第2話 俺の登校の件について

 朝起きてから制服を来て、弁当と朝食をつくり、妹をが起きてくるのを待つ。


 入部しているサッカー部の朝練がない時の毎朝のルーティーンだ。


 父は海外出張で家には長い間帰ってきておらず、母は妹が生まれてすぐ病で亡くなっている。


 そのため、家事を妹と分担してやることにしている。


 細かいことを言えば、炊事については俺が受け持っている。


「ふぅ〜、学校か....」コーヒーを1口飲んだ後、とついそんな言葉が漏れた。


「ため息ばっかりついてると、幸せ逃げてっちゃうよ?」


 扉を開けてリビングに入ってきたのは、妹の恵めぐみだった。




 恵は割と可愛い部類の子らしい。 これは、妹を溺愛している兄の心とは関係なく、周りからそう思われているらしく、モテるらしい。


 お世辞にも父親はイケメンとは言い難く、強いて言うなら普通だ。


 だが、母親に似た綺麗な黒髪のショートヘア。母親に似た可愛い顔立ちをしている...と思う。


 そんな紹介は置いといてだ。


「別に学校が嫌なわけじゃないだけどさぁ、ちょっとした悩みがあるんだよ。」最近では神経を使いすぎて心の休まる場所が家だけという青春真っ盛りの高校生の生活に支障をきたしている。



「というか、俺の話はいいから早く学校いけよな! 俺は先に行ってるから。 行ってきます。」逃げるように俺は朝食を平らげ玄関に向かう。


「ちょっと!逃げないでよ!お兄ちゃん!」妹のそんな声がする頃には俺は玄関を出ていた。




 玄関を出て自転車に乗り、学校へ向かう。


 俺の通う清秀高校は、生徒の大半が地元の中学から集まる人ばかりで、自転車通学や電車通学が多い。 俺は、住宅地を抜け橋を渡り。学校へ行くための最大の難所、100m強程もある急勾配な上り坂を登っていた。


「よう!親友!会いたかったぜ!」

後ろから、聞きなれた声が聞こえため振り返る。


「朝はおはようだろうが、将斗。」


 制服のブレザーのネクタイを緩め、短髪でいかにもお調子者って性格をしているのが俺の親友、山田やまだ 将斗まさとだ。 小学校からクラスがずっと同じで付き合いが長いため、気心が1番しれた友人だ。




「もう時期、楽しい学校が始まるなぁ!」

と言いながらイタズラ顔で将斗は俺をチラチラ見てくる。


 危ない、危ない。ぶっ飛ばしてやろうかと思ったよ。


 こいつは俺が学校でどれだけ面倒なことになっているか知ってて言っている。


「冗談は辞めてくれよっ、ここ最近大変なんだぜ?」1番気心は知れているが、ここぞって時にいじり倒してくる、最悪の敵でもある、お調子者のバカと話しているうちに自転車置き場についた。


 遅めに来ただけあって、校門は人で賑わっている。だが、正直この波に飲まれて人知れず教室に戻りたいと願っている自分がいる。


 がそれは叶わない。なぜなら....


 人が行き交う1年生の玄関前で、1人の女生徒が俺に向かって手を振る。 桜色の髪の毛に、整った容姿、周りを活気付ける明るさ。

 パッと見は恐らく1年生の中では無類の美少女なんだろうが....


「おはよう! 琴吹君!」彼女、さくら 千春ちはるこそが 今俺の現在進行形で進んでいる問題なのである。

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彼女は俺の事が好きだが、俺は彼女を好きなわけではない件について 水野 タツキ @ryuno816

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