覇を拿む武器
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やけくその様に歌うよさこい節の替え歌。
「
「御意にございます」
「これも、噂に聞く
「はい。
その正体はポリスチレンを
「
わしは懐紙に
まあこれも、例によってこじ付けの名だ。
「拿覇武では解り辛いのう。秘薬の名はそれで良いとして……。
良し、
「宜しいので?」
随分と乗り気の土州侯様。
「火の輪に包む
「
「それでのう。この火輪弾、少し貰えぬか?
黒船と
土州侯様の反応を見る限り、洗いざらい持って来て正解だ。特に増粘剤でもあるポリスチレンは、未だ工業的には作る目途も立って居ない為せっせと実験室的に作った物であるが、一度にそれを使い切るだけの価値は有ったとわしは信じる。
さて。
二百六十年の年月が流れても、大樹公家の天下を裏書きするのはその武威に依るところが大きい。
薩摩や今世のわしの実家である
しかし土州は違う。能さえあれば下級武士でも出世の目のある江家や薩摩と違い。極めて役に立つ能が有ったとしても、それを取り立てる術がない為に、
郷士と上士を隔てる壁は高く厚い。だからこそ、勤皇の賊が付け込む隙が大きい。
土州に於ける勤皇の賊の暗躍を耳にされた大樹公様やご重役は、わしに土州の人々に、御親兵の威を見せるように命じられたのだ。
「他に回す程の量産は難しいと思います。何れにしても、登茂恵の一諾で進めてよい話ではございませぬ」
「だろうな。許しが出ても、先ずは登茂恵殿の実家からであろうし」
土州侯様には、まだ数が十分に揃って居ないし大樹公様のお許しが要ると言う説明で、取り敢えず要望を引っ込めて貰った。
「土州侯様。今、耳目は我らに集まっておりまする。丁度良い機会にございます。
土州人衆にご英慮を証して宜しいでございましょうか?」
「そうか。許す」
一般の見物人が居る矢来の方を見ると、未だ演習の興奮は冷めやらぬ。
わしは声を上げて彼らに向かって自説を
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