第4話 明日を信じて

おやすみなさい、ママ、パパ。

今日はとっても楽しかった。

念願の水族館。宝石みたいな熱帯魚。神秘的な深海魚。海月くらげの舞に時を忘れる。

水槽から離れない私を、パパもママも急かさずに待っててくれた。

巨大な水槽。海の底から見上げた空を泳ぐ、無数の生きものたち。

私、今日見た景色をずっと忘れない。


ママもパパも、一日中笑ってた。

「もっと早くお休みとれば良かった。もっといっぱい、連れてきてあげればよかったね」呟いたママは、少し寂しそうだったけど。

私は、ずっと幸せだったよ。


いつか、水族館で働く人になりたいんだ。

毎日、あのお魚たちに囲まれて暮らせたら、幸せだろうなぁ。

誕生日に買ってもらった魚の図鑑は、私の宝物。


今日のお土産、明日、りのちゃんに渡すんだ。

お揃いのイルカのキーホルダー。喜んでくれるかな?

楽しみだなぁ。


夕飯は、私の好きなものばかりだった。

オムライス、シチュー、ポテトサラダ。

「油の処理が大変だから」って滅多に作ってくれない、ママの唐揚。

ケーキまで出てきて、びっくりした。

「何のお祝い?」って聞いたら、パパが笑って「頑張ってきた自分達への、ご褒美」って答えた。

すごく嬉しかった。


「今日は一緒に寝ましょう」ってママが言うから、小さい頃みたいに、ママとパパに挟まれてお布団に入った。

なんだかワクワクする。

ママのいい匂い。パパの大きな手。


ねぇママ。

今はまだ苦手な鉄棒も、解けない算数の問題も、意地悪してくるあの子も。

きっと、大丈夫。

きっと、うまくいく。

…ほんとは、泣きたい時もあるんだよ?

でも、今日みたいな日があるから頑張れる。

乗り越えるための、力が湧くの。

目の前に広がる、まっさらな未来。

いつか家族で見た、映画の台詞みたいに。

Tomorrow is another day

明日を信じて。


おやすみなさい。

また明日。




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