第九章 漫画研究部、創設へ
第30話 祭の教育係、大宿徹子
この世界の檻に囚われていた祭が檻を壊した。
そして今、自由になっている。
過去の因縁の全てに決着を着けたのだ。
俺はその姿を見ながらも.....不安な心が拭えずにいた。
その為、俺は祭を見る。
どうやら別の意味で不安な気持ちは祭も同じの様だった。
俺をチラチラ見てくるから、だ。
そして祭は意を決した様に俺に向いて話す。
顔を顰めていた。
「.....和彦。もう無理はすんなよ。マジに」
「.....それはこっちのセリフだっつの。無理すんなよマジに」
「.....」
お互いに悪い事をしたとは思う。
だけどな、祭は最悪だぞ。
誰にも相談しなかったのだから。
未だに傷にテーピングや絆創膏が有る祭と共に登校しながら俺達は罵り合う。
俺は.....祭が心配だから言ってんのにな。
もう一人で乗り込んだりすんなよって感じで、だ。
祭が苦しむ時は俺も苦しみたいのだから。
それが.....友人だろ。
と思っていると罵っていた祭が溜息を吐いてそれから俺を見た。
「.....和彦。お前さ.....いや。お前が友人で良かった。マジに」
「.....何だよ改まって。今の今まで罵り合っていたんだぞ」
「.....お前が居なかったらマジに俺終わってるからな。その点は感謝だ」
「.....まぁ、そうだな。お前だからな」
お前だからって何だよ、と祭は怒る。
それはそれだろ、と俺は会話しながら歩く。
相変わらず周りの同じ学校の奴らは俺達をゴミの様に見てくる。
だけど祭も俺も気にならない。
それだけ.....楽しいって言うか.....色々な気持ちだったから、だ。
俺は.....祭を救えた。
だからそれで良いと思っている。
「.....?」
そう思いつつ曲がり角を曲がると。
その場所に.....神子さんが申し訳無さそうに立っていた。
俺達は立ち止まりながら驚愕する。
特に祭が、だ。
「.....何やってんだ?.....神子」
「.....お話が有ります。.....和彦さん」
「.....え?俺?.....いや、良いけど.....」
祭はスルーですか。
それは良いけどまさかの俺って?
思いながら神子さんを見る。
神子さんは俺達の周りを見ながら手招きして歩く。
祭と顔を見合わせながら?を浮かべつつ付いて行くと、自販機とベンチが有った。
どうやらそこに座って欲しいという事らしい。
俺達は言われるがままに座る。
「.....何だ神子。時間が無いんだが。そしてお前、スルーしたろ」
「.....黙って。祭。悪かったけど。時間が無いから。.....和彦さん。先だっては有難うございました」
「.....いや.....祭がやっちまったから俺は何も.....」
「.....でも治療してくれましたよね。祭の馬鹿を」
誰が馬鹿だコラと祭はそっぽを向く。
いや、それはそうだが.....。
と思いながら居ると神子さんは飲み物を買った。
それから俺達に渡してくる。
受け取りながら、オイオイ、と祭が言う。
時間が無いってのに、的な感じで、だ。
だがそれを無視で神子さんは俺を見つめてくる。
「.....先日、お話しして下さった、部活動の件。了承しようかと思います」
「.....え?あえ?」
「.....私みたいなので良かったら入れて下さい」
祭が目をパチクリしながら神子さんを見る。
それから驚愕の眼差しで俺を見ていた。
俺も驚いてしまう。
まさかそんな言葉が聞けるとは、と思って、だ。
「.....マジ?どういう心境の」
祭がうるさいと思ったのか。
そこまで言った祭の口に手を押し当てた、神子さん。
そして俺を見てきた。
「.....お礼の気持ちです。もし良かったらで構いません」
「.....いや。有難うな。智子がきっと喜ぶよ」
「.....」
神子さんは嬉しそうな感じで俺を見てくる。
祭が苦しそうなんだが.....。
俺は苦笑しながら空を見上げる。
空は.....笑っている様な気がした。
「.....じゃあ、学校行こうか」
「.....そうですね。祭」
「苦しいんだよ!アホか!」
俺達はその様子に笑った。
祭りは笑い事じゃねぇよ!!!!!
と大声を発した。
ったく、と言いながらふてくされる。
「.....でも.....神子。変わったな。お前」
「.....それはアンタもでしょ」
「.....ハハッ、だな」
本当に仲が良い。
ここまで回復するのに時間が、犠牲が掛かったが。
それでも良かったっと思っている。
にしても時刻が。
「急ごう!」
「あ、はい」
「うぉ!遅刻じゃねーか!」
そして俺達は缶を放り投げてゴミ箱に捨ててから駆け出した。
取り敢えず.....今は勉強だな。
そして部活の事を考えよう、智子も一緒に。
アイツ.....絶対に喜ぶ筈だ。
「.....でも神子が入るなら俺も入ろうかな」
「.....マジで?それは歓迎だぞ」
「.....ああ。もうつっかえるものは無いしな」
「.....」
智子が創ったら部活は楽しくなりそうだな。
思いながら.....俺達は人気が無くなってしまった道を猛ダッシュで登校する。
完全に遅刻だし、祭の成績がヤバイ。
その様に思った。
マズイ、と思いながら。
☆
とりまと言えるが。
放課後に学校の会議室を借りた。
先に登校していた羽鳥先輩、そして智子。
更に菜美、神子さん。
そして俺と祭が集まった。
あ、あとミリアも。
「あとって何よ!!!!!アホなの!?私を忘れて!!!!!」
「.....ミリア。うるせえ。そもそもお前は部外者だっただろ初め」
「ハァ!?アンタ駄犬のくせに!」
ああもう話が進まないだろうが。
と思いながら何とかしてくれと菜美を見る。
菜美が立ち上がってミリアを押さえ込んだ。
その間に智子がホワイトボードの前に立った。
「えっと、例の部活の件です。それで.....部員が集まったんですが、あとは顧問が必要なんです。だから顧問を頼んだ先生が居ます」
その時だった。
ガラッとドアが開き。
それから人が入って来た。
その顔を見て俺達は驚愕する。
三年の先生、女性の、だ。
「顧問になる、大宿徹子だ。宜しく」
黒の長髪。
それから.....白衣。
更に言えば、厳つい目。
そして.....美人の顔付きで.....飴を咥えていた。
身長は俺と同じぐらいだと思うが.....。
と思っていると祭が背後で震えていた。
え?.....え!?
祭は指差して青ざめている。
俺は、なんだなんだ、と思いながら見る。
「.....おや?祭。お前.....ひっさしぶりだな」
「.....久しぶり?アホなのかアンタ。ついこの間会っただろ!てっ.....」
祭の頭に投げられた木刀が突き刺さった。
俺は驚愕して祭を見る。
祭は目を回して後ろにぶっ倒れた。
ちょ、ちょっと待て、嘘だろ!?
「ここでは先生と呼べ。じゃ無ければ死ぬぞ。ユアオールライト?」
「ま、祭ぃ!!!!!」
驚愕する全員。
俺は祭に直ぐに駆け寄る。
ダメだ、木刀が突き刺さっている!
マジマンジ!!!!?
その様な声を出していると羽鳥先輩が目を丸くしている。
「.....大宿さん.....なんで?」
「楽しそうだっだからだ」
「.....へ?」
羽鳥先輩は更に目を丸くした。
その羽鳥先輩に聞く。
この人、誰ですか?と、だ。
羽鳥先輩は目をパチクリしながら俺を見た。
「この人は.....祭が不良を辞めた時にお世話になった鉄人だよ」
「.....あ.....ああ.....なるほどです」
だからこんなに祭を.....と思いながら目の前を見ると。
至近距離に先生の顔が有った。
何だ!!!!?
思いながら.....先生の目を見る。
「アンタが和彦?祭の友人の」
「は、はい。イエッサー.....」
「.....ふうん。有難うね。祭の友人になってくれて。この子は狂犬だったから.....アンタのお陰で祭も変わっただろうから」
「.....」
笑みを浮かべながら飴を出す先生。
そして俺に飴を手渡して来た。
何で飴を食っているのかと思ったが.....って言うか学校で飴かよと思ったが。
この人、かなりのスモーカーだ。
胸ポケットにタバコ入っているし。
「それはそうと祭!起きな!!!!!」
「お前!てっちゃん、ふざけんなよマジで!」
「あぁん?何か文句が?」
「い、いや、ねぇけど.....」
祭が押し黙る。
こんなに全てを恐れている祭は初めて見た。
考えながら.....先生をまた見る。
智子が唖然としていたがハッとして言葉を発する。
「.....と、と言う事で.....大宿先生です.....」
「シクヨロ。因みに元.....生徒指導部のリーダーだけど気にせずにね」
「.....」
「.....」
え?と素っ頓狂な声が出た。
それは.....何つうか.....かなり行動が制限されそうな。
良いのか智子.....この人で。
でもまぁ.....秩序を保つなら良いかも知れないが.....。
しかし怖いんだが.....。
イラストレーター義妹と.....? 〜ヤンデレの義妹と仲間〜 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou
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