第24話 紅葉の錦 神のまにまに

『先生、おはようございます。早いですねぇ?今日から7月ですねぇ?』

『あぁ…おはよう。そうかぁ、もう、7月かぁ…最近、暑くなったなぁ…っと思ったよぉ…たまには、ゆっくりと温泉でも行きたいねぇ?』

『良かった。以前伝えてましたよねぇ?温泉に行きたいって?実は7月16日、17日で熱海の旅館取りましたよぉ!』

『えぇ!本当に?いやぁ、うれしいなぁ!もしかして、1人なの?』

『私も一緒に行きますよぉ…久しぶりに温泉でのんびりした後に花火を一緒に見たかったからねぇ?迷惑でないですか?(喜んでくれるかなぁ…)』

『マジでぇ!やっほ〜い!熱海の花火ははじめて見るからうれしいなぁ…。いやぁ、うれしいなぁ…はな、はな、はなび〜ルンルンだなぁ…わぁい!わぁい!はなび、はなびだぁ!浴衣きて、熱海の駅で夕涼み!(久美ちゃんの浴衣最高だろうなぁ…)』

『えぇ!そんなに喜んでくれるのぉ?でも、仕事はしてもらいますよぉ。(すごいうれしいなぁ…夜はドキドキだなぁ…あぁ…最高!)』

『えぇ!それまでには終わらせて久美ちゃんと熱海観光するもんねぇ!』

『はい、はい、楽しみです。(私もうれしいぞぉ!ワクワク)あぁ…そうそう。はい、いつものですよぉ…』

『あぁ!ありがとう〜。ルイボスティーとチキンサラダとパクチー大量のサラダとハムとチーズのサンドイッチだぁ!わぁ〜い!わぁ〜い!ルンルンだなぁ…。』

『もう、今日はご機嫌ですねぇ?』

『そりゃ、熱海で二人きりで旅行だよぉ…テンション上がらないのはどうかしてるさぁ!』

『うれしいですけど…あくまでも私からのプレゼントですから…身体を休めて下さいよぉ…。』

『解ってるって!あぁ…そうそう、原稿が出来ているから持っていってねぇ?』

『はい。』

『あぁ…原稿が出来たら、連絡するねぇ!』


『まさか、あんなに喜んでくれるとはなぁ…正直、うれしいなぁ…。あんなに喜んでくれるとは思わなかったけど…これも、お仕事だからなぁ…期待したらダメだよなぁ…。でも、花火を一緒に見れるのはうれしいなぁ…』


『いやぁ、最高だなぁ…久美ちゃんと二人きりで旅行とはうれしいなぁ…素敵な浴衣姿を見れるだけでも最高なのに…花火を一緒に見れるとはなぁ…。あぁ…でも、付き合っているわけではないし、あくまでも仕事の同僚だからなぁ…。変な噂が立たないようにしなきゃなぁ…。あぁ…でも、うれしいなぁ…。さぁ!仕事、仕事、仕事しなきゃなぁ。』


今日の百人一首は…

『菅家(菅原 道真)〜このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに 』


20××年

『もう、何で忘れたのぉ?』

『えぇ、必要だったのかぁ…知らなかったなぁ…』

『墓参りには必要でしょ?』

『そうなんだぁ。いやぁ、忘れていたなぁ…』

『もう、瞬ちゃんたら…でも、一緒に両親の墓参りに来てくれてありがとうねぇ?』

『そりゃ、久美ちゃんの両親にご挨拶が出来ずに結婚したからなぁ…悪いと思っていたからさぁ…やっと、ご挨拶が出来ます。ありがとうねぇ。』

『いえいえ、私も両親には、大好きな作家の担当になった時は、私以上に喜んでくれてねぇ?赤飯を炊いてくれたのぉ。』

『そうなんだぁ…私も、初めて逢った時から好きになってしまったけど…あくまでも作家と担当者の関係を壊してはいけないと思って長い付き合いになってしまい申し訳なかった。』

『いえいえ、それは理解してましたよぉ。すでに人気のある先生の担当になれただけでも幸せなのに…まさか、私なんかと結婚してくれてうれしいですよぉ。』

『いえいえ、寧ろ感謝をするのは私の方だよぉ…。あぁ…墓参りのお供え物を忘れたけど…紅葉をお供えしよう?』

『そうねぇ、こんな素敵な紅葉なら、両親も喜んでくれるわぁ…ありがとう。』

『紅葉の錦 神のまにまに…』


『夢かぁ…それにしても、かなり老けていたけど…そこまでは、待たせられないなぁ…あまりに可愛いそうだなぁ…久美ちゃんの両親がなくなって、墓参りで報告って…あまりにも不幸だなぁ…それにしても、ポケットに紅葉とは、リアルだなぁ…。どうなるのかなぁ…』

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