第7話 悪役令嬢ちゃん、いらっしゃ~い
勇者の到来が近いです。
はよチートハーレム作ってメロメロにせんと。
「続いては、第一回のエルフちゃんより厄介な相手かも知れません。では、いらっしゃ~い」
ドアを開けて現れたのは、赤黒いドレスのお嬢様ですねん。
いやはや、気ィ強そうで。
「このワタクシめに、勇者の情欲を昂ぶらせよ、と聞いて、はせ参じましたわ」
「気合い満点ですな。ぜひその調子で勇者を」
「何をおっしゃって? お断りに来たのですわ!」
ブーッ! ほななんで来たねん?
「勇者がわたくしに傅くなら申し分ありません。ですが、ワタクシの方から策を講じろなど、いったいどのような了見でございましょう?」
小バカにしたような笑みが、悪役令嬢ちゃんから漏れます。
「プライドの高いお方でんなー。さすが、魔族すら頭の上がらぬ貴族の出。その気品さは人も魔族も魅了しますなぁ」
「当然ですわ。ワタクシこそ太陽なのですから」
「では、その太陽様が、たかが人間の勇者殿を振り向かせられぬとは、どういう了見なんでっしゃろ?」
「何ですって?」
悪役令嬢ちゃんの頬が引きつりましたで。
「太陽様も、お部屋の隅で引きこもっていらしたら、勇者殿に顔も覚えてもらえまへん。実際そうやったでしょ? 魔王軍最強の軍勢相手に戦い抜いた勇者殿の激励会。あんたは他のパーティに埋もれる形で、勇者殿と席巻できなんだ。自分の領地のお話やのに!」
令嬢ちゃんは黙り込んでます。
「ですが、あなたがひとたび本気を出しはったら、勇者なんてイチコロですわ。なんたって太陽なんでっから!」
「ま、まあ。あらあらまあまあ」
チョロいですわー。チョロインですわーこれは。
「せやから、今すぐにでもお会いになって、勇者殿を射止めはりなされや。勇者殿も悪い気しまへんて。『オレのために、ここまで来てくれたのか』と感心なさいます」
「やだやだ。まあまあ」
頬に手を当てながら、令嬢ちゃんは赤面します。
「そのギャップ。それを武器にしなはれや。あんたには他のパーティにはない財力とコネクション、ほんで美貌がある! 知ってまんねんで、陰で肉体作りに精を出してるのん」
お金持ちってデブっとしたイメージがありますが、本物はちゃいます。身体が資本と知っとるんです。なので、健康にいい物はなんでも取り入れるんですわ。
「それで身持ちが堅いとか。最高ですやん。今すぐにでも会いに行きなはれ」
「承知しました。行って参ります」
彼女の衣装は、ダイスで「女王様」と決まりましたわ。まあ打倒ですわな。
――三日後
「魔王サマ、悪役令嬢ちゃんが、没落しました!」
ブーッ!
「なんでやねん。どんだけ無駄遣いしたら、あれだけの財を溶かせるんや?」
「それが、魔族の中に反対勢力がいて……」
ブーッ!
「だ、誰やそいつは?」
わたくしが聞くと、セヤナちゃんが腕で顔を隠します。
「それは……ウチや!」
セヤナちゃんが、顔をベリベリを剥がし始めた。
「セ、セヤナちゃん!?」
魔王の間に現れたのは、わたくしそっくりな
「お前は……我が娘!?」
次回、最終回になりまっさ。
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