第1-6話 売ったって、はあ、意味わかんない

「売ったって、はあ、意味わかんない」若者と並んでいた車席から滑るように離れた女子の体、それ以上に声は離れていた。

「ねばならなかったのだ。金がかかるのでな」

「そうなんだ」ひとかけらの氷菓も溶けないほどの冷ややかさ。

 係員は白い髪のちびをこう考えても問題ないと思った。奴の立場は低所得者層すれすれだ。おいこら、おれは車を片づけるんだ。いつかまたどこかで、会えたら会おう。


"Sold it, darling? How do you mean?" She slid away from him along the seat but her voice slid away a lot farther than that.

"I mean I had to," he said. "For eating money."

"Oh, I see." A slice of spumoni wouldn't have melted on her now.

The attendant had the white-haired boy right where he could reach him-in a low-income bracket. "Look, buster," he said, "I've got to put a car away. See you some more some other time-maybe."


eating money…金がかかる

spumoni…「カクテルの一種」と「イタリアの氷菓のひとつ」のふたつの意味があるんだけど、まあカクテルってのはないかな。

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