第2話 地獄の中の天国

中学3年生の秋


幸せの日曜日。

Happy Sunday。


そんな事を考えながら日曜日の朝

出勤2時間前から登場。


誰もいるはずがなく。


待つ待つ。


…………


とうとう店主のサカイさんが登場。

キッチンに入り一通りキッチンの説明をしてもらい、スープの仕込み、麺の準備、タレの確認。よーし!作るぞ!!


と思いきやボールペンと紙を渡され・・・


「飲食店を知らなきゃなんにも教えられないからホールからまずやって」


ガーーーーーーン。


でもまあ、簡単だろ。ホールなんて。


11:00

店がオープン。


地元の人気店だけあってオープン前から20人ほど並んでいる。

ここから始まる。。俺の伝説!!!!!


そして店内はオープンと共に満席。


す…すべてが間に合わない。

水、オーダー、料理提供。

たったこれだけ。

全然できない。


しまいには……


オーダーミス。焦って大盛かも書き忘れる始末。。あの時は本当にすみませんでした。


16:30

ようやく店内のお客様も減り

一段落。。


この時初めて飲食店の厳しさを知った。

こんなにも肉体、精神を削る場所なんだ。


正直甘ったれていた。。


17:00

サカイさんにキッチンに呼ばれ

野菜の切り方を教えてもらった。


18:00

もう帰って勉強しなさい。

と言われ強制帰宅。


ふくらはぎが痛い。


ただただ毎日友達と悪ふざけしてた僕からすると本当に辛い。

唯一の幸せはラーメンを食べて帰ること

あとは地獄。


そんなこんなで2カ月働かせていただいて

なんとかオーダーミスもなくなり。

迷惑掛けることも減ってきた。


そしてサカイさんから

「正直、中学生がここまで耐えてやれると思わなかった。卒業までにラーメンの基本作れるように今日から頑張ってみるか!」


「ありがとうございます!!」

(もう辛い。旨い理由もわからない。もう辛い。バイトもうやりたくない。)

と言い出せず・・・・


ラーメンの指導がスタート。

まずは基本のスープから。

鶏ガラスープ。豚骨スープ。



取り憑かれた。

魅力に心を奪われ・・恋をしてしまった。

微妙に毎回違う香り。

絶妙に毎回違う舌触り。

そのすべてがまるで生まれたばかりの

生き物みたいに違う。

エロさにも似た興奮を覚えてしまった。


そこから


タレの配合。


麺のほぐし方。


麺の茹で方。


一つ一つの工程からできるラーメン。


特にお気に入りが黄金色の鶏ガラスープ。


スープの上品な香りとキレ。


まるで


「音のないハープ」


決して主張は強くない。

でも香りを探してしまう、音色。


そしてサカイさんの口から思わぬ一言が・・


「リク(僕の名前)はラーメンの才能あるかもな。ここまでスープの意図を理解して実現しようと努力してるやつはなかなかいない。」


・・・・・・・(天才)

・・・・・・・(天才)


「有り難きお言葉!!これからも精進してまいります!!」


「あと修行の時間減らすから。受験あんだろ、勉強しろよ。」



受験・・・・・?


(俺は一流のラーメン屋さんになるから学校なんていかねーよ。)


「俺ラーメン屋になりたいです!だから中学卒業したらみっっちりラーメンお伝えてください!!」


誰の意見も聴かない子供だったな。


あ、今でもか。




















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クッチーナ 天才の底辺 @riku199125

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