さらば窓

余記

第1話

ぼくのパートナーは、わがままだ。



色々、文句を言っては贅沢ぜいたくを言う。

3年前に出会ったばかりだと言うのに、もう、色々文句を言うようになった。

色々足りないだの、忙しいだの。

お仕事の役に立つから、と色々新しいソフトを買ったけど重くてまともに動きやしない。



まともに仕事するつもりあるの?

そんな事を言うと、すぐ黙る。

考え込む。

聞いてるんだから、すぐ返事してくれればいいのに。



「ねぇ、さっき頼んだ、こっちのお仕事どうなってるの?」

そんな感じで進捗しんちょくを見ようとしても、やっぱり止まってる。

仕事タスクを見ようとしても、見るだけなのに時間がかかる。

いらいらするから、もう、終わり。

でも、そんな事になってもグズグズしてるから、ほんとやってられない。



ひとつぐらい、いいとこあるといいよね。

そう思うんだけど、何ひとつとして見つからない。


うーん。よく考えるとそうじゃ無いのかも?


いろいろな事が便利になった。

いろいろな事が簡単に出来るようになった。

人は、便利な事にはすぐ慣れるもの。

だから、それだけ余計に期待しちゃうのかもしれない。



でもね。

だからと言って、あれは無いんじゃない?


便利になるように。

快適に過ごせるように。

そう、考えていろいろと環境を整えてきた。

自分の好きなもの。

自分の好きな事。

それらが簡単に出来るように、いらないものを捨てて、便利に使えるように整えてきた。

自分の使ってきたものがこなれてきたのか、キミが青い顔する事も少なくなってきたんだ。



でも、いつの間にか、キミは変わってしまった。

アップデートしないように気をつけてたんだけどなぁ。





だから、ぼくはマックに乗り換えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

さらば窓 余記 @yookee

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ