たなばた
ひぐらし、七回くりかえして
また暑くなる
日・月・火・水・木・金・土
最後のホタルがひかるのを止めるころ
かわりみたいに星くずが一陣
暗い夜空に線を引く
あ・ま・の・が・わ
たなばたを最初に考えたひとは、えらい
男の人か女の人かわからないけれど
ただひとついえるのは
そのひとの恋愛はうまくいかなかったってことだ
一年に、一回、すらも会えなかった
最後のホタルがひかるのを止めたときのきもちは
どんなかんじ?
湿った風にもささのはは揺れる
ふと願い事を送るのをとまどってしまう
今年のつゆは空つゆで
やけにきれいに見えるあの川が
つくりもの、みたい
なぜってぼくらは
星になることもなく
ホタルになることもなく
ちゃんと出会えた
ひぐらし、七回くりかえして
また暑くなる
日・月・火・水・木・金・土
だんだんおいしくなっていく麦茶
温度をましていく日常
あたりまえがいちばんいーね、と笑ったとき
「それたなぼたやん」と
びみょうに崩れていく語感のちがい
七月六日、明日の天気予報がきになる
あまのがわ
ふりさけみれば
かすがなる
彼女がそうつぶやいたので
どういう意味?と訊いたら
おしえない、でも願い事に書いておいたから
というので
「来年も会えますように」
みたいなことをぼくは書いた
彼女はわらった
みかさのやまに
いでしつきかも
そうかも
月かも
たなばたを最初に考えたひとは、やっぱりえらい
近代詩少年の事件簿 にゃんしー @isquaredc
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