最終話 パー護THE FINAL

「ちょっと待てえええええッ!」

ゼロが叫び声を上げる


「おいおいいきなりなんだよ五月蝿えなぁ、最終話なんだからもっとこう…シャキッとしようぜシャキッと」

トモカズが鼻をほじりながら言った


「最終章始まってすぐに最終話ってなんだ、最終話って!」


「落ち着けって、ほら→のスクロールバー見てみろよ、いつもより短いだろ?つまりそういう事だ」


「いや何言ってんだよ…」


「いつもより文字数が多いって事だ、様はあれだ、何話も上げるより一話に全部まとめた方が楽だろ?サブタイ考えんのもだるくなってきたって漆塗りあいつもぼやいてたしな」


「そういう生々しい話やめろって…」


するとかばんが

「二人とも今はそんなことよりも」

山の上を見ながら

をどうにかしないと」

木刀を強く握りしめた




かばんの視線の先には…



グォォォオオオオオオオオオオオオオオ!


巨大セルリアンが咆哮を上げていた

その姿は四足…かつてかばん達が海に沈めた巨大セルリアンと同じ姿だった



それを見たトモカズは

「ったく、女王クイーン倒してチェックメイトだと思ったら巨大セルリアンキングが出てきやがったか、めんどくせえなぁ」

握った木刀を山の上に向ける


「全くだ、しぶといんだかしつこいんだかわかりゃしねえ」

ゼロが大剣を握る


3人が山に向け走り出そうとした時


ピピピピピピピピピピピピ

トモカズが持っている通信機が鳴った


『トモカズ君聞こえますか!山の上に巨大セルリアンが現れました、私たちは島から出る準備をしています、急いでください!』

ミライが焦った声を出す


「……それで、島から出たらどうするつもりだ、この島から出られねえ奴らは…」


『それは…一旦島から離れて対策を練るつもりです、もし駄目ならまた…四神さん達を…』



「ミライさんよぉ、そう言って前に逃げ出してから戻ってくるまで俺たち何年かかった、どんだけ時間かけた、それに駄目だったらまた四神アイツらを犠牲にする?ふざけた事抜かしてんじゃねえよ、この島にいる奴らは俺たち人間が道具のように使っていい奴らじゃねえんだよ」


『そんな事は分かっています!ですが前回とは状況が違うんです!』



「何も違っちゃいねえよ、前と同じだ…ここで逃げたら俺たちゃまた負け犬だ、もう2度と御免なんだよあんな思いすんのは…もう逃げたくねえんだ」


『トモカズ君…』


「逃げるんなら勝手に逃げてな、俺はこの島に残る」


そう言ってトモカズは通信機を放り投げた



「行くぞ」


「ああ」


「行きましょう」


するとトモカズはかばんに対して

「別にお前もついて行って良いんだぜ?お前は島から出ても平気なんだからよ」


しかしかばんは


「何言ってるんですか、私も…いや、僕も戦います、ジャパリパークのかばんとして」


「そうかい、んじゃ何も言わねえさ」



そして3人は走り出した









「トモカズ君……」

通信を切られたミライが呟く


「だから言ったのですトモカズあのバカに逃げるように言っても無駄なのです」


「博士の言う通りなのです、何を言っても無駄なのですよ」


博士と助手が呆れたように言う


「……確かにそうかもしれませんね、あれ?他のフレンズさん達はどこへ?」



ミライがあたりを見渡す


「アイツらなら山に向かったのですよ」


「全く…トモカズアイツのバカが移ったのですよ」


そう言いながら2人は歩き出した


「えっと2人はどこに行くんですか?」


「「我々もトモカズアイツのバカが移ったのです」」





「オラァアアアアアア!」

パッカァーン!

トモカズ達はセルリアンの大軍を切り崩しながら頂を目指す

「あと少し…あと少しだ!走れえええええええ!」


3人が頂まであと少しまで来たその時



ズシン…

巨大セルリアンほどでは無いがその半分の大きさ程のセルリアンが目の前に立ち塞がった



「おいおい…嘘だろ…」

トモカズ達が足を止めた瞬間


グォォォオオオオオオオオ!!!

セルリアンが前足をあげ勢いよく地面に叩きつけた

ドゴォッッ!!


そして

ミシ…

「ッ!」

ミシ…ピシ…


地面がひび割れ崖崩れを引き起こした


「くそったれがああああああああああ!」


トモカズ達はそのまま下へ落ちていく


「この高さから落ちたらやべえぞ!どうすんだトモカズ!」


「知るか!テメエが考えやがれ!」


「こうなったらゼロさんを下敷きにしましょう!僕らより頑丈なはずです!」


「お前そんなキャラじゃなかっただろ!」



「その案乗った!」


「乗るんじゃねえ!」


3人は取っ組み合い、言い合いをしながら落ちていく



「「「ああああああああああああ!」」」




ガシッ

落ちていくトモカズとゼロを何かが掴んだ


「大丈夫?」

「危なかったですね」


2人を掴んでいたのは


「トキ…アリツカゲラ…てめえらなんでこんなとこに、いやそれよりかばんは!」


するとトキが

「かばんなら大丈夫よ、ほら」


それを聞いたトモカズが下を見ると










「お待たせかばんちゃん!」

サーバルがかばんを抱き抱えていた


「さ…サーバルちゃん!それに皆さんも!」

周りにはフレンズ達が集まっていた


バサ…バサ…

そこへトモカズ、ゼロを抱えたトキとアリツカゲラが降り立つ


「お前らまで、なんでこんなとこに来やがった」

唖然とするトモカズに博士と助手が近づく


「ミライからこれを預かっているのです」


「渡したら連絡するように頼まれているのです」

そう言いながら博士がトモカズに通信機を渡す



「…………」

通信機を受け取ったトモカズはそのまま通信機を放り投げた


「知るかよ、こんなもん今更渡されたって」


博士と助手はため息をつき

「はぁ…全く、ミライの予想は当たったのです」

「トモカズ、お前に伝言を預かっているのですよ」


「伝言だぁ?」



2人は同時に

「「私たちはもう逃げるなんて言いません、だから必ず勝ってきてください、あなた達を信じています…そう言ってたのですよ」」



ミライからの伝言を聞いたトモカズは木刀を構える


「上等、言われなくてもやってやるさ、なんせここには……」

フレンズ達を見回し

「どうしようもねえバカどもが大勢いやがるしな」


フレンズ達が戦闘態勢を取る



「いくぞテメエらああああ!最後の最後のバカ騒ぎだあああああああ!」





おおおおおおおおおおおおおおおおおお!


その言葉を合図にトモカズとフレンズ達は山に向け走り出した


しかし目の前にはセルリアンの大軍が立ち塞がる


「道は私達が切り開く、行くぞ!」


「久しぶりに派手にやろうかー」





ヘラジカとライオンが野生解放をし






「「はあああああああああ!!」」


パッカァーン!


セルリアンの大軍を崩しながら道を開いていく


2人が作った道をフレンズ達がトモカズ、ゼロ、かばんを囲みながら突き進む



「確かにありがてえがこのセルリアンの量、オマケにてっぺんの近くには厄介なのが残ってやがる…」

トモカズが言うと


「それなら僕に任せて、ゲームで見た技があるんだ」

「アレをやるっすね!」

「任せるであります!」

ビーバーとプレーリードッグが近くの木を削り木材をキタキツネに渡し、その木材を元にものすごい勢いで坂を作っていく



「一体どういう原理だよ…」

トモカズは唖然とするが

「でも近道は出来ました、早く行きましょう」

かばんがトモカズの肩を叩き坂を登る


「近道か…」







その頃ミライは

「あの頃と何も違っていない…彼は確かにそう言いましたが、変わりましたね良い方向に…」

(父親の後ろで泣くことしかできなかったあの子がまさか…こんな立派になるとは…)








そしてトモカズ達は坂を登っていき頂付近に来た所で


グォォォオオオオオオオオ!!

先程のセルリアンが咆哮を上げる


「ちッ…まためんどくせえことになりそうだぜ」


セルリアンは前足をあげ坂を壊そうとするが



ザシュッ!

突然何かがセルリアンの足を切り落とした


それを見たキンシコウとリカオンが同時に叫ぶ


「「ひ、ヒグマさん!」」




「よぉ随分遅かったじゃねえかヒグマ、てっきり女王にやられたと思ってたぜ」


その言葉を聞いたヒグマは

「危なかったのは間違いない…でも、まだやられるわけには行かないから戻ってきた」

笑いながら言った

ヒュンッ!

キンシコウとリカオンが坂から飛び降りた

2人に続きヘラジカの部下、ライオンの部下とジャガーも坂から飛び降りる

「このセルリアンは私たちに任せろ!お前達は先に行け!」


残ったフレンズとトモカズは再び上を目指して登り始める



「あと少し…あと少しだ!」

巨大セルリアンまであと少しまで来るが…


グォォォオオオオオオオオオオ!


トモカズ達に気づいた巨大セルリアンが前足を振り上げた


「ッ!まずいッ!」


ズシン!

しかしその瞬間セルリアンが態勢を崩し倒れ込んだ


見るといつの間にかいなくなっていたカワウソ、アライグマ、フェネック、スナネコが穴を掘り地面に穴を開けていた、そこにアルパカ、ギンギツネとPPP、マーゲイとアリツカゲラが水を流し込みセルリアンの足を固める


「やるなら今しかねえか!」

トモカズがそう言うと


「「「だったら!」」」」


カバがゼロを、サーバルがかばんを放り投げツチノコがトモカズを蹴り上げた


そして…

ガシッ

博士がトモカズ、助手がゼロ、トキがかばんを空中で受け止めセルリアンに向かって全力で投げつける



「「「「「「行けえええええ!」」」」」」




「「「はあああああああああ!」」」

その勢いのまま3人はそれぞれの剣をセルリアンに向かって振り下ろし…



パッカァーン!!










数日後


「どうやら私の負けのようだな…」

突然サンドスターがトモカズの元を訪れた

「あ?どういう事だ」


「昔、お前達人間はパークから逃げ出した、自分たちで作り出した怪物によってな…そして戻ってきた、だがまた同じ過ちを繰り返そうとしていた」


「アレはあの研究員がかってにやった事だろ、この間の事件も」



巨大セルリアン事件…その元凶は1人の研究員であった、その研究員はセルリアンのことをよく知らなかった為好奇心により過去のデータからセルリアンを生み出す機械を作り出していた、女王や巨大セルリアンが現れたのは過去のデータをセルリアンが取り込み再現したためであった



「ま、セルリアンの危険性を言わなかった俺たちのせいでもあるしな…それもあってしばらく自宅謹慎だとよ」


「あの時、お前達が逃げていればもう2度と島に入れないようにしていたさ…だがお前達は立ち向かい勝った…私の負けだ」


「へ、んな事よりおめえ普通に喋れんだな」


「ふ、別にどうだっていいじゃないか、だが忘れるな…お前達人間がまた妙なことをすれば」

そう言いながらサンドスターは離れて行った




「言われなくてもわかってるっての」


トモカズはそう呟きながら仕事に、いつもの日常に戻って行った








ここはジャパリパーク


世界中の動物が集められ、研究・飼育が行われていました


ところがある日、神秘の物質「サンドスター」の影響で、動物たちが次々とヒトの姿をした「アニマルガール」へと変身!

いつしか彼女たちは“フレンズ”と呼ばれるようになり、ジャパリパークの新たな主として、にぎやかに暮らすようになりました







さて、あなたはけものがお好きですか?




パークを護る者 完

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パークを護る者4 導かれしけものたち 漆塗り @urushi_0519

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