最終話 魔王の娘ちゃん、いらっしゃ~い
まさか、我が娘がアシスタントに化けとったなんて。
「ちょっとお父ちゃん! いつんなったらウチを呼んでくれるんよ!」
娘カンカンですわ。
せやけど、そんな怒った顔もカワイイねん。さすが我が娘ですわ。
「ほな、今まで妨害していたんも」
「それもウチや!」
ブーッ!
自慢することちゃうわ!
「なんや、娘よ! お前なんかにハーレム要因がつとまるワケあれへんがな!」
「他のモンスターより、ウチの方がオトコ心が分かると思うけど?」
ムスッとしながら、クラーケンちゃんよりフラットなボディを晒します。
ぽっこりしたお腹が、娘の未成熟さを際立たせてまっさ。
「お前まだ子どもやないか」
「成長過程状態というてんか!」
「エロいことなんか、子どもにやらせられるかいて!」
「子どもにも需要はある!」
誰も勇者を性犯罪者にせえとは言うてない!
「ていうか、ウチ一人に任せて欲しい! お父ちゃんやったら、ウチの気持ちくらい分かってるやろ!」
「ぐっ」
そう言われたら辛ぉおます。
実は今回の企画も、
「勇者のことが大好きな娘から、勇者を遠ざけること」
やったんですから。
「娘であるウチが、お父ちゃんの計画を知らんとでも思ってたん? お父ちゃんの魂胆なんか見え見えやねんで!」
「分かってるんやったら諦めんかい! 勇者と結ばれる魔族とか、世間からどない言われるか」
ただでさえ勇者に負け通しで、魔界での立場が弱くなってるのに、娘が人間の、しかも敵と仲良くなるなんて。
「世間が何やの! 今さら世間とか! ウチは誰にも迷惑かけへん! お父ちゃんにも!」
「あかん! 絶対にあかん!」
「ウチは、幸せになったらあかんの?」
「あかんわけないやんけ! なんやったらお見合いも都合したる! 上位種のドラゴンまでよりどりや! せやから頼むわ。勇者と交際だけは堪忍や!」
「なんでやの?」
「わたくしは、お前が勇者に殺される姿なんか見たない!」
涙声で、わたくしは訴えかけます。
ムスメに執着しとるって言われてもかまへん!
せやけど、せやけど……。
「お父ちゃん」
わかってもらえへんのやろうか。
そこへ、
「魔王サマ、大変です! 勇者が……きゃー」
セヤナちゃんが、複数の女性冒険者たちに担がれて、その場からどかされます。
次の瞬間、勇者が現れました。
手に光輝く剣を携え、こちらに切っ先を向けてきます。
「やっと見つけたで魔王! さあ、観念せえや!」
「ひい勇者やぁ!?」
死んでまう! せめて娘だけでも。
しかし、なんと勇者は剣を地面に突き刺して、土下座したではありませんか!
「お嬢さんをください!」
ブーッ!
魔王ですねん。勇者にハニートラップを仕掛けるため、チーレム候補を厳選しまっせ。 椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞 @meshitero2
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