第14話 乱れそめにし 我ならなくに
『先生、こんにちは。』
『あぁ…こんにちは。今日は早いねぇ?』
『あぁ…そうですねぇ。そのまま、先生のところに来たんですよぉ…』
『あぁ、なるほどねぇ。すぐに逢いたくなった?』
『もう、先生ったら…それもありますけど…朝食を買ったきたので、一緒に食べたくて…はい、いつもの、ルイボスティーとソフトチキンとパクチー大量のサラダとハムとチーズのサンドイッチです。』
『ありがとうねぇ。』
『あれぇ、稲村さんは?』
『あぁ…私は『パスコのたっぷりホイップあんぱん』と『伊藤園のお〜い お茶』です。』
『えぇ…あんぱんとお茶って…』
『あぁ、先生もしかして、このあんぱんを馬鹿にしてません?』
『いやいや、そうではないけど…朝食にあんぱんって…どうなのかなぁ…って』
『確かにねぇ?でも、このあんぱんを見ると無性に食べたくなるんですよぉ?』
『そっかなぁ…あんぱんにホイップクリームが入っているだけに感じるけどなぁ…』
『あぁ…言いましたねぇ?そう、言うだろうなぁ…って思って先生の分も買って来ましたよぉ。』
『あぁ…ありがとう。』
『食べてみて?』
『はい、はい、食べるよぉ…』
『どう?』
『うぅ、うまいなぁ!最高だなぁ!最初にホイップクリームの柔らかい感覚、そして、あんこのハーモニーが口の中で混ざりあって、素敵な音色になって美しいメロディーをかねれる、名曲のようだなぁ…『天使が温かく包みこむ〜和のハーモニー』だなぁ?』
『でしょ?それにしても、先生の例えが凄すぎてビックリですよぉ。でも、ここまでほめられたら、『パスコ』から1年分届いたりしてねぇ?』
『それはうれしいけどなぁ…その時は、稲村さんと一緒だねぇ?』
『えぇ?私と一緒って、うれしいなぁ…あれぇ、『チロルチョコ』ですねぇ?』
『先生は『チロルチョコ』が好きなんですか?』
『チロルチョコは好きだけど…一番好きなチョコレートは『ロッテのVIPチョコレート』だなぁ…』
『あぁ…聞いた事あるかも…確か、チョコレートが200円もしたんですよねぇ?』
『えぇ?良く知っているねぇ?』
『実は、昔、復活版で食べた事があるんですよぉ…期間限定だったかなぁ?』
『そうそう、そうなんだよぉ。いやぁ、こんな美味しいチョコレートがあるんだぁ…って感動したなぁ。』
『色々な種類ありましたよねぇ?『生クリーム』、『ティラミス』など…』
『そうそう、そうなんだよぉ。やっぱり、ダントツは金色のパッケージの『生クリーム』だったなぁ…』
『これが販売された時は両親が良く食べたって言ってたなぁ…あぁ…そろそろ、会社に戻らないとならないので…失礼しますねぇ?』
『あぁ…そうだねぇ?もっと、一緒に話したいけどなぁ。あぁ、原稿、原稿、忘れているよぉ。』
『あぁ、うっかりしてました。』
『いえいえ、あぁ…美味しいあんぱんありがとうねぇ?今度、お礼するねぇ?』
『うれしいですけど…気持ちだけで大丈夫ですよぉ。』
『あぁ、そっか…原稿出来たら、連絡するねぇ…』
『あぁ…しまったなぁ…。先生、かなり落ち込んでいたなぁ。子供みたいだけど…そこが可愛いなぁ…それにしても、『パスコのたっぷりホイップあんぱん』であれだけ喜ぶとはなぁ…ちょっと、うれしいなぁ…。
さてぇ、ライン送っておこうっと…『お疲れ様です。『パスコのホイップあんぱん』に喜んでくれてうれしかったです。ありがとうございます。今度は一緒に映画でも見に行きたいなぁ…楽しみです。』と…あぁ…しまった。軽率だったなぁ…まだまだ、そんな関係じゃないのに…あぁ…落ち込む。』
『あぁ…気持ちだけってなぁ…泣きそうだなぁ…。そりゃ、そうだよなぁ。『パスコのホイップあんぱん』でお礼したいって…あり得ないよなぁ…そりゃ、そう言うわなぁ。さぁ、切り替えて、仕事、仕事!!』
今日の百人一首は…
『河原左大臣(源 融)〜陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆえに 乱れそめにし 我ならなくに 』
あぁ…これは、光 源氏のモデルだなぁ…。
20××年
『あれぇ、先生、中学の卒業アルバムを見ているんですか?』
『あぁ…そうだよぉ?掃除をしていたら、見つかってなぁ…』
『へぇ、先生は『剣道部』だったんだぁ。』
『そうだなぁ。強かったんですか?』
『強い程でもないけど、松本市の剣道大会で団体戦でベスト16が最高かなぁ?まぁ、中学の時は、ダントツに強い人が2人もいたからなぁ…運が良かったのかもなぁ。』
『それにしても、『剣道』やる人はイケメンや勉強が出来る人が多いように感じるなぁ…』
『あぁ…確かに、そうかもなぁ…これが、早稲田大、慶応大だったかなぁ?まぁ、進学したかは知らないけどねぇ…』
『そうなんだぁ…でも、イケメンではないなぁ…間違いなく、イケメンは先生だなぁ…男前だからねぇ?』
『おい、おい、イケメンって…』
『えぇ、先生は自信がないだけだと思うけど…イケメンですって!』
『そうかなぁ…』
『あぁ…ところで、中学時代に好きな人はいなかったんですか?怒らないから言って下さいよぉ!』
『いやいや、それは言わないからなぁ…なら、当ててみなよぉ。』
『同じクラスならこの人じゃない?』
『あぁ…この人は確かに綺麗ではあったけど…ほとんど、しゃべった事がなかったなぁ…』
『なら、この人かなぁ?』
『そうだなぁ。この人にはラブレターを書いたなぁ…』
『えぇ?もしかして、硬派ですか?ラブレターって…今どきではないなぁ。もしかして、かなり、恋をしていました?』
『確かに、色々な人を好きになってなぁ…もしかして、その中には今でも好きな人がいるんですか?』
『好きな人というよりも、今でも気になる人はいるなぁ…』
『この中にいます?』
『あぁ…いるなぁ…。最初はそれほど、気になる程じゃなかったけど、小学校の同窓会を企画して、その時、好きな人を含めて数人と逢ったらその友達が好きだったなぁ…ってねぇ?とはいえ、中学時代を知っている人は集まりは悪くて、私立の中学に進学した数人と逢ったなぁ…』
『そうなんだぁ。ありますよねぇ?私立の中学に進んだ人が逢いたくなる感覚。それに好きな人は実は友達だった事はあるなぁ…解るなぁ。もしかして、転校生が好きになる感じでしょ?』
『あぁ…鋭いなぁ…。転校生が来る度に好きになっていたなぁ。あぁ、さっきの話の続きだけど同窓会の後、ラブレター書いて送ったら、返事があってねぇ?』
『えぇ、そうなんだぁ…でぇ?どうだった?』
『『いつか、お逢い出来たら良いですねぇ?』と返事はあったけど…その時はテンション上がったなぁ…。』
『なら、電話すれば良いじゃない?』
『いやいや、電話って勇気いるんだって…おもいっきて、電話かけたらすでに引っ越していたなぁ…当時はかなり落ち込んでなぁ…少し、乱れたなぁ。『乱れそめにし 我ならなくに…』』
『そうなんだぁ…あぁ…確か、光源氏のモデルの源 融 (河原左大臣)の百人一首ですよねぇ?もしかして、昔からモテていたのかなぁ…』
『それ程でも…しかし、逢えると思った人に逢えなくなると同じ気持ちになる事を初めて知ったなぁ…』
『なるほどなぁ…それにしても、光源氏のモデルは実は先生だったのかなぁ…』
『それはないって、でも確かにイケメンだとは思っていたかもなぁ…』
『今でもじゃないの?』
『いやいや、私のような、変わり者を好きになる人はいないでしょ?』
『えぇ、そんな事はないけどなぁ…私なら、好きでいるけどなぁ…』
『あれぇ、夢かぁ…それにしても、何故
、ここに…卒業アルバムがぁ…実家に置いてきたのになぁ…不思議だなぁ…。あれぇ、ラインだぁ…何、映画?マジかぁ…最高だなぁ…楽しみだなぁ…何をみたいのかなぁ…わくわくするなぁ…』
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