第6話 幼なじみちゃん、いらっしゃ~い

「さて今回は、まさかの方がご登場でございます」

「それでは、勇者の幼なじみさん、どうぞー」

 セヤナちゃんに呼ばれて、勇者の幼なじみちゃんが登場します。


「幼なじみちゃんは、パーティにいてはるんですよね? ジョブは商人やったっけ?」

 

「……」

 話しかけても、ムスーッとしたまま。そっぽを向いております。


「あの、面接なりまへんから、何か一言」


「では手短に。あんたがアタシに『勇者と付き合える方法』を伝授してくれるっていうから来たのに」

「せやで。煮え切らんあんたに、わたくしがオトコを堕とすノウハウをやね」

「勇者の邪魔をするなら許さない! でも、勇者は欲しい! ああ、あたしはどうすればぁ!」


 めんどくさ。

 一瞬でやる気なくしましたわ。


「そんな心理状態やから、他のオナゴに大事な人を取られますねんで」


 ちなみに、幼なじみちゃんはハーレム環境からすると、ドベまっしぐらですわ。

 

「分かってるわよ! でもどうしようもないわ!」

「どないもこないもない!」


 わたくし、幼なじみちゃんに喝を入れます。

 

「諦めが早すぎまっせ! 何事も最初はレベル1からや。あんたは一足飛びで色々攻略しようとしすぎですわ。家事の本読んだだけで、旦那までゲットできると思ってまへんか?」


「そ、それもそうね」

 

「言葉に出さんでも、ちゃんと『あんたに気があるんよ』とアピールして、ちょっとずつ距離を近づけて、寄り添って思いを伝えますねん。

 

「お金の計算はできるのに、駆け引きはまったく教わらなかったわ。母もキャリアウーマンで晩婚だったし。どちらかというと相手を騙すカンジの運営じゃなかったから」


「親の影響もありましょうけど、優しいビジネスマンなんですな。だから、商人でも勇者はあんたを連れてはるんやな。苦手なことをやってくれる人兼、常識人ポジとして」


「そうかもね」


「せやけど、ちゃんと距離を詰めんと『便利屋』止まりでっせ。意識させんと」


「同じ商人気質なのに、あんたは詐欺師っぽくて胡散臭いけど、アドバイス自体は的を射てるわね」


 正直すぎて清々しいくらいですわな。


「たまには騙されたと思ってぶつかってみるのも、有益でっせ」

 

「やってみるわ」



 衣装はバニーガールに決まりましたわ。


――三日後



「あの、残念なお知らせが」


「どないしてんな、セヤナちゃん」



「幼なじみちゃんは、勇者とそれなりの交際をしております」


 アドバイスが生きたな。


「ええこっちゃないか」

「よくないですよ! そのせいで、ここの位置が勇者にバレました!」

 


 ブーッ! ですよねー!

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