第4話 海の竜

 海を前に、クオンとザクロは絶句していた。あまりにも広いからだ。海はどこまでも果てしなく、絶え間なく波が押し寄せてくる。とりあえず海に来てはみたものの、こんなに広いのでは、どうやって竜を探せばいいのか。足元の砂浜ではやどかりがゆっくりと歩いている。

「まさかこんなに広いとは思わなかったよ」

「すごいねぇ。ここの竜はおうちが広くていいなぁ」

「おうい君たち! もしかして、君は竜かい!?」

 不意に後ろから声がかかった。クオンはビクッと身を震わせる。自分のことを「化け物」と呼んだ母の声が脳裏によぎった。

「素晴らしい! 君はとても美しいな! 君は水晶のようだ! 竜というのは、どうしてこうも、美しいのだろうね!」

 にこやかな男だ。海から上がって来たところなのか、体じゅうを雫が伝い落ちている。全体的に筋肉質で、健康的な肌が水を弾いている。顎が大きく、眉毛が太い顔立ちのせいで、原始的な印象を受ける。

「そうでしょ! 僕の弟なんだ! クオンはね! すごいんだよ!」

「ほう! 君たちは兄弟なのか!? しかしどう見ても君は人間だろう?」

 予想しなかった対応にクオンが戸惑っているうちに、謎の男とザクロが一瞬で打ち解けた。そういえば、人間に会うのもずいぶん久しぶりだ。もしかしたらザクロは人に飢えていたのかもしれないな、とクオンは思った。自分はやっぱり、今は竜なわけだし。

「クオンはね、元は人間だったんだけど、色々あって竜になっちゃったの。それで、元に戻るために竜を探してるんだけど、おじさん、この辺で竜を見なかった?」

「なんだと!? 君は人から竜になったというのか!?」

 男はその場で膝をついて崩れ落ち、目を見開いた。そして勢いよく頭を下げ、額を砂浜に擦り付けると、大声で叫んだ。

「頼む! その方法を教えてはくれないだろうか!」


 話し込んでいるうちに日が傾き始め、透き通った水が赤い光で照らされている。水底では波の影と小魚が絶え間無く動き回っている。

 三人は海に向かって座り込み、水平線を眺めている。

「そういうわけで、クオンはそういう家系の人だからうっかりなっちゃったのであって、誰でもなれるわけではないんだ」

「そうか……俺には無理か……」

 あからさまに、男は肩を落として落ち込んだ。

「おじさんはどうして竜になりたいんですか? 結構不便ですよ。背中かけないし、ご飯もだいぶ変わっちゃうから、大変です。ザクロが美味しそうな干し肉食べてるのに、僕は木の皮とか動物の内臓とか生肉とか食べてるんですよ?」

 勢いよく男が立ち上がった。尻についていた砂がパッとあたりに散る。

「美しいからさ! しなやかな体! 力強い牙と爪! そして神秘的な角! 何より、強い!クオン君、君もたいへん美しいが、私には憧れている竜がいるんだ。彼女のように美しいものを、俺は見たことがない! 私はどうしても、彼女のようになりたいんだ!」

「もしかしておじさん、海の竜の居場所を知ってたりしない?」

「知っているが?」

「案内して! 僕たち、どうしても竜の涙が必要なんだ」

「ようしいいぞ! ついてこい! 俺もちょうど彼女に会いたかったところだ!」

 元気よく走り出した男を、クオンとザクロは追いかけた。


 男が二人を連れて来たのは、崖に囲まれた入江だ。断崖が削れてできた洞窟が、波を飲み込んでいるのが見える。入り口こそ波の上だが、奥は海の底だ。水面から反射した光が、天井を照らしている。

「こんにちは! 海竜の君はおられるか!?」

 男が声をかけると、さっきまで波を飲み込んでいた洞窟が、今度は波を吐き出し始めた。水の底で、大きな影が揺れたかと思うと、竜が優雅に顔を出した。海と空の色が焼きついたような、深い青をしている。夕日を浴びて、水面とともに鱗が輝く。

 海の竜は、三人がいる砂浜にあがり、細長い体をぐっと伸ばし、その場でとぐろを巻いた。動きは素早いのに、しぶき一つ飛ばない。水と一体になっているかのようだ。大きな蛇のような姿だ。クオンや森の竜とは違い、翼が付いていない。代わりに、背中には大きなヒレがついている。ヒレを透かした夕焼けの光が、赤紫色の影を落としている。

「なに? アンタまた来たわけ? いい加減諦めなさい。人間風情が」

「おお、今日もお美しい。ご機嫌いかがかな」

「アンタが来るまではご機嫌だったわよ。今日は客が来てるの。悪いけど、ゆっくり話している暇はないわ」

「おお、それはしょうがない。でも、この子たちの話だけは聞いてやってくれないだろうか。大事な用事みたいなんだ」

 海の竜は、そう言われてクオンとザクロに目をやった。

「あら? 子供? どうしてアンタ子供なんて……ああ、もう、こんなにひび割れて……。なにしたらこうなるわけ。もう。ダメじゃない」

「えっと、すみません、涙をわけてもらえないでしょうか」

「ええ。どんどん持ってきなさい。好きなだけあげる」

 ザクロが竜の角を差し出すと、海の竜は気前よく大きな雫を落とす。ザクロの手の中で、角が少しだけ重く、暖かくなった。

「お姉さん、どうしておじさんには冷たいのにクオンには優しいの?」

 ザクロが首を傾げている。クオンは、内心ため息をついた。それはどう考えても触れない方がいい話題だろうに、この兄ときたら。

 そう思ったが、答えは予想外のものだった。

「私は海の竜。清めの竜なの。不浄を清め、傷を癒す者。あなたたちは傷ついているけれど、そっちのやつは健康でしょう? だったら構う必要はないわ」

 なるほど。クオンが想像したような理由で冷たかったわけではないようだ。クオンは、邪推はするもんじゃないなと思った。

「なに? 俺が健康だと!? そんなはずはない。こんなに焦がれて胸が苦しいというのに!」

「どう見ても健康よ。それより、さっきも言ったけど、今日は客がいるの。私はもう帰るわね。あなたたちも来なさい あの人にも涙を分けてもらいましょう。……ああ、でも人間は入れないわね」

 来ている客というのは、どうやら竜らしい。これはついている。

「じゃあ、僕だけ行って来るよ。兄さんはこの辺で待ってて」

「えー、僕がいなくても大丈夫? 寂しくない?」

「大丈夫だよ」

「本当に? 本当に寂しくないの?」

「大丈夫だよ」

「本当かな〜? 嘘は良くないぞ〜?」

「おじさん、兄さんが一人じゃ寂しいようなので、僕が帰るまで預かっててもらえませんか?」

「心得た。俺の家は、ここから南の方にあるヤシの木の林の近くだ。そこで待っていよう」

「ちょっと、僕は別に寂しくないんだけど。僕はクオンを心配して言ってるんだよ!」

 ついて来なさい、と海の竜は身を翻して海に飛び込んだ。クオンもまだ何か言っているザクロを置いて、その後に続く。

 試しに水底に潜ってみたが、翼が水流を受けて意図しない方向になびいてしまう。この体は泳ぐのには向いていないようだ。諦めて水面へ上がり、犬のように足をばたつかせて泳ぐ。

 浜辺から見ていた海は青かったが、中に入ってみるとどこまでも澄んでいる。海底の小魚が、二匹の竜に驚いて逃げていく。

 竜は洞窟の奥へ向かう。洞窟の中は水が重苦しい。周りが閉ざされ、閉塞感があるせいだ。暗く狭い水の中は、クオンの不安を煽る。

 不意に、あたりが広くなった。だんだん海底が近づき、水が浅くなっていく。足が地面につき、首が水面に出た。

 そこは広い空間だった。天井がぽっかり空いていて、そこから暗くなり始めた空に星と月が浮かんでいるのが見える。

「おや、随分かわいいお連れさんだね。こんにちは」

「こんにちは」

 そこにいた竜は、ひどく醜かった。鱗はまだらに剥がれ落ち、残った鱗も黒ずんでいる。むき出しの肌は傷だらけで、傷口からは膿が滴っている。もともとは、女竜と同じく、蛇のようなしなやかな体だったのだろうが、骨は歪んで妙な方向に曲がり、背びれはボロボロで穴が空いている。

「この子がね、竜の涙を集めてるんですって」

 事情を聞いた醜い竜は、うーんと首をひねって考え込む。傾いた頭の上から、蟹の死骸が滑り落ちた。

「僕の涙は、やめておいたほうがいいと思うよ。この体は、穢れているから」


 ザクロは男の家で夕飯をご馳走になっていた。初めは「後でクオンと食べるから」と言って断っていたのだが、「クオン君もきっと彼女からご馳走してもらっているよ」と言われて、それならいいかと納得した。

 古くなって粉っぽい木のテーブルの上には、大きな焼き魚が出されている。お世辞にも上手に焼けているとは言えない。どんな焼き方をしたのか表面化黒くボロボロだ。焦げた匂いと、頭上に吊るされているランプの油っぽい匂いが混ざりあっている。

「簡単なもので悪いね。俺は、あんまり料理得意じゃなくてさ」

 魚が乗せられているのは、どう見ても手作りの素焼きの器だ。多分、この器はスープには使えないんだろうな、とザクロは思った。

「ううん。ありがとう。いただきます」

「おかわりもあるから、たくさんお食べ。食事は体づくりの基本だ。健全な精神は、健全な肉体に宿る。強くありたいのなら、たくさん食べないといけない。健康でないと、強くいられない」

 男は、魚を頭から、骨も物ともせずにバリバリと食べ、すぐさま調理場の方からもう一匹持って来た。ザクロが一口食べる間に、その魚も半分ほどなくなってしまう。

「おじさんはもう少し味わって食べたほうがいいと思うよ」

 たくましい顎が、臼のように大きく動き、口の中のものをすりつぶしている。

「君が食べるの遅いんじゃないか? 男の子なんだから、もう少しもりもり食べなさい」

「いいよ。あんまり大きくなっちゃうと、クオンが僕を乗せて飛べなくなっちゃう。おじさんは大きくなりたいの?」

「そうだな。俺はもう身長は伸びないけど、大きいってことは強いってことだからな。可能なら大きくなりたい。ザクロ君も、クオン君よりも大きく強くなって、彼が危ない時に助けてあげられたらかっこいいと思わないかい?」

「……確かに! それはかっこいいね!」

 ザクロは想像する。自分の体が大きく成長して、クオンよりも強くなる。強い体はありとあらゆるものを弾く。例えば大きくて凶暴で意地悪な竜にクオンがいじめられた時、自分の力で助けてやれる。悪くない。

 大きくなることと、竜になること。実はそんなに違わないんじゃないかと思う。

「おじさんはね、強くなりたいんだ。海流に遮られることなく泳ぎ、砂浜に足を取られずに走り、サメにもクジラにも負けない。嵐や大波にだって攫われたりしない。そういう男になりたいんだ。負けず嫌いなんだよ、俺は」

 男は二匹目の魚を食べ終え、今度はさっきヤシの木から取って来た木の実に手を伸ばした。

「ふーん、変なの。嵐や波は、おじさんと戦おうなんて思ってもいないよ。なのにどうして負けたくないのさ」

「なんでだろうなぁ。でもね、勝てないと嫌だっていうわけでもないんだ。僕は彼女に、絶対勝てない。でも、それでいいと思ってる」

「ますますわからないよ。おじさんはお姉さんみたいになりたいんでしょう? 負けたくないから強くなりたいのに、どうしてお姉さんはいいの?」

 うーん、と男はうなる。唸りながらゴリゴリと骨を噛み砕き、飲み込んだが次を口に入れようとはしない。

「昔ね、この近くに人食いザメが出たんだ。俺二人分より大きいかな。船の底を叩き壊し、漁師を食い殺して回っていた。俺はそいつを退治しようと躍起になった。サメに勝てたらかっこいいだろう? それで、後一歩というところまで追い詰めた。でも殺せなかった」

「どうして?」

「彼女に止められたのさ。彼女はサメを沖へ逃がし、俺も手当てしてくれた。彼女は傷ついたものの味方だから。いつもの俺なら、彼女に決闘を申し込んだだろう。俺のモリを弾いた尻尾に、サメの歯をものともしなかった鱗に、打ち勝ちたいと願っただろう。でも不思議と、そういう気は起きなかった。憧れてしまったんだろうな」

「ふーん」

 いつもと違う考えが浮かぶのなんて、よくあることだ。どれだけ楽しみにとっておいたおやつでも、いざ食べようという気になったらそれほど食欲をそそらなかったり、まあいいかと思ってクオンにおもちゃを譲ったことを後悔したり。

「そういうもんだと思うよ。ずっと同じでいられる人なんかいない」

「そうだな。自分の思っていることって、意外とよくわからない」

 男は再び、魚の身を口に含んだ。今度は少しだけ、よく噛んで食べている。そういえば、とザクロは男に尋ねた。

「クオンが会いに行ったもう一人の竜ってどんな竜なの?」

 喉が動いた。ただものを飲み込んだというよりは、筋肉が引き攣ったように見える。

「俺、アイツ嫌いなんだ」

「へえ、なんで?」

「竜のくせに俺より弱いんだよ。そのくせ、いつもヘラヘラ笑っていやがる」

 ザクロは首をかしげた。竜とは強大な力を誇るものだ。まだ子供であるクオンでさえ、その気になればきっと街の一つや二つ焼き払えるだろう。ザクロ達が住んでいた街のお城だって、きっとひとたまりもない。それなのに、この男より弱いとは。

「傷だらけでボロボロで、いつも死ぬ寸前みたいな奴なんだ。どうやら、そろそろ本当に死ぬらしい」


 竜たちは洞窟に流れ着いた鯨を食べている。二人が屍肉に牙を突き立てるのを見て、クオンもそれにならう。生臭い血の匂いと、鉄の味。それから染み込んだ塩の味がした。

「君はお兄さんをどう思っているのかな」

 醜い竜が言った。肉を噛むたびに歯茎からは血が滲み、黒く穴だらけの歯がぐらつく。

「ついてこなくても良かったのにって思います。何もできないくせに。何も関係ないくせに首を突っ込んできて……あのまま家にいれば良かったのに」

「クオン君、それはいけない。その考えは、自らを孤独に追い込んでいくよ」

 ふう、と一息ついて醜い竜は横になった。

「あら? もういらないの?」

「いいんだ。僕はそろそろいなくなるから」

「もう帰るんですか?」

「いいや、死ぬんだ。見てごらん、掃除屋が来た」

 異様に膨れた腹が、呼吸に合わせて上下している。その上を、たくさんの足がついた虫が這い回る。

「そう、もうダメなのね」

 ポタポタと、女竜の涙が醜い竜の体を濡らす。涙に混じって膿が流れ出し、砂浜を汚す。

「この腹にはたくさんの呪いが詰まっている。海とは全てを産み出し、全てを受け入れるもの。僕たちは海の化身。竜はいつも、自然と共にある」

 竜の口から漏れる息が、かすれ始めた。ただ呼吸をするのにも、体全体を使わないとままならないらしい。

「僕は全てを受け入れるもの。全てのものは、長い年月を経て海に流れ着く。全て最後は僕のところにやってくる。気をつけてクオン君。君の行く先には、大きな呪いがあるだろう。そのかけらが、僕のところに流れて来た。竜を求める限り、きっと君はそこにたどり着く」

 雲の隙間から、さっと月明かりが差し込み、三人を照らした。

「一つ心残りがあるとすれば、君を一人にしてしまうことかな」

「大丈夫、私は一人でも生きていけるわ」

「いけない。孤独な心は、深海の闇より暗い。彼なんかいいと思ったんだけどね」

「なんでよ。あの筋肉バカに見込みがあるっていうの?」

 苦しげに歪んでいた竜の口元が、クッと上がった。笑っているようだ。

「彼はとても強いからね。少なくとも、強くあろうとしている」

 ザパン、と場違いな水音がした。穏やかな波打ち際から、男がザブザブと上がってくる。

「ああ、来てくれると思ったよ」

「ザクロ君に絶対に行ったほうがいいって……ザクロ君? おかしいな、一緒に来たはずなんだけど」

「バカ! 夜の海に子供を入れるとか何考えてんの!」

 身を翻し、海の竜は波をかき分けていく。そしてすぐに、ザクロを口にくわえて帰って来た。ザクロは砂浜に手をついて、激しく咳き込みながら飲み込んだ水を吐き出している。

「ゲホッ、カハッ、死ぬかと思った」

「なんで泳げないのにそういうことするかな」

「いける気がして」

「バカじゃないの」

 男は、醜い竜をじっと見て、立ち尽くしている。

「……もう長くないのか」

「うん。朝まではもたない。僕の宝石を君に託したいんだけど、受け取ってくれないかな」

「俺はお前みたいに強くない」

「大丈夫さ。きっと大丈夫」

 二人の様子を、女竜はじっと見つめている。流石に空気を読んだらしく、ザクロは小声で尋ねた。

「宝石を託すって?」

「竜の宝石は見たことあるかしら? あれを死ぬ間際の竜に託された者は、竜になるの」

「良かったじゃん。おじさん、竜になりたがってたんだし」

「でもアイツ、この前頼まれた時は断ったのよ。まあ、あんなにボロボロになるのがわかってて、すんなり受け取りはしないわよね」

 潮騒が近い。

 男は、竜のそばにひざまづいた。

「お前はいつでもボロボロだな」

「そういう生き物だからね」

「きっと、俺でもその脆い骨を折れるだろう」

「そうだ。やってみるかい?」

「なのに、お前にはかなわないんだ。そんなに傷だらけで、どうして君は笑えるんだ」

「君にもいつかわかる。この身に流れてくるのは、なにも悪いものだけじゃない」

「……やってやるさ。これは、お前に挑む勝負だ。俺だって、お前みたいになってやる。お前みたいに笑ってやる」

「ああ、どうか頑張って」

 塵が潮風に吹き散らされるように、竜の姿が消えていく。竜が元いたところには、藍色の宝石が落ちていた。夜明け前の空のような、丸い石だ。夜空の星を写して、静かに輝いている。

「今日からはあなたが、海の竜の片割れなのね」

「ああ。あの世で奴が悔しがるくらい、君を大切にするよ」

 ああ、そうだ。と男が呟いた。

「噂程度なんだが、この向こうに竜が住んでいるって聞いたよ。ここからずっとまっすぐ、北極星に向かって飛んでいくと、氷の山がある。そこに、竜が住んでいるそうだ。それから、隣町に人間に化けてる竜がいるって話も聞いたな。頑張って」

 一歩一歩、男は海に近づいていく。どんどん歩いて行って、膝、腰、肩まで水に沈み、ついには頭も見えなくなった。

 水の下で、大きなものが動いた。水面が大きく揺れる。

「じゃあ、頑張るのよ。良い波があなた達を運びますように」

 海の竜は、二匹揃って沖へと泳いで行った。背びれが二つ、波を割いて進んでいく。

「行ったね」

「うん。次は、どこに行こうか」

 クオンはザクロを背に乗せて羽ばたいた。天井に開いた穴から飛び立つ。星空が近づいてくる。

火山に行く→3へ

氷山へ行く→6へ

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