Morning & Night/See You
Morning & Night/See You-1
何が起こったのか、誰にもわからなかった。ただ、全員の眼前から、ヒカルが消えた。
手を伸ばしたアキが、その場に倒れこむ。
「いやーーーー!!」
叫び、顔を覆った。誰もそれに声を掛けることができない。
呆然とした六人が、それぞれに顔を見合わせる。誰もが、動くことが出来ない。
最初に動いたのは、ヤスユキとシンジロウだった。
ゆっくりと歩み寄り、窓の縁に立つ。下の地面を見下ろした。だが、ヒカルの姿はない。首を傾げ、ふたりで見詰め合った。
「落ちた、よな?」
「……瓦礫の中に、埋もれた、のかもしれない……」
頷きあい、扉へと駆け出した。ふたりが、外へと走っていく。それを見送って、やっとアラタが動き出し、改めて外を見た。
地表が見えるのはビルに近い辺りだけで、確かにビルには瓦礫の山が迫っている。しかし、そんなに飛んだだろうか。地面に跳ねたのか。
そこではた、と気がついた。
――地面とぶつかった音はしたか?
アラタが振り返ると、シズカが見ていた。心なしか顔が青い。だがその顔は、彼も気がついたようだった。
「なあ、下の階って、ここと同じような感じなのか?」
「ああ」
ふたりは視線を交わし、走り出した。
残されたアキは倒れたまま、トオルも呆然としつつ、そのアキの元へ歩み寄った。
「アキ……」
しかし、掛ける言葉が見つからない。ふたりが途方に暮れる中、後ろでマキがどすん、と床に座り込んだ。マキも、どこを見ているかわからない視線で、外を眺めている。
トオルがその音に振り返り、眉根を寄せる。
「ねえ」
マキに声を掛けたのだが、気がつく様子はない。トオルはマキへと近づき、手を拾い上げた。そして、矯めつ眇めつ見る。
「やっぱり……」
その言葉に、やっとマキが顔を上げた。その顔を見て、トオルが訊ねる。
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