05 勇者様から逃げられない
勇者様から逃げられない。
どう考えたって逃げられるビジョンが浮かばない。
「では、クリスティーゼ姫、おやすみなさい」
「お、おやすみなさいませ」
寝室まで送り届けてもらった私は、にこやかに笑む勇者様に頭を下げる。
寝室の中まで一緒に、というわけではないのがわずかに救いだった。
危ないものだらけの建物の中で、寝室だけは心から唯一リラックスできる。
私はふと考えてから、閉まったばかりのドアに手をかけて、外側に開けようとしました。
力を込めて、ドアを動かそうとしますが開きません。
それどころかビクともしません。
ドアノブすら周りません。
閉じ込められた。
完全な体制で自由を制限されてしまっている私は、自分の意思で出歩く事ができないみたいです。
魔王の城に幽閉されていた時も自由はなかったけれど、まだあちらは私の事を甘く見ていたので隙があった。
しょせんは小娘。
か弱い人間。
そういう意識があったから、部屋の外をうろうろできるチャンスもそれなりにあったのに、ここではまったく無理なようです。
小娘一人にも容赦のしない勇者アルト。
勇者の皮を被った悪魔ですか。
私は彼に捕らわれている生活に鳥肌を立てながら、布団にもぐりこむしかできなかった。
いつか脱出できる時がくるのだろうか。
魔王城から助け出された結果、勇者様から逃げられなくなりました 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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