9、「新作ばかり思い付いてしまい、連載中の小説が書き進められない時はどうしていますか?」

 この話題はやはり人によって違うものではありますが、理想論でいえば「それでも連載の方を続けなさい」で終わります。とはいえ、職業作家ではない趣味の小説書きにそこまで苦行を押し付ける意味は、果たしてあるのでしょうか…………


 この話題に突入した際にまだ残っている方々は、ほとんど新作には移行しないという考えをお持ちでした。

 綾束 乙様のように、連載は何が何でも完結させるという意志の強い方もいらっしゃれば、えーきち様のように、そもそも連載に集中するので新作のことを考える余裕などないという、素晴らしい集中力を持つ方もいます。

 その中で私はというと―――――――う~ん…………ままならぬ。


 私だって、連載小説は必ず完結させた方がいいとはわかってはいるのですが、昔から物語を「引き延ばす」癖があるせいで、一つの連載を始めるとまず10万文字以内では終わらず、30万文字超えてようやく物語が全体の1割を越えそうなんてことが多々ありました。そうなると途中で行き詰ってしまい「実験」という名の気分転換に走るわけです。

 で、その気分転換も長くなってしまい……の悪循環。最近、短編で終わらせる癖をつけて、漸く問題に終止符を打てた形です。



 そんな南木の事情はさておき、えーきち様のように連載小説にかかりっきりになれば、いくらアイディアがわいてきてもそちらに取り掛かれないのが普通です。

 もし今回のテーマのような悩みを抱えているようであれば、おそらくあなたは作品を連載していることそのものが苦痛になりつつあるはずです。そのような状態では、いくら考え込んでもいい文章を書くことが難しくなってしまいますね……。

 とくに固定の読者が少ないうちは、叱咤激励してくれる他人がおらず、メンタル管理は自分自身に委ねられます。逆に言えば、読者に振り回される心配のない立場の方は、よりよい作品を追求していくために、あえて新作に移るのも手段の一つかもしれません。

 いずれはきちんと目移り癖は直していきたいところですが、ひょっとしたらそちらの作品の方が長く続きそうということもあるかもしれませんしね。


 また、新作のアイディアがポンポンと出てくるような作家様は、綾束 乙様のように、アイディアをメモとしてとどめておくのが有効でしょう。

 連載が途中で止まる原因はいろいろありますが、その一つに「次に書くシーンが思い浮かばない」と言うのもあるかもしれません。経験上、それは事前の練りこみ不足なので、ある程度一気に物語が書けるほどのプロットになるまではメモにしておきましょう。

 書いているうちに壁にぶち当たるよりも、事前に通ることができる道を策定しておくのはとっても大事!



 あと、これはレアパターンですが、本当に何でも書けるがゆえに、書かないと気が済まないという作家様も世の中にはいるんですよね…………

 とにかくアイディアが秀逸なので、書くものすべてがいいもので、毎回読者も大勢付くという。そんなすごい人を「小説化になろう」で何人か見ていますが、面白い反面、読者の方が「この作品はいつ放り投げられるか」の恐怖におびえることになります。


 まるでワーグナーみたいだな(白目)


 もちろんそんなことができる天性の作家様は数少ないですし、下手をすると読者が付いていかないので、私も含めて皆様誠実でありたいところ。



 今回は短いですが、関連して入れられるこぼれ話も思い浮かばないので、これにて終わりとします。




 ところで田中芳樹さん……「創竜伝」の続きまだですか?

 

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