ロンドンと、ケムリと、“オートマタ”……。

 まず最初に、この“19世紀イギリス”という設定が見事に刺さりました。


 人間と似て非なるもの、オートマタ。そしてそれを取り巻く不可解な事件と、人間の思惑。
 イギリスの産業に光明をもたらしたオートマタは同時に、深い深い影を落とす……。その影の深さを知ることができるのは、同じ影で生きる人間だけだろう。


 全体的に“ダーク”な雰囲気漂う作品ですが、それが上手く“19世紀イギリス”という設定とマッチして、とてもいい味が出ていると思います。あと、筆者様の文章力に裏打ちされた“ケムリに包まれたロンドン”についての描写は、目を見張るものがあります。

 正直なところ、読者を選ぶであろう作品だとは思いますが、刺さる人には刺さります。というか、致命傷を負う事間違いなしです。


 まだ途中の作品ですが、これからの動きに期待です。