貴方が幼少期、竜の出てくるファンタジーをよく読んでいたのなら、きっとこの物語も好きになるでしょう。
竜。架空の生物の中でも至高の存在。
あるいは神として、あるいは災厄として、この物語にも様々な竜が出てきて、人とのかかわりが描かれます。
いろんな神話の伝わり方があったり、人々の竜のとらえ方もそれぞれだったり、この作品に出てこない部分にも世界が広がっていることが想像できて、とてもわくわくした気持ちで読むことができました。
昔好きでよく読んでいた挿絵付きの児童文学を、大人になってもう一度楽しめた気分でした。
すごく綺麗なお話でした。
まず個人的なことで申し訳ないのですが、とても好きな作品でした。
竜になったクオンと兄のザクロのやりとり、それぞれの竜と人のストーリー、そして世界観。びくりするくらい好みで見つけて嬉しかったです。
さてこの作品についてですが、この作品は「ゲームブック」です。
どちらに進むかによって、次に読むお話が選べる・ストーリーがかわる・エンディングがかわる、そういった小説です。
つまり読者の選択によって、クオンとザクロの旅が変わってくるのです。
そして選ぶことのできる物語のどれもが「竜と人間」の物語であり、竜のクオンと人間のザクロは、各地のストーリーを見て回りつつ、クオンを人間に戻すため、竜の涙を集めます。
しかしこの各地の「竜と人間」の物語は、決して優しいものばかりではありません。残酷なものもあるのです。
読者の選択によって、クオンは成長し、心情は変わっていきます。
あなたの選択で、この物語はどんな終わりを迎えるのか。クオンは人間に戻れるのか。それとも――。
ぜひ、クオンとザクロの旅を見守ってください。
ちなみに私のラストは12話でした。
後から全ての物語とラストを読んだのですが、好きなお話は6話です。
2話もコミカルで好きです。
ラストに関しては、個人的に一番印象に残った10話が好きです。
素晴らしい物語を、ありがとうございました。