第1-5話 女子は甘ったれた声で言った
女子は甘ったれた声で言った。いい案があるの、ねえ、乗合車を拾って家まで行って、無蓋車で出かける、とか。今日みたいな素敵な夜には、浜からモンテシトの丘まで走り上がるのね。人工池でどんちゃん騒ぎをしている知り合いもいるし。
髪の白い若者は丁重にことわった。はなはだ申し訳ない、無蓋車はもう持ってはおらぬ。売らざるを得なかったのだ。若者の声と話しぶりは、せいぜい果汁割程度の酒精度飲料を口にしたようにしか思えなかった。
The girl said with a nice burst of charm: "I have a wonderful idea, darling. Why don't we just take a cab to your place and get your convertible out? It's such a wonderful night for a run up the coast to Montecito. I know some people there who are throwing a dance around the pool."
The white-haired lad said politely: "Awfully sorry, but I don't have it any more. I was compelled to sell it." From his voice and articulation you wouldn't have known he had had anything stronger than orange juice to drink.
throw a dance…ダンスパーティ 自宅のプールのまわりでみんな集まって飲んで騒ぐ奴。ホームパーティのほうがいいかな。
politely…丁寧に このあとにはたいてい、ソリィとかいう語が続く。要するにお断りのフレーズ。
voice and articulation…声とその抑揚。両方あわせて「口調」でもいい気がする。
juice…あまり強くない酒かな。ストロンガー・ザン、なんでノンアルコールのジュースじゃないと思うよ。
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