童話村のスケッチ

きし あきら

童話村のスケッチ

 ひしがた洋燈らんぷ

 ころんの木の実

 ここでは だれでも生徒です


 れんがの壁と

 校舎もあります停車場に

 先生いらしてくれました


  (あかいめだまや

   ひろげたつばさ

   ほしのお歌がきこえます)


 門をくぐればfairyが

 きっとこんなにうでしょう


  (むかしふうの薔薇のそば

   archのかかる

   そこらあたりのおはなしは

   水からなります

   湧きたちます)


 林の小径に踏みいれば

 影絵の枝のそのかげは

 銀いろ月をぶらさげて

 じつに見事なだまし絵です


  (ihatovの細工師は

   夕の時刻に

   りんごか ぶどう

   あおい果実の明けぞらを

   こずえに不思議にあらわします)


 水も木々らも しんとした

 石のあいだの長椅子に

 腰をかければダァリヤが

 お声も細く おたずねです


   (ね あたし

    今日はどんなに見えて)


 池には池の祈りたち

 黄いろな十字がかかります

 十字は水面みなもへうつります


 芝生は虹を こすもすを

 棒硝子がらすにして吹きだして

 やみ夜に かたちをつくります

 草のかおりの かたちです


   (ここらあたりのおはなしは

    種からなります

    らんからです)


 ひかりのこども 学友が

 きっとそんなに云うでしょう


 雨ふる歌をきいたあと

 しずかな粒の ほんとうの

 雨も すこしく そそぐのは

 きっとそういうためでしょう

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

童話村のスケッチ きし あきら @hypast

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ