第一説 出会いは薄味 6
私は水城とともに屋敷内を見て回りながら説明を受けていた。
屋敷は二階建てなっており、一階は風呂やキッチン、大部屋など主に共同スペースとして使われていた。大部屋では会議や食事など様々な用途で使われているそうだ。風呂もキッチンも広く、快適そうだった。
二階は各自の部屋が設けられていた。男女別に分けられており、区画を作るためにそれぞれ扉が設置されていた。
私たちは女性区画の扉を開け、水城からこの女性区画内での決まり事について簡単な説明を受ける。
そして遂に自分の部屋の前につき、水城から部屋の鍵を渡される。
「あなたの荷物は昨日のうちに部屋に運んであるから。今日からここがあなたの部屋よ。さぁ、開けてみて」
水城に言われ、鍵を開け部屋の中に入る。想像していたよりも部屋は広く、ベットと机それにクローゼットは備え付けられていた。
水城も部屋の中に入ってきて、私にウインクをしながらこう言った。
「さて、部屋の飾り付けをしないとね」
私たちは荷物をだしながら、私がここに来ることになった経緯を話した。どうやら水城は母のことについて知っている様子だったが、何か言うわけでもなく終始笑みを浮かべながら話を聞いているだけだった。
話が終わっても相変わらず笑顔を保ったまま一言二言口から溢れるだけで、特にこれといった反応はなかった。
ただ、なぜずっと笑顔なのかはわからず、疑問を感じていたが考えても仕方ないことだと割り切り、部屋の飾り付け作業に従事する。
理性によろしく 甘蜘蛛 @HLofCAFL6741
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