ショーグナイト
●辻交番
ご府中に嵐が吹いた。
わしの進言を承けて、
彼らの手足。役人が私費にて雇いし者達は、一旦一人残らず十手捕り縄を返上させて咎無き者には慰労金を支払い清算を行った。
その後、改めて人を選びて十手を下げ渡す。再び十手を預かる者も少なくは無かったが、町家の者達に入れ札をさせて、評判の悪い者は皆弾いた。
当然、そこに欠員が出来る。
「よもや半端者のわしらが、ご府中の十手捕り縄を賜るとはな」
そうして各所の辻に、一人が立って居られるだけの雨風を凌げる小さな
彼らは日に五合の飯を配給されるお雇いである。
お仕着せの法被を着て、首から紐で
辻で睨みを利かし交代で番をすることから、いつしか彼らは辻交番、或いは単に交番と言われ始めた。
ご府中
わしは赤穂四十七士の
基本
「ニュー・セレクター・シェリフ?」
「はい。エゲレスの言葉ならばそんな名前になると思います。
わしは、外国人やご府中の人々の安全を守るために、新しく選ばれた秩序維持の役人であると趣旨を話す。
するとオールコックス殿は少し考えて、
「エゲレス語では『ニューリ・シレクティド・シェリフ』、若しくは『ニューリ・シレクティド・マーシャル』だな」
と教えてくれた。
「オールコックス殿。実は天子様を狙い良からぬ者が
派遣する者達の中には素行の良くない者もおります。そこで
「トモエも行くのか?」
「
わしは余り短い期間では無い事を説明した。
●ショーグナイト
メリケン国総領事ハリスのを訪ねる男達が居た。
オランダ語に堪能な水府の同志を伴った清川
事前の根回しも済んでおり、ハリスは裏門から入って来た男達を迎え入れた。
「ほう。それで?
「そうだ。今、我々は、
「そんなに都合良く行くものなのか?」
少しばかり
「この国の人間で、朝敵の汚名を着て権力を保ち続けた者はおりません。武力で手に入れた権力に、正統性を与えて来た権威こそ、天子様に他なりません」
と断言する。
「権威を与える? ……では、
ハリスはじっと目を瞑る。
「そう言えば、天皇は神の子孫であったな」
「はい。だからこそ千年以上も、時の権力者が天子様より位を賜っているのです」
「ふむ……」
ハリスは目を閉ざしたまま、数える事三百余の沈黙を保つ。
「ハリス殿?」
その声に目を見開くと、ハリスは木鶏たちに向かって言った。
「我が国には
だが我々はフランス国とは違う。我らは彼が王と言うだけで断頭台に掛けたりはしない。
なぜならば、王や皇帝も一人の市民としての権利を持っているからである。
如何なる国の者であれ。王や皇帝を名乗る者を支持する者達が、自らの自由な意志によって彼の布告に随い税を納める自由を我が国は尊重する」
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