第4話 模試と文化祭と中間テストのトリプルパンチ
優月はまだ迷っていた。
本格的に、受験勉強を始めないといけないにも関わらず、なぜ医師になりたいのかという基本的な問題にまだ答えを見いだせていなかった。
だからこそ考える時間を作りたくなく、そのまま日々埋まっているスケジュールを淡々とこなす事だけに精一杯に忙しくして考えないようにしていた。
自分でもそれを逃げているだけであるということは分かっているけれど、だからと言って今の楽さを取ってしまう自分がますます嫌いになってしまいそうで、
結局思考回路を閉ざしてしまう。
そんな中、中間テスト期間が始まって盲目に暗記をして乗り切った。
今回は1学期に比べて順位が上がって嬉しくなった。
でも、それは暗記しただけであって模試の勉強に繋がるのか、果たして医師になりたい自分と今の成績との差を考えたくなくて思考を停止するためにとりあえず暗記しただけであった。
それでも、自分の能力がちょっこっとは証拠として数値となって残ったことが自己肯定感を生み出し始めてきた。
もうちょっとだけ頑張ってみようかな、という気になって毎日塾の自習室で閉じこもる日々が始まった。
本当の動機は家に帰って、親に色々と志望動機とか大学の受験情報など口うるさく言われるからというのもあるものの、誰かと話したくもなくなって悶々とすることしかしたくなかったからなのかもしれない。
そんなある日。普段通り夜の10時ぐらいまで塾にいて帰ってくると、
母親が突然、「報告がある」と言い出した。
普段は帰りが遅い父と一緒に待ち構えていた。
なんかいつもと様子が違うな…と呑気に考えていると、
母がこう言った。
「検査で乳癌が見つかった。手術は2週間後になる。だから入院しなければならないし、手術が終わっても抗がん剤治療をするからその後もすぐには退院できないだろう。」
自分は本当に医者になりたいのか @kobayashinitya1003
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。自分は本当に医者になりたいのかの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます