第24章 真実と言う名の怪物が目を覚ます

「……単刀直入に言おう。俺は、犯人の元々のターゲットの一人、そう思っている」


 それは、重苦しい空気の中、ようやく開いた村田の口から出た言葉だった。


 元々のターゲット、すなわちそれが意味することは、一連の事件において、優先的に殺害される人物と、そうではない人物の区別がされているということだ。

 それについては、俺が以前、この村田と中原に話したことでもあった。


「それは……渡辺と他の三人の、殺害方法が異なる、ということから生まれた発想なのでしょうか」


 確認するまでもなかったが、俺は村田の真意が知りたかった。そのため、あえて分かり切っていることを、再確認したのだ。

 もちろん、その話に村田は黙って頷いた。


「そんな、それじゃあ、村田先輩と渡辺が、犯人にとって重要なターゲットだったと、そう言いたいんですか……?」

「そうだ。俺と渡辺には、大きな共通点がある」


 村田の言う、共通点。それが、今回の犯人が一連の事件を引き起こした理由なのだとすれば、必然的に容疑者が絞り込まれるはずだった。しかし、村田は犯人のプロファイリングではなく、自らの死を示唆しさしたのだ。


「お、おかしいですよ」


 胡桃が、少し混乱したように口を開いた。


「ターゲットは、渡辺と村田さんの二人だけで、あとはどうでもよかったと、そう言いたいんですか……? それでは、あまりにも……」


 あまりにも、無駄が多い。

 恐らく胡桃は、そんなことを言おうと思っていたのだろう。しかし、言葉にはしなかった。いや、できないんだ。自分の最愛の姉が、そんなことで殺されたということを認めることになるからだ。


「……胡桃、大丈夫だよ。分かっている」


 俺は、今にも唇をかみ切りそうになっている胡桃の頭を、優しく撫でた。少しだけ震えていた胡桃の体が、少しだけ落ち着いたように感じた。


「……そうだな、安藤 理佐……お前の姉も、犠牲になっているんだ。俺や渡辺のついでに殺された、そんなん、受け止められるわけねぇ」


 そう言って村田は、ガシガシと頭を掻いた。まるで、冷静になるように、と言わんばかりに。


「……まずは、そうだな。結論を先に言おう。俺と渡辺の共通点だ」


 ふぅ、と少し息を吐いた村田は、静かに、そしてはっきりと答えた。


「10年前、あの『エンドラーゼ』の事件を担当したのは、この俺だ。そして、渡辺と共に、あの薬がヤバいと報告したんだよ」



 10年前の臨床試験……あの時、彼らの死に事件性を見いだせなかった警察官、それが村田だった。そして、渡辺は『エンドラーゼ』による死だと関連づけた。

 共通点は、そう、『エンドラーゼ』だった。


「……で、あれば……」

「そうだ、それが犯人の動機なのだとすれば、事件を闇にほうむった俺と渡辺は、真っ先に狙われるだろうな」

「ちょっと待ってください」


 村田の言う共通点、これが確かであるということは、俺にも理解できる。しかし、納得できない点がいくつもあることは確かだった。それを確認せずに、先へは進めなかった。


「それが今回の動機だとすれば、なぜ……」

「なぜ、高島 春来は狙われたのか、だろ?」


 言いかけた俺の言葉を、村田が紡いだ。こういう反論をするだろうと、予測していたように。


「……そう、です。何で俺が狙われたのか。鈴石が生きているのだとすれば、それは納得できた。でも、鈴石は結局、今回の事件に姿を現していなかった。そうであるなら――――」


 俺が狙われる意味はない。


 鈴石が俺の両親、特に父である拓馬を恨んでいることは分かる。しかし、言ってしまえばあまり関係のない母、そして彼らの息子である俺にまで手を掛けるのには、相当な執念と、狂った精神が必要となるはずだ。


 そうであるなら、10年前、帰宅した俺を待ち構えていなかったのはなぜか。

 そうであるなら、10年もの間、どこでどうやって暮らしていけたのか。

 そうであるなら、今になってようやく、俺を襲おうとしたのはなぜか。


「……鈴石が、まだ生きているかどうかは定かじゃねぇ。監視カメラの映像に残った姿は鈴石で、今回交通事故で死んだ井上は、その替え玉だったという可能性は高い」


 暴走した鈴石を例の組織が抑え込み、そして彼女が死んだことにして事件の幕を下ろさせようとした……そういうことを、村田は言いたいのだろう。強引だが、そんなことも平気でやりそうな連中だということは、よくわかっていた。


「だとすれば、鈴石はすでに組織の連中によって、厳重に保護されているはず……」

「そう、そうなるよな。でもな、暴走した精神異常者は、まともに研究だとかできるもんだと思うか?」


 鈴石の専門は、脳科学。脳神経の細胞などは、恐らく厳密な管理が必要になるだろうし、そもそも論文にしたり、組織内での報告を作成するとか、そういったことを行うには、精神異常を起こした者には、まず難しいだろう。

 ということは、それが意味するのは――――


「俺は、鈴石は既に死んでいると考えている。今まで生きていたかどうかは知らねぇし、監視カメラにも映っていたのかもしれねぇ。でもな、もう生きてねぇ、そう考えないと合わねぇんだよ」


 そもそも鈴石が生きていなかった、という仮定はついさっき胡桃としたばかりだった。研究内容が重要で、研究者として用済みならば、生かす意味がない。そして、精神異常を起こした鈴石なんていう爆弾を、これ以上組織が抱え込むことは、まずあり得なかった。

 もし生きていたとしても、今回の事件で彼女は色々とやらかしている。これ以上、あの状態の彼女を放置することはよくない、と組織が判断するのは、至極しごく真っ当なことだ。


「じゃ、じゃあ、俺はもう狙われることは……」

「狙われる可能性は、非常に低いだろうな。そこで、俺はこうも考えたんだよ」


 緊張した面持ちの中原と、必死に何かをノートに書きなぐる胡桃。そして、呆然とした俺に、村田はさらなる一打を加えてきた。


「お前……いや、吉岡 春来が狙われているとなれば、当然、過去について調べることになる。そうすると、どうしたって鈴石の名前が出てくるんだ。そして、それを狙ったかのように現れた、特徴的な女……これを結び付けない方が、おかしいよな」


 俺が狙われることによって、逆に鈴石の影を想起させた。つまり――――


「俺たちは、思考誘導されたんだよ」









 俺が、あの女性を観て、そして襲われていると錯覚しだしたのは、いつからだったか。


 東京総合国際病院で観た、あの監視カメラの映像。もうそれは残っておらず、その存在自体への追及も不可能になっている。でも、俺や他のみんなに対して、何か異常な人物が関わっている、と信じ込ませた一つの要因だったことは、確かだ。


 俺が夜間、あの女性に襲われたということ。あれは事実であり、真実なのだ。しかし、あの監視カメラの映像を観ていなかったら、俺はあの女性に対し、特別な思いを抱いただろうか。それこそ、足を止めて震えだすほどの恐怖心を。


 俺の部屋の郵便受けに入っていた針。あれは、いつ入れられたのか分からないし、そもそもあれは明らかに殺傷能力が低かった。毒も塗られておらず、指に小さな傷を負っただけだった。そんなことを、本気で殺したい相手にするか? いや、しない。あれは、ただ恐怖心をあおるだけであった。


 そして宮尾がぶつかったという女性。これは誰かがふんしていても成立するし、午前の時間帯に、そんな女性が向かってきたところで恐怖もあったものではない。明るい時間帯であれば、恐怖心よりも抵抗する力の方が上回り、かえってあの女性を撃退していただろう。


 ――――そうだ。俺を今までずっと追っていたのは、妄想だった。妄想が俺を事件へと駆り出し、そしてこんな奥深くにまで、俺を追い込んでしまったのだ。



 しかし、まだ疑問に残る点があった。



「……米村さんは、アパート周辺の監視カメラに映った女性を、鈴石の写真と照合したと言っていました。それによって、90%以上の確率で本人であると証明した……それについては、どうやって結論付けたらいいのでしょう」


 そうだ、画像での照合……あれがあったからこそ、米村や俺たちは、あの女性が鈴石であると信じてしまった。顔写真の比較で、しかも専用の機械を使って導いた答えを、否定するには困難だ、そう俺は思ったのだ。


「単純に、10年前の、しかも遺体の写真相手だったから、ということじゃないのかな……あのたぐいの照合システムって、絶対的ではないし、特殊メイクなんかだと誤魔化せることもあるから……」


 胡桃の言う通り、機械が判断したということを考えれば、顔の特徴だけ似せた女性をただ歩かせただけで良いことになる。今考えれば、そんな単純なトリックだったのかもしれない……。

 しかし、だ。そこまでして、俺を事件へ誘導したい意図と言うのは、一体なんだというのか。


「……そうか、吉岡夫妻と鈴石の関係が浮上した以上、10年前の事件を再捜査する動きが出るはず。そうすれば、15人の死亡が、誤認だった可能性について気づく人がいても不思議じゃない。……ということは」


 そうだ。10年前の事件を呼び起こし、再捜査させること……これが犯人の目的。


「だから、俺が死ぬことを織り込んでいる、という訳だよ」


 村田は、顔色一つ変えずに言い放った。他人事のように、そしてむしろ、事件が解決するならいいじゃねぇか、そう言いだしそうな表情だった。


「ま、簡単には死なねぇよ。柔道は五段まで取ったしな、近接戦なら、自衛官にだって負けねぇ。まぁ、膝のこともあるからな、無理はできねぇが」

「いや、そういう問題ですか……」


 カカッと高らかに笑う村田に対し、呆れたような表情の中原。

 そんな中、ピタリと動きを止めた胡桃は、村田にある質問を投げかけた。


「それで、犯人の目星は付いているんですよね……? そこまで理論的に分析しているのなら、プロファイリングも完璧なはずです。だったら……」


 胡桃の話を、村田は小さくため息をいて遮った。


「……考えられるのは、15人の被害者たちの遺族の誰か、もしくは『エンドラーゼ』の研究に携わった者だ。そもそも10年も前だということもあるし、色んな人間が関わりすぎている。そんな中で、コイツだ、何て言えると思うか?」


 胡桃は、村田の言葉を聞いて少し口角を上げた。笑っている、という表情ではないが、彼女の探偵としての顔が、少しだけ垣間見えたような気がした。


「被害者遺族たちも、開発に関わった人たちも、誰も何も言いませんよ。なぜなら、遥の事故があったからです。あの事故を起こしたタクシー運転手、支倉さんと言うのですが、彼はその被害者遺族の内の一人でした」


 村田の知らなかった事実。東野 遥の事故と、10年前の事件に繋がりがあったこと。運転手の支倉は、息子をあの事件で亡くしている。そして、その事件に疑問を抱いた彼は、他の遺族と共に活動をしていたのだ。

 例の組織が、本当に彼をプロパガンダ的に殺したのかは分からない。しかし、支倉が死んだという事実は、他の遺族たちにとって大きな衝撃だっただろう。


 『エンドラーゼ』の開発に携わった研究者たちも、今さらそんなことに関わりたくないと感じるはずだ。奇跡堂で働いていたのなら、『エンドラーゼ』という名前すら聞きたくもなかっただろう。あれのせいで、彼らは無職となり、再就職にも影響したのだろうから。


「……ほう? とすれば、誰にこんな事件を起こす動機がある? 研究者でもなく、被害者遺族でもない。だとすれば……」


 そこで、俺はハッとした。午前中、胡桃とカフェ・レストリアで話した、あの事実。あれがもし、本当のことだとすれば……犯人は……


「岬 千弦……」


 胡桃は、小さくその名を口にした。

 岬 千弦。母親を狂わされ、そして兄のように慕っていた人物を、例の組織により殺された、俺の親友。


「そ、そうです。俺たち、あのカフェでそんな話をしていました。岬の母親が、鈴石の共同研究者だったこと。そして岬は、例の組織を明らかに恨んでいること」









 岬 千弦――――


 彼女の父親は、多忙のためあまり自宅には寄らない人間だと、岬本人から聞いたことがあった。そんな彼に、高校時代、一回だけ会ったことがあった。岬のことを特に気にかける様子もなく、むしろ親友の俺や宮尾を気に掛ける姿が印象的だった。……身内を、家族を大事にしない、しかし他人には優しい、俺はそんな父親だと感じた。


 彼女の母親には、一度も会ったことはなかった。岬本人も言っていたことだが、五年前に事故に巻き込まれ、今はただ生きるだけの人間になり果てているのだという。

 高校時代、岬の家に遊びに行ったとき、彼女に『開けてはいけない』と言われた部屋があった。そこには、もしかしたら母親がいたのかもしれない。でも、その部屋の前を通る彼女の表情は、とても暗く、悲しかった。


 数時間前に、胡桃が言っていた推測。TOX - Aによる洗脳実験の妨害……渡辺を殺し、俺を事件へと巻き込んだのが10年前の事件を想起させるためだとすれば、やはり辻褄は合うのだ。結果的に彼女の母親が起こしてしまった事件の、真相を解明させるために。そして、彼女の母親と、その仲間を救うために。

 もしかすると、10年前の真相を話すように、と、岬は渡辺に交渉を持ち掛けたのかもしれない。その結果、彼は殺されたとすれば、彼は岬の話を断った、そう受け取れる。


 岬は、とても正義感の強い娘だった。いつも前向きで、喋り好きで、明るく元気で。それでいて、シビアに現実を直視している人間だった。

 だから、例の組織を許せなかった。そしてそんな彼らの行為を指摘しなかった渡辺、村田を憎んだ……。


 だとすれば、俺は岬の行為を許せない、と言えるのだろうか。人の道に反した人たちを更生するため行われた今回の事件。それを、俺は正義だと感じてしまう。


 殺害された被害者たちが悪いわけではない。しかし、彼女が受けた傷は、もう取り返しのつかないところまで来てしまっていたのなら、それは、一体誰の罪になるのだろう。



「……岬、千弦か……確かにな。研究者本人ではなく、その家族、か。動機と言う観点で言えば、彼女も立派な容疑者になり得るだろうな。でもな……」


 村田は、俺たちの話を黙って聞いていた。そして、じっと目を閉じ、言葉を口にした。


「井上 由貴子の件……岬 千弦が犯人だとすれば、彼女を鈴石に仕立て上げ、殺すには少々乱暴だ。交通事故とは言ったが、普通の事故じゃない。……そうだな、中原」

「はい」


 すると、中原は一枚の写真をこちらに差し出した。……エンドルパワーの空き瓶と、何かの栄養剤のような瓶だった。


「これは……?」

「井上の部屋から出てきたものだよ。彼女は、エンドルパワーを飲んで、そして……」


 少し言いよどんだ中原だったが、一息いた後、意を決したように語った。


「このカプセルを飲んだ。この中には、無数の蟻が入っていた」

「蟻……!?」


 突拍子とっぴょうしもない言葉に、思わず耳を疑った俺と胡桃。しかし、それは冗談ではないということが、村田や中原の表情から分かった。


「恐らく、だが……いや、ほぼ確実に言えることだ。井上は、毎日大量の生きた蟻を飲んでいた。結果、蟻の毒によって腸管がびらんとなり、やがて破裂したんだ。そして、そのタイミングを図って、犯人は事故を起こさせた」


 俺は、彼らの言っている意味が分からなかった。あまりにも奇抜すぎて、おぞましい殺害方法だったからだ。しかし、それを行うには、確かに岬では厳しいだろう。岬は、井上 翔也を愛していた。そんな人の母親を、こんな風に殺せるだろうか。


「そ、そんなことが可能なのですか……? そもそも、蟻をたくさん飲んだからといって、そんな都合よくお腹が破裂するなんて……」


 胡桃は、その様子を少し想像してしまったらしい。その体は、小さくカタカタと震えていた。


「破裂と言っても、風船のようなものじゃない。腸管が破れたことで腹腔ふくくう……そうだな、お腹を覆っている空間のことだが、そこに体液がどんどん溜まっていく。そんな状態であれば、ちょっと切れ込みを入れただけでも充分、ああいった状況を作ることが出来る」


 ああいった状況、と村田はぼかしたが、何となく想像できてしまった。交通事故だというのに、腸の話をし出した、その意味を。恐らく、外傷とは別の、大きな損傷があったのだろう。なるほど、事故の写真を見せなかったのは正しい判断だ。


「……よく、分かりました。でも、それだけでは岬が犯人ではないと言えない。それじゃあ、岬を守れないんです。もっと、岬が犯人ではないという証拠があれば……」

「あるじゃねぇか、ここに」


 そう言って村田は、井上の部屋にあったというエンドルパワーの空き瓶を指さした


「例の毒物を使うことに対して否定的な立場なんだろ? だったら、今さらこんなもん使わねぇだろ。それにな、井上は霊身教れいしんきょうの信徒じゃない」


 そうだ、井上の死にTOX - Aを使用する意味がない。松山、安藤、奥村と、三人も殺害しているのに、彼女を同じように殺すのは、いくら関連づけたかったとしてもやりすぎだ。それに、霊身教れいしんきょうの信徒ではない彼女に、エンドルパワーを飲ませるのもまた、不可解なのだ。


 俺たちの推測した、岬の犯行の可能性を示唆しさする大きな理由の一つが、霊身教れいしんきょうの信徒を使ったマインドコントロールの実験を妨害することだった。そうだとすれば、霊身教れいしんきょうの信徒ではない井上に、毒物を飲ませるのはおかしいことだった。


 そこで、俺はふと、あることに気付いた。ここまで理論的に問題なく、岬を犯人に仕立て上げられるような証拠が揃ってきていたのだ。井上の自宅が分からなかったら、岬を犯人だと信じ込んでしまったに違いない。

 だとすれば、犯人は――――



「……犯人は、岬の家族のことや、犯行の動機になりそうな事実を知っていた……?」

「はぁ?」


 突然の俺の発言に、村田は聞き返してきた。ポカンとした表情を浮かべた彼を見て、まだ誰も思い至っていない可能性の話だと、俺は確信した。


「もし、ですよ。井上の自宅にエンドルパワーの空き瓶が無かったら……」

「……ああ、そういうことか……」


 村田は、そこまで聞いただけですべてを察した様だった。彼の眼光が、より鋭いものへと変わっていったのを、肌で感じた。


「え、ど、どういうことですか?」


 中原は、まだ気づいていないようだ。トリック自体は簡単だが、色々なことが重なっていると気づきにくい。それは、俺がこの事件に追われている、と錯覚した時と同じだ。


「こいつらみたいに、岬 千弦の過去を洗い出した刑事がいたとすれば、どう思う?」

「どう思うって……それは、重要参考人になると思いますから……まさか!?」


 そこまで言って、ようやく中原も思い至ったようだった。ハッと口を押え、俺の方を凝視している。


「過去の事件を全て調べることが出来て、しかも証拠を色々と弄り回すことができる。そして、犯人を仕立て上げ、取り調べと称して密室で殺すことが出来る人物……」


 そう、警察官。そして、考えたくなかった、あの人の顔が浮かんだ。

 彼は、最初から全て知っていた。監視カメラの映像も、鈴石だという証拠も、例の組織の情報も、全て彼が持ってきたことだった。




。彼は、全ての事件を起こすことができる、唯一の人物です」

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