7、「新作を書く時、登場人物をどこまで詳しく設定して書き始めますか?」
ついに、今までに何度となく後回しにしてきたキャラクターがテーマとなりました。とはいえ、このテーマも私自身が出来ているわけではないのがつらいところ。
「智者は千慮に一失が有り、愚者も千慮に一得が有る」という言葉もありますが、私の意見はどっちかっていうと愚者サイドだということをご了承ください。
と、その前に――――
この辺になると参加者様もだいぶ少なくなったので、参加者様各位のご意見を見て見ましょう。
綾束 乙 様
・性格
・髪型
・目の色
・呼称(自分や相手の呼び方のこと)
綾束 乙様の場合、キャラクターはイメージ最優先という趣がありますね。「このキャラはこの色」というのが小説にも素直に表れています。
ファンタジーと言っても大河ドラマの色が強いので、主にキャラクターの心情部分を芯にして成り立っている傾向にあります。すると、物語内で特に強く表れるのがキャラクターの「しゃべり方」で、知っての通り綾束 乙様が作るキャラクターは、セリフが出ただけで誰が喋っているのかがすぐにわかるようになっています。
……ちょっと悪い言い方をすると「乙女ゲー」仕様。
えーきち 様
・フワッとしか設定しません(爆
実際のところ私自身も「だいたいこんな感じかな」という造形で作っていました。物語を進めていく中で、
おそらくカクヨムの中では最大多数派。
余談ですが、えーきち様はあらかじめ完璧なプロットを作る方なので、物語の方に一貫性を持たせてそれに合わせてキャラクターの形を変えています。そういった意味では、かなり珍しいキャラ造形をする方でもあります。
齋藤瑞穂 様
・性格
・容姿
・口調(語尾?)
齋藤様のキャラクターは現代小説的です。
ファンタジーと違って出てくるのは我々の身近にいる日本人ばかり(とはいえたまに動物とかいますが)なので、髪の毛の色や目の色といった部分ではなく、立ち位置や性格からキャラクター付けがなされています。
@shibachu 様
・身長
・体重
・年齢
・出身地
・趣味
・好きな食べ物
・異性のタイプ
・家族構成
本編で「履歴書形式」を提案してくださった方。実に多種多彩。
実はこれだけ色々設定しても、本文に現れない情報もあれば、そもそも小説の中では使われない「死に設定」もある。
だが、これらを作者がきちんと把握していれば、キャラクターの行動に一貫性が持てる。公募小説を書くのであれば、使わないかもしれない設定であっても、あらかじめ決めておくとよい。
あと意外なことに「容姿」という項目がない。なぜなら@shibachu 様のキャラクターは時代劇的な設定だから。見た目は大体形容詞一二個で済ませるタイプ。
ちかえ 様
・フルネーム
・年齢
・容姿(目と髪の色)
・備考、裏設定など
ちかえ様は綾束 乙 様とキャラクターの作り方が似ています。いわゆるファンタジータイプ。ただ、大きく違うのは、こちらは演劇のような設定をしていることでしょうか。
あえて「フルネーム」と書いたのも、主人公を含めたキャラクターは華々しい役者であり、彼らがどういった運命を背負っているかがより顕著に現れるからだろうと推測されます。
おそらくカクヨムでは二番目に多い派閥。
日竜生千 様
・性格
・容姿
日竜生千 様曰く「大体、性格と外見が(絵が描けるくらい)決まっていると、ちょっと疑問を持って水を向けるだけで、必要な情報がザクザク出てくるので、逆に必要なこと以外考えないようにしてる」
どういうことかと言いますと、日竜生千 様は頭の中でキャラクターがすでに3Dモデリングのようなことがされていて、話が進んでも自然とキャラクターの取る動きが決まってくるというもの。えーきち様とかなり近い。
南木
・性格のタイプ
・口調
・家族構成
・年齢
・他キャラとの関連
・特技
つまりゲームのキャラメイク方式。登場人物たちはデータベースからできている。一度出来上がったキャラクターたちは0と1の集合体なので、その上に既存のキャラクターで近いものをイメージして肉付けします。
ほかの方々にはない特徴として「特技」というのがありますが、これはキャラクターの長所短所、行動指針、戦闘方法を一緒くたにまとめた物とも言えます。
@shibachu 様の履歴書方式と似ていますが、こちらは客観性を重視しています。
こうしてみると、みっちり決める方もいれば、少しだけ像を作る人もいます。人それぞれやりやすい方法があるはずなので、いいところを取り入れつつ参考にしていきましょう。
・「ダメな子ほどかわいい」理論 & 「真面目は欠点」理論
さて、テーマ1と4から宿題にしてきた「キャラクターを作るコツ」をようやく披露する時が来たようです。決して思いつかなかったから後回しにしていたわけではございません。
長年小説を書いてきて、様々な実験を繰り返し、読者様の反応を見てきたことで、ある一つの真理が見えてきました。それは――――
キャラクターの魅力は欠点に宿る
これに尽きます。ダメな子ほどかわいいという言葉がある通り、味方も悪役も欠点があるからこそ読者に愛されるわけです。
今ここを読んでいる皆様、あなたが一番大好きなキャラクターを思い浮かべてみてください。そして今まさに思い当たるはずです…………自分はそのキャラクターの「欠点」または「弱点」に惹かれたのだと。
弱いキャラクターが頑張ると応援したくなりますし、完璧超人は隙があるからこそ魅力的に映ります。
もしキャラクターづくりが上手くいかないと考えている方は、まずそのキャラクターの弱点や欠点から作っていくといいでしょう。これは意外と難しくて、初心者ほどどうしても主要キャラクターを長所で埋め尽くしがちで、場合によっては「弱点 なし」にしてしまいたいと思ってしまうでしょう。
かくいう私もそうでした。主人公はなるべくみっともないことをさせたくない、そんな思いがあったからか、どうしてもキャラクターに魅力が出ない。
そして、逆を返せば――――
キャラクターの本質的欠点は長所に宿る
ということもわかってきました。
「なろう系」だの「太郎系」だのが嫌いな読者層の大半が批判の理由としてあげているのが「主人公のご都合主義で世界が回っている」というもの。
強すぎて気に入らない、陰キャのくせにモテモテなのが気に入らない、性格が鼻につく等々、批判されるのはもっぱら作者が主人公に付与した「長所」に集中します。
なぜこういう事が起きるか、理由は大きく分けて二通りあります。
・作者の技量不足で長所が書ききれていない
・長所が行き過ぎてキャラクターの魅力を殺している
「強い」という触れ込みのキャラが、単なる弱い者いじめをしている奴にしか見えないってこと、ありませんか?
それと、男性がよく言われるもので「真面目と優しいは貶し言葉と思え」というのがあります。一見すると褒めているようにも見えますが、要は「お前には魅力的な欠点がない」と言われているに等しいというもの。
長所と欠点は表裏一体の存在であり、キャラクターの真の魅力には、確かに裏打ちされた欠点が必要になるという事です。
そんなわけで、キャラクター設定をするにあたっては、そのキャラクターの欠点、あるいは弱点から考えてみるといいかもしれません。
ちょっと難しいですが、普段はないひらめきが得られるかもしれませんよ!
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