8、「スポーツでも格闘技でも戦争など、戦う時の細かい描写のコツは?」
どうも、戦争屋さんの南木です。
現実世界の戦争には反対ですが、小説の中で繰り広げられる戦争は大好きです。
が、ここを見ている中で「戦争描写について学びたい」という方はおそらく皆無だと思われますので、今回はスポーツなどの勝負、およびタイマンから複数対複数までの局地的なバトルについて考えていきましょう。
私に戦争のことを書かせると、たぶんそれだけで20万字越えます。
まず基本として、どんな勝負も書く側にイメージがないとお話になりません。
サッカー小説書きたいのにサッカーのルールを知らないという方はほとんどいないと思われますが(漫画ではありましたが)、実際にサッカーがどんな動きをしながら試合を行っているのかを知らなければ、ただボールを蹴っているだけ小説程度にしかならないでしょう。いっそのこと蹴鞠の小説でも書いてろ。
何? 異世界サッカーで滅茶苦茶な描写をしていたお前が言うなって? こまけぇことはいいんだよ!
とにかく、まずはイメージが頭の中で思い浮かぶように、実際に手や足を動かしてみて、そういった動きが可能かとか、こう来たらこう受けるといった手順を反復してみましょう。
もっとも、バトルを中心にした小説を書かない限り、そこまで細かい描写をする必要はないとは思います。というか、そもそもバトルを中心とした小説が書きたいという作家が、バトル内容が思い浮かばないという事はないと思いますが……
問題となるのは、例えば女性主人公の貴族恋愛譚において、巻き込まれた陰謀の一端として戦闘描写を書く必要があったりだとか、現代ドラマで喧嘩の描写をしなくてはならないときなど、イレギュラーな事態を想定した書き方でしょうか。
そこでおすすめなのが、私がよくやっている「盤面戦闘」。
本編でもちらっと書いた通り、戦いに関わるキャラクター達を駒に見立て、想定される戦場を升目で区切って動かす方法を取っています。
スーパーロボット大戦やファイアーエムブレム(ファイヤーエンブレムじゃないよ!)のようなシミュレーションゲームが好きなので、こういったイメージを持っているにすぎないのですが、複数人の乱戦になった時に、相互の位置と攻撃の射程を把握しやすいという利点があります。
さて、そうはいっても普段ゲームになじみが薄い方に上記のようなことを言っても、やはりイマイチピンとこないとは思います。
戦闘描写を手っ取り早く上手くしたいなら、やはり既存の小説を模倣してみるのが一番ではないでしょうか。
一対一、あるいは複数対複数なら、メジャーどころだと「精霊の守り人」シリーズがいいですね。人間同士の戦いはもちろん、異形を相手に戦う描写もあるので、幅広く参考になるはずです。
また、バトルに限らずいかにして敵の攻撃を掻い潜るかの参考として面白いのが、ちょっと古い作品ですがミセス・ポリファックス・シリーズなんてどうでしょう。
とにかく戦闘描写に関してはたくさんの本があるので、まずは自分の琴線に触れる方法を模索していきましょう!
・避けた方がいい表現
逆に、バトルを書くにあたってなるべくしない方がいい表現があります。
よくやり玉に挙げられる「擬音語」。
一文の中にさらっと入っているのは問題ないのですが、擬音語だけで一文を作ると文章の格が下がります。
例えば以下の文――――
敵が剣で俺に切りかかってきた!
ガキーンッ!
「なにっ! この俺様の剣を受け止めただと!」
ミソッカスだと馬鹿にされていた俺が剣を受け止めたことに、敵はとても驚いているようだ。
「所詮はコネでランクを上げただけの奴……俺の敵じゃない」
俺はわざとらしく悪態をつきつつ、流れるように反撃を繰り出した。
ザシュッ!
「ば、ばかな…………上から聞いた話とは……ちがうぞ……」
そう言って敵はあおむけに倒れた。
――――即興で書いてみた、とてもひどい戦闘シーン。
とりあえずツッコミどころしかないんですが…………こんな風に効果音を配置してしまうのは、漫画の影響が強いからかもしれません。
この文の主眼は、バトルで盛り上がるよりも主人公の強さを際立たせたい思いが強いです。しかし、これだけではいまいち魅力が伝わってこないことは確か。
そのうえで同じシーンを推敲するとこんな感じになるでしょうか。
敵は俺を脳天から真っ二つにしようと、剣を大きく振り下ろしてきた。
動作が隙だらけなので避けるのはたやすいが、俺はあえて剣を横に構え、これを真正面から受け止めた。
金属同士がぶつかる音がガツンと響き、受け止められた敵の剣はそれ以上押し込むことはできなかった。
「なにっ! この俺様の剣を受け止めただと!」
「所詮はコネでランクを上げただけの奴……俺の敵じゃない」
敵が驚く顔を見て満足した俺は、挑発するような悪態をつきつつ、受け止めた剣を横にはじき、素早く横一文字に斬り返した。敵は、斬られた衝撃と胸から噴き出す血の勢いで、吹き飛ぶように仰向けに倒れた。
「ば、ばかな…………上から聞いた話とは……ちがうぞ……」
ミソッカスと馬鹿にしていた俺が剣を受け止め、反撃してきたのがよっぽど驚きだったらしい。敵は信じられないものを見たような表情のまま事切れた。
この文章もやや正解とは言い難いですが、ちょっとは読めるような内容になったと思いませんか?
一連の動作が流れるように進むと、読者もあまり負担なく読むことができるのです。
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