Evening/Good bye-12


「そこのふたりが、グルだったのか……」

 アラタが呟く。ふたりは驚いたようにアラタを見た後、顔を正面に向けた。そこにはシュウが馴れ馴れしく振舞っている、小太りで坊主頭の男が立っている。

「そんな馬鹿な!」

 マキが叫ぶが、シンジロウが怒りの籠もった厳しい目つきで、ふたりを睨みつけた。

「……なるほど、それで、足音の件も、説明がつく……」

「それに、今までのことも全部、な」

「どういうこと?」

 マキがアラタに顔を向けた。アラタは鋭い目でふたりを見つめながら応える。

「偶然にしては出来過ぎてただろ。あいつの写真が落ちてたり、捕まったのに簡単に放り出されたり。よくよく考えてみれば、まずあいつに見つかったのだって、シュウの所為かもしれない」

「そんな……でも……」

 マキが頭を抱えるが、シュウは笑って九頭の後ろに隠れるばかりだった。

「応えろよ。全部そいつに指図されてやったことなんだろ? 目的は俺たちを弄ぶことか? それとも、そっちのそいつらを炙り出すことか?」

 だが九頭も、シュウも、何の反応も示さない。

「応えろよ!」

 アラタがコンクリートを踏みつける。大きな音が、フロアに響き渡った。その音で、一瞬の沈黙が訪れる。

 そして、ついに九頭が、口を開いた。

「惜しいが、違う」

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