小さな羽に宿るもの
ミルラに鏡を貸してもらった私は、必死に自分の背中を見ていた。何もないはずの背中に、羽が生えている。ついさっきまで、夏の天王山だといって受験勉強していたのに。なぜ私は異世界で羽を生やして女神と呼ばれているの?
それより、何この小さな羽。というか羽なの?なんか羽毛小さいし、量少なすぎじゃない?心なしか黄色いところもあるし。ヒヨコ?ヒヨコの羽なの?ノースリーブからチラッと羽の先が見えてるだけ。ミルラもよく気づいたわね。
「シャルルの女神様は、それは大きな翼を持っていて、それに治癒の魔法をお使いにるのよね」
ミルラがこちらに聞こえるような声でランスと話している。
「女神様のお力はそれぞれ違うんだ。エリス様にはエリス様のお力があるはずだ」
「エリス様。明日は幼じみのシャルルに会う約束です。今日はゆっくりと休んでください」
ランスたちはそう言って部屋を出ようとした。
「ちょっと待って」と私は言った。
「元の世界には、どうしたら帰れるの?」
ピクっとランスの肩が震えた。
「エリス様、その質問には明日お答えします」
沈んだ声でランスは言うと部屋から出て行った。
ちょっと……。
モヤモヤ多すぎて寝れないんですけど。
異世界で女神をするならば 円山丈亮 @maluyama
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