第2話共和国委員会

「うう、眩しい、寝過ごした。」グレアムは眠い目をやっと開けると強い日差しが顔を撫でる。

やはりかなり疲れていたんだな、4人とも着替えもせずに眠っていた、しかも自分の部屋に戻らないで僕のベットの上で。


さてグズグズしてもいられない、グレアムは軽く体を洗いさっぱりすると、破れていない服に着替えた、兄2人はテキパキと支度をこなしたが弟たちはもたもたしていた。

着替えが終わって4人は軽い朝食をかき込むと、すぐに昨日の確認のために第二大広間に移動した、そこの床に書かれた魔法陣を調べると結構大変な事になっていた。

「かなり傷んでるね、これもう使用不能じゃないの?。」

模様にはナイフで刻んだような大きな傷が無数にある。

「向こうから干渉されたんだな。」

「そんなこと出来るんだ。」

「聖魔女様だからね、魔法陣を書いた大理石の床までグズグズになってるけどね。」


さて、報告という事になると、いくら父親とは言っても自宅で話をするわけにもいかず、また父も家にはここ数日帰っていない事もあって、執事長兼メイド長リリアの手配により旧王城の会議室で会う事になった。

旧王城の会議室の扉は常に開いていた、大きすぎて魔法でなければ動かせないのだがそんな事に魔法を使いたくなかったからだ。

「相変わらずでかい広間だよな。」

「それは僕たちがまだ子供だからだよ。」

「これ巨人族ならちょうどいいくない?。」

「もともとこの部屋はね巨人族の訪問にも威圧感を与える目的地で、その大きさに作られてあるからね、大人でも大きく感じるはずさ。」

「へーそうなんだ。」

「でも実際には使われることはなかった、だって普通の人間がここにきたら、巨人たちに小人かと思われて返って馬鹿にされるからだよ。」

「それで。」

話を続けようとした時グレアムの背後から声がかかった。

「ほら、やんちゃ兄弟たち、親父さんが待ちくたびれているぞ、どやされないうちに急いだ。」

「はいパザルさっん。」

衛兵長のパザルに追い立てられて、駆け足で奥の小会議室に駆け込んだ。

そこには既に18人の共和国委員の内、今日集まることができる10人が紫色のビロードが張られた焦げ茶色に塗装されたメタ樫製の椅子に掛けて待っており、皆厳しい表情で子供達を見つめていた。

4人は父の前に整列した、緋色の絨毯が床の大理石の冷たさを幾らかは緩和していたが、視線に背筋が冷たかった。

3人の弟たちはどれだけ叱られるのかとしょんぼり下を向いていたが、グレアムだけは父や共和国委員に負けじと胸を張り見つめ返していた、僕たちは間違っていない、ましてやまだ子供だ。

「さて共和国議長として、いや父親として一言言わせてもらう、グレアム、どれだけ自信があったとしても無謀な真似が過ぎる、またお前が子供と大人の立場を使い分けるのは感心せんな、後々自分に禍を招いているようなものだぞ、アンジー、兄の暴走にのるとは何事か、サーニン、マックスも同じだ、きつく叱っておきたい所だが、親としては無事で帰って来た事を喜んでおきたい、さてここからは共和国議長としての話だ。」

父親らしい威厳のある顔から共和国議長の顔に変わった、そう思っているのは父本人だけで皆にはその違いは分からなかった。

「当然知っていると思うが無許可での異世界探索は違法になっている、


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君は本当に運がいい 夢幻の陥葬編 猫3☆works リスッポ @nekosanworks

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