5話

翌朝。


(よく寝れたなぁ。今日はタマゴを...)


俺は一瞬固まった。


「タマゴが無くなってる!!!」


咄嗟に叫んで、周囲を見渡すとすぐに気が付いた

タマゴからすでに生まれていたのだ…

しかしそこには、タマゴの殻しかなかった。

俺は慌てて外へ出た。


ドカンッ!!!


「いだァっ!!?」


俺は目を疑った。

それは黒いドラゴンの子供だった。

しかし、黒いドラゴンはアラトに攻撃する気配は無く、とても懐いていた。


「お前、俺を親だと思ってるのか?」


ドラゴンは尻尾で地面を鳴らした。


ドシドシッ!!!


俺はすぐに覚悟を決めた。


(仕方ないか。じゃあ名前は……。うーん。)


《ミル》


「ミルでどうだ?」


ドシドシドシッ!!!


「この名前、気に入ってくれたか?よし!ミル!!今日は、昨日鑑定し忘れたアイテムの還元しに行くから留守番頼めるか?」


ミルは俺が行こうとすると何度も暴れて抵抗するように見えた。


(連れて行きたいのは山々なんだけど、絶対問題とか変な噂になっちゃうからな。)


ミルは何かを察したかのように、大人しくなったと思ったが、急にとてつもない光に包まれた。


「おいミル!どうしたんだ!!?」


眩しくて目が開けられなかった。

少しすると光が消えたのが分かり、俺は恐る恐る目を開けた。


そこには明らかにミルだと分かる、尻尾を生やした少女が、大きめの白いシャツを着て、俺のことを見ていた。


「ミルなのか?」


俺は迷うことなく問いかけたが、そのミルだと思われる少女は、言葉が喋れないようだったが、頷いていた。


「変身できるのか!?確かにそれなら連れて行けるけど...絶対にいたずらするんじゃないぞ?」


ミルは何度も頷いて、必死だった。


「とりあえずその恰好だと目立つから、着替えようかw」


ミルはかなり可愛く、スタイルのいい人型へと変身していたため、目のやり場に困っていた。


「ミル?言葉は分かるのか?」


分かると頷いていた。


「じゃあ、声は出せそうか?」


「うぁああ」


(まぁそうだよな。生まれたばかりだし、これから教えればいいか。)


「じゃあ街へ行くから、言うこと聞いて付いてくるんだぞ」


ミルはこの時、とても嬉しそうに、目を輝かせていた。

俺もその嬉しそうな顔を見て、少し和んでいた。


(あ、そうだ街へ行く前に、アラク、俺の名前だけ言う練習しておこう)


「ミル!アラクっていう練習しよう!」


「うぁあぅ」


「ア!」


「ぅあ!」


「ラ!」


「ぅあ!」


「ク!」


「う!」


(くぅう!可愛いがだめか?w母音は合ってるんだけどなぁ。)


「ミル!舌があるだろ?その舌を使って、うまく発音を変えてみるんだ!」


ミルはドラゴンなだけあって、かなり呑み込みが早かった。


「あ・ら・く!」


(まじかよ...)

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才能はチート? Stitch君 @Stitch_kun3

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