タピオカトーク

やまもン

「ねぇ、放課後タピらない?」

「ねぇ、放課後タピらない?」

「……?タピるって何?タピオカになるのか?」


まさか……


*****

「こちら第3宇宙域、現在ナタデココ軍と遭遇戦に発展!」

「その宇宙域のナタデココ軍は1つしかない、敵の増援は心配しなくていいぞ!」


タピオカ隊長が本部と連絡する声が聞こえる。

僕は一兵卒のタピオカ。タピオカ帝国のため、敵国のナタデココ王国軍を倒しに来た。


「総員、突撃ー!」

「「「タピー!」」」


いけいけー!全軍でローリングタピオカだ!

四角いナタデココ軍には出来ない高度な技だぜ!


*****

「……ってこと?」

「違うし!タピオカをしよってことだし!」

「タピオカをする……?」


まさか……


*****

「ほー、これがかの有名なタピオカ寺かー!」

「ようこそいらっしゃいました、タピオカ小隊の皆様。」

「「「本日はタピオカをよろしくお願いします!」」」


タピオカ使いがやるタピオカ座りやタピオカを自分で作る点タピ体験を通して僕らの精神はすっかりタピオカした。

ああ、これがタピオカをするってことなんだ。戦争で荒んだ心がタピオカのように清々しい!タピ子と一緒にやりたいな!


*****

「……ってこと?」

「違うし!タピオカを飲もってことだし!」

「タピオカを飲む……?」


まさか……


*****

「タピオカはいかがですか〜!」

「すいませーん、タピオカ2杯下さい!」

「はーい、1杯500円ですよ〜!まいど〜!」


ゴクッゴクッ

「ぷはー、やっぱり野球観戦しながらのタピオカは最高だねー!」

「そうだね!タピオカ売り子も可愛い子揃いだし!でも、タピ子が1番可愛いな!久しぶりに会ったけど、また惚れてしまったよ!」

「もっもう、タピくんったら〜♡」


照れ隠しにタピオカの一気飲みをする彼女はとても可愛かった。


*****

「……ってこと?」

「違くはないけど!タピオカをタピオカ屋さんで飲もってことだし!」

「タピオカ屋……?」


まさか……


*****

「ここが噂に聞くタピオカ屋か…!」

緊張のあまり、唾をゴクリと飲んでしまった。

「タピオカ隊長、突入しますよ!」

「タピ……!」


「た、頼もー!」

「いらっしゃいませー!ここはタピオカ屋、世界中のタピオカが揃うタピオカ専門店だよ!」

「す、凄い!これは最近火星で作られ始めた火星タピオカ!あれは深海でも生きれるように作られたサバイバルタピオカじゃないか!」

「ウチのオーナーはタピオカ伯爵ですから!」


凄すぎる!

本当に世界中のタピオカが揃ってるんだ!

ここならばあの幻のタピオカ、タピオカオカもあるかもしれない……!もう一度、あのタピオカオカがあれば……!


*****

「……ってこと?」

「違うし!タピオカ屋さんはそんな所じゃないし!タピオカオカなんて変なのないよ!」

「タピオカオカはないのか……!?」


まさか……


*****

「復活!我こそは千年の眠りから覚めた真なるタピオカなり!むっ、そこの村人よ、タピオカオカを持ってないか?」

「タピオカオカ?なんだいそりゃ?」

「…なん…だと?で、では村長に伝えてくれ。タピオカ伯爵がタピオカオカを所望だと。」


「タピオカ伯爵さんや、儂が村長ですじゃ。あいにくの事ながら、タピオカオカなんてものは知らないですな。」

「タピオカオカを知らない……?村人ならともかく村長が……?まさか、奴か!ナタデココ勇者め、我にとどまらずタピオカオカまで封印するとは、許し難い!」


怒りに震えるタピオカ伯爵はそれはもう黒い肌をしていた。


*****

「……ってこと?」

「違うし!もういいからタピオカ屋さんに行こ!」

「タピオカ屋さんにどうやって行くんだ……?」


まさか……


*****

「なぁ、最新のアップデートでタピオカ屋が実装されたらしいぜ!」

「おっマジで?やっとゲームの中でもタピオカ屋に行けるのか〜!」

「なんでもタピオカ屋に行くためには幾つかのシークレットクエストをクリアする必要があるらしいぜ!1つ目はレッドドラゴンの巣穴からタピオカの欠片を盗むことだって!」

「あ、それなら昨日やったわ!」

「おお、運がいいな!2つ目は王城の地下書庫に忍び込んでタピオカ召喚の禁書を使うことだって!」

「あ、それも昨日やったわ!

「マジかよ!3つ目は召喚されたタピオカ伯爵を倒す事だって!」」

「あ、それも昨日やったわ!」

「マジ?そしたらその場にタピオカ屋が現れて行けるようになるらしいぜ!」

「え?でも昨日伯爵倒したあと現れたのはどう考えても……お茶……」

「お茶……?」

「いや、自分の目で見た方が良いだろうから黙っておくよ!」


*****

「……ってこと?」

「違うし!ほらタピくんが変なこと考えてる間にタピオカ屋さんに着いたよ!」

「これがタピオカ屋?メニューは殆どお茶の種類のようだけど……?」


まさか……


*****

「よし!あの馬鹿そうなアルバイトが来たぞー!タイミング合わせろよ!3、2、1、タピー!」

「「「タピー!」」」

「よし!バッチしタピれたな!おい、お前は今日から我タピオカオカの下僕だ!命令を与える!メニュー表をお茶の名前で埋め尽くせ!」

「タ、タピー!」

「フハハハハ、これで我らがタピオカも安泰だな!注文されることが無ければお前らと離れ離れになることもない!一生一緒にいような、お前たち!」

「「「タ、タピ〜!!」」」


*****

「……ってこと?」

「違うし!これはタピオカと一緒に飲むお茶の種類!タピオカは元から入ってるの!」

「タピオカのタピオカ抜きは出来ないのか……?」


まさか……


*****

「このタピオカ屋もハズレか……。」

「おや、そこのタピ人よ、何かお困りかい?」

「実はタピオカのタピオカ抜きを出来るタピオカ屋を探していてね。この後行く予定のレッドドラゴンの巣でどうしても必要なんだ。」

「ほほー、それは大変じゃな。タピオカのタピオカ抜きは一流のタピオカ士と一流のタピオカ職人が協力して作り上げたタピオカを一流のタピオカ使いが使わなければ出来ないことじゃからな。」

「そんなんだよ。この町にはその一流のタピオカ使いがタピオカ屋をやっていると聞いて来たんだけど……。お婆さん何か知らない?」

「ふっふっふ、タピ人よ運がいいな。世界広しと言えど、タピオカのタピオカ抜きが出来るタピオカ屋はわしだけじゃ!」


*****

「……ってこと?」

「違うし!あーもうっ!タピオカ屋さんが提供するのはタピオカティー!タピオカが入ったお茶!」

「黒糖ミルクティー、黒糖抹茶、黒糖キャラメル……?」


まさか……


*****

「おい、お前!そうそこのアルバイトだ!タピオカオカの下僕たるお前にタピオカオカから命令を与える!メニューのお茶の中で黒糖系を猛アピールしろ!」

「タ、タピー?」

「何だその顔は?しょうがない説明してやろう!黒糖は黒いだろ!そして我らも黒い!つまり黒糖系のお茶に入れられれば、そのまま隠れきる可能性が上がるのだ!」

「タ、タピー。」

「な、何だその顔は!まるで我らが隠れられる訳がないと言わんばかりに!」

「タ、タピー。」

「う、うむ。分かれば良いのだ。そのしょうがない付き合ってやるかみたいな顔をやめろ!いいか!黒糖タピオカミルクティーが注文されたら我を入れろ!我は特に黒い!必ずや逃げ切れるだろう!」


*****

「……ってこと?」

「違うし!もういいから!すいませーん、黒糖タピオカミルクティーふたつ下さい!」

「タ、タピー?」


まさか……


*****


「お、おい止めろ!我を煮詰めるんじゃない!我はタピオカオカだぞ!やい、止めんか!」

「タ、タピー。」

「申し訳そうな顔をしても無駄だ!全く誰だ、黒糖タピオカミルクティーなんて頼んだのは!このタピオカオカ入りの黒糖タピオカミルクティーを飲むに足るかチェックしてやる!むっ、男の方は全然ダメだが、女の方は飲み馴れている感じがあるな!おい下僕!女の方のミルクティーに我を入れろ!」


*****

「……ってこと?」

「違うと思うけど。何か怖いな、これタピくん飲んでよ!」

「タ、タピー!?」


まさか……


*****

「な、やめろやめろ、待て待て待て!我はタピオカオカぞ!幻の!それがなぜこんなずぶの素人に飲まれなくてはならないのだ!おのれおのれー!貴様なんかタピオカにしてやる!我を飲んだらタピオカになる呪いだ!」


*****

「……ってこと?」

「うっ、私がやっぱり飲もうか?」

「タ、タピタピー!」

「い、いやいいよ、僕が飲むよ!」


ゴクッゴクッゴクッゴクッ


「あ、あれ、何かお腹の中が熱く……?」


まさか……これがタピる、ということなのか?

やはりタピオカになる事だったのか。


*****

等身大、半径85センチのタピオカになってしまった僕はさっきまでタピタピとしか喋らなかった店員によって元に戻る方法を教えて貰った。

タピオカ帝国に行き、一兵卒から成り上がってナタデココ王国の勇者を倒せれば、タピオカオカの封印が解かれること。

そのお礼にタピオカ伯爵のタピオカ屋でタピオカオカを貰えること。

そのままタピをして伝説のタピオカのタピオカ抜きを持ってタピオカの欠片を集め、タピオカ伯爵を召喚して倒せば、タピオカオカを持ったままこのタピオカ屋に戻ってくることが出来ること。

そうすれば僕がタピオカオカを食べたという事実は無くなり元に戻れること。



「タピ子、君に言わなくてはいけないことがある。」

「な、何…?」

「僕は今タピったせいでこんな姿だ。だけど、いつか、もう一度僕とタピってくれないか?そのために一緒にタピオカ帝国に来て欲しいんだ。成り上がりを手伝って欲しいわけじゃない。ただ、タピ子がそばにいてくれるだけで僕は嬉しい。隣にいるだけで僕は頑張れる。どうか着いてきてくれないか?」

「う、うん!タピくんこれからもよろしくね♡」


「話はまとまったようだな。では行こう、タピオカ帝国へ。私のことはタピオカ隊長と呼びたまえ!」


*****


タピるとは 奥深きことと 見つけたり タピ


若人よ いかなる時も タピらなむ タピオカ伯爵

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タピオカトーク やまもン @niayamamonn

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