第2話 永井
声をかけてきたのは、教室の中では目立たないけど容姿の美しさで一部の男子に人気のある永井だった。なんで友達もいないのに知ってたかって?それはバカたちの噂話に耳を立ててたから。みじめな話だな。
「わざと負けた?何でそう思うの?」
僕は女子に話しかけられて動揺していると思われないように、精いっぱいの冷静さを装って答えた。永井はちょっと首をかしげて、
「ねぇ、福田ムカつかないの?わざわざ昼休みにさ、皆に自分が強いとこ別のクラスまで見せつけにきたんだよ」
「答えになってないよ、何でわざと負けたと思うの?」
永井はまた、僕の質問に答えずに
「わざと負けんたんだろ」
と言った。その声があまりにも大きかったので僕は、びくっとしてしまった。その僕の姿を見て永井はケラケラと笑った。
「やっぱ、そうなんだ」
と、言ったあと永井は軽く深呼吸をして、
「稲次君さぁ、福田ムカつかない?私ムカつくんだけど、殺しちゃわない」
彼女は真顔でそう言った。
僕が何か言いかけようとした時、彼女は教室のほうに戻っていった。
稲次と永井が、どのように恋に落ち何を犯したか 稲次哲也 @illboy
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