第2話 どちらかと言えば生臭いような
処理が追い付かないが一個一個整理していく。
布団の中には
代わりに緑と黒を混ぜたどろどろの物体——
百歩譲って食品であったとしても美羽花ではない。はずだ。
僕は混乱しているのにどういうわけか落ち着いていて、まず玄関に向かうことにした。
そこには美羽花の靴が置いてあった。夏物にも目を通したが、すべて置いてある。次に美羽花のカバンを物色する。鍵があった。
つまり、美羽花は外に出ていない。帰って来たときに確かに解錠をした記憶がある。外に鍵も持たずに裸足で出たとしても、ドアに鍵が掛かっていることの説明がつかない。
携帯電話は。
寝室に戻って美羽花の布団の周りを見ると、枕のすぐそばに置いてあった。
僕は何となく自分の携帯にメールが届いてないかを確認した。彼女からのメールが来ていた。
『バカ』
そう一言書かれていた。
彼女の悪い癖だ。何はともあれ僕のせいにするのは。
しかしながらこれですべてが腑に落ちた。
これは美羽花だ。
ネバっぽい糸を引く、生焼けのシーフードグラタンの匂いを発する海苔の佃煮。
彼女は
僕はキッチンの椅子に座って、目の前に雑然と置かれたコンビニ袋を手に取った。プリンとお菓子が入っている。でもなんでかそれを食べる気にはなれなかった。彼女はもう海苔の佃煮だが、これは彼女のために買ってきたものなのだから、食べてはいけないような気がした。もしも彼女が海苔の佃煮から人間に戻ったら、その時に渡そう。だから冷蔵庫に入れよう。消費期限は大丈夫だろうか。
ぼんやりとミュシャに行けなかったなと思って、なんだかんだで自分も楽しみにしていたのだと気付いた。
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