第19話 『オルメガ』

「うおおおおおおおお!」


 右手が燃えるように熱い。

 絶対的な力がこの手に宿る。

 俺はこの戦いに勝つ。100%。

 そう確信するだけのエネルギーを感じる。

 今この瞬間。

 間違いなく最強は俺だ!

 

「ついに俺の願いは叶う!」


 そして、俺が願いを叶えたとき、そこに俺はいないだろう。

 だが、それでも止まることはない。

 

「なっ、マナを使うだと! こんなところで。正気か!」


 目の前でサウザンドが驚いている。


「何を驚いてやがる。お前だけは倒すって言っただろう」


 そのまま右足を前に出す。

 

「くるなあああああっ!」


 サウザンドが身体から剣を射出する。

 だが、避ける動作も防ぐ動作もしない。

 そのまま、剣は俺の左足を突き刺した。

 それでも痛みは感じない。

 いや、そもそも感覚がない。


「ムダだ。俺の身体は石になっていく」


 もう片足は、動かすこともできない。


「俺は石になる。そして、お前は死ぬ!」


 すべてのマナが俺の右手に集中する。


「くらえっっ!」

「やめ――」


 ドッ!

 その瞬間、右手をサウザンドに押しつける。


「『オルメガ』」


 すべてのエネルギーが奴にぶつかっていく。

 そのまま爆発が始動する。

 そして、目の前が白い光につつまれていく。

 だが、爆発音は聴こえない。

 既に俺の耳は石になっていた。

 ものすごいスピードで石化が加速していく。

 視界も白から黒に変わる。

 思考もそのまま停止していく。

 あとは、シグマに頼むしかない。

 アイツが生きててくればデザイアをエロヴィスの元に運んでくれるハズ。

 もう、俺の役目は終わりだ。

 薄れいく意識のなか。

 これでいいんだ。後悔はない。

 この言葉を何度も繰り返す。

 そして、次第に俺の意識も消えていった。

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祝! サキュバスでドーテー卒業! 尾上遊星 @sanjouposuka

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