憂鬱な月曜日くん。
高遠 そら
blue
「あー、月曜日なんてこなきゃいいのに」
また、僕へのクレームの声が聞こえる。
僕は月曜日。嫌われものの月曜日。
憂鬱な月曜日。
―――――――――
みんなが喜ぶ週末。
そんな週末が終わる週明け。
いったい誰が、週明けを月曜日に決めたのか。まったく迷惑な話だ。
火曜日くんも、まあまあひどい目に合っているとは思う。それでも僕よりはましさ。
前日から僕が来るのを嫌がっている人がどれほどいることか。
"人がどう思おうがほっとけばいいさ"
と木曜日くんは言う。
確かにそうかもしれないけれど、できることならやっぱり金曜日くんや土曜日ちゃん、日曜日さんみたいに多くの人から好かれるようになりたい。
"欲がなくなれば僕みたいに、気がついたら終わっているような1日を創れるよ"
そう木曜日くんは続けたが、包容力がある水曜日ちゃんと華やかさのある金曜日くんに挟まれているからそんなことが言えるのさと、僕は毒をはいた。
こんな調子だからダメだってことくらいわかっているさ。そう思っては見るが心は前を向かない。
――――――――――
自分のできる範囲でみんなを喜ばせる努力はしてきたつもりだ。
すこしでも月曜日の朝が楽しみになるように、みんなが夜見る夢をhappyにしてみた。
すると早朝に聞こえた声はこうだ。
「なんだよ夢かよ。せっかくいい夢見たのに現実は地獄の月曜日かよ。」
結局、夢と現実とのギャップがさらに人々を苦しめてしまった。
ならばと悪夢にして見ると、今度はその気分に引っ張られるように家から出る人が減ってしまった。
それなら、天気は必ず晴れにしよう。
これは、ある程度上手くいったかのようにみえたが、それも当たり前になってくると誰も喜ばなくなった。
いったいどうしろって言うんだ。
――――――――――
行き詰まって下を向いていると、どこからともなく
「はやく 、月曜日にならないかなー」
と言う可愛らしい声が聞こえてきた。
そんな変わり者の声の主は小さな女の子だった。
母親が「カナは月曜日が好きなのね」と聞くと、彼女は
「うん!だってお友だちに会えるんだもん!」
そう元気いっぱいに答える。
その表情はとても明るく満面の笑顔だった。
――――――――――
"キミが思っているより、キミが好きな子はいるんだよ。"
そう日曜日さんが静かに言った。
"キミの見ている世界は、キミの創る世界のほんの一部だ。
もっと広い世界を見て、キミ自身が前を向かなきゃキミの想いは誰にも届かないよ。"
日曜日さんの一言に、僕の心がほんの少しだけ前を向いた。
憂鬱な月曜日。
最初の一歩。
憂鬱な月曜日くん。 高遠 そら @nebosuke_
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