかもしれない。


 あとサモンシルフィードが3になったことで、加速に加えて俺に対する防御もしてくれるようになった。途中から入れて5まで上げたフレイムボルトは、あるスキル習得への布石だ。まだ必要ないから焦らなくてもいいが。


「――エリナ、ありがとな」

「何よ、急に」


 休憩所でコーヒーを飲みつつ礼を言う。エリナは文句言いつつも最後まで手伝ってくれたから、もしあのときのことを怖がってるなら少しは優しい言葉でもかけてあげようと思って。


「私こそ、ありがとうよ!」

「なんでだよ。まだ復讐も手伝ってないのに」

「ソロ狩りは寂しいのよ。悪かったわね!」


 相変わらずだな、エリナは。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る