我が説を演べる時
●我が説を
「
何事が始まったのかと騒ぎ出す群衆。わしはその静まるのを待って、話を進める。
「賢侯と讃える他は無い不世出の
千里の馬、綺羅星が如き
再びざわめき、静まって後。尚もわしは数を二十数えて群衆を焦らす。
「この土州に生い立ち。今は
嵐に
されど、彼は上士に非ず、郷士に非ず、足軽ですらない漁師でありました。
為に土州は、メリケンやエゲレスの言葉に通じる有為の者を、
彼は土州に生まれ育った者にございますれば、君恩に奉ずる
なんと悲しい事でございましょう。たかが身分の低さが為に、忠義を成すことを許されぬと言う事は」
わしはここで二十八を数える間を置いた。わしの言葉を解する時間を与える為である。
「今。土州侯様と
ご安心下さいませ。同じ
されど、上の者に勝る優れた能さえあれば。これからは一介の町人でも、上士を差し置いて登用されるように成ります」
ほぼ
わしに注目し、静まる群衆にわしは
「われら御親兵は
その証が、女の身で十一にして御親兵差配と成ったこの
皆様の前で、僅か九つの童女にして土州侯様より大将と認められた
我が
土州の人々を
間を取り、機を計り、今こそわしは
「お聞きください。
参政である東洋先生の祖は、足利の天下の初めから皆様と同じ土州の者にございました。
遠祖が尊氏公により土州に
戦国の頃。吉田
後にこれが、土州をして四国の覇者と成さしめたのでございます。
長曾我部の滅びし後も、吉田家は衆に優れし能有りて上士に取り立てられました。
されど代々の当主殿は四国を制した
当代の東洋先生に至り、二百年に一人の賢君の下に参政と成り、漸く
郷士・地下浪人の皆様が先祖の誇りとするは一領具足。
その一領具足を創りし吉田の末裔が、身分賤しくとも君恩に報いる働きを可能
皆様。土州が誇る賢侯をお信じ下さい。賢侯の信頼
さすれば。明日の登茂恵・明日の生殿・明日の宣振は
わしは文彩を尽くして希望を掲げる。なぜならば、人間と言うものは希望のある限り暴発しないからである。
別して、宗教的使命感を除くのならば。
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