(All)Night/6-2

 マキは電柱の影に蹲りながら、パソコンを開いたりケータイを見たりしながら、それとなく情報収集を続けている。

 登校する生徒はまだおらず、正門前に居る怪しい彼の姿に注目する人間もいなかった。

 暫し、閑静な住宅街を暖かな陽射しが照らし、時折聴こえる鳥の声が癒しを加える。

 マキは空を見上げ、目を細めると、電柱に寄り添って目を瞑った。

「兄ちゃん……」

 そう、小さく呟く。

 その時、遠くから何やら声が聴こえた気がした。目を薄っすらと開けながら、声のした方に顔を向ける。東側だった。

「……ぉーい……ぉーぃ……」

 どうやら、シュウのようだ。マキは目を擦りながら、ケータイでふたりに連絡をとる。メッセージに既読がつくのを確認すると、マキは立ち上がってふらふらと声のほうに向かった。

「おーい」

 遠慮がちながら、声を上げていたのは、やはりシュウだった。

「どうしたの? もういいよ。ふたりにはメッセージ送っといた」

「あ、ありがと。あれ、三人LINE交換したの?」

「ううん。さっき報告まとめろ、ってアラタに言われたから、パソコンでちょちょいと探して勝手に登録し。シュウだけわかんなかったんだけど、まあ結果オーライで。無様に声をひっそり上げさせて、ごめんね」

「何その無様って」

 ふたりが言い合っているところで、アラタとシンジロウが姿を現した。

「……どうした」

「驚いた。急にメッセージ来るから。で、何か見つかったのか?」

 息を切らすふたりに、シュウが気がつき、神妙な顔になると、「こっち」と手招きをして三人を呼んだ。

 そこは、住宅街の路地を少し入り、三叉路となる角に建ったビルの駐車場だった。一階部分がない代わりに、駐車場になっている形だ。

 その中に入り、辺りを見回す。

「ここが、どうした?」

 アラタが言うと、シュウは頷き、後方を指差した。

「……ほう」

 シンジロウが、思わず呟く。そこは、坂の上にあるが故、そして丁度目前に建物がないので、市街が一望できた。

「へえ、これはいい景色だね。でも、それで?」

 マキもふらつく頭を支えながら、再びシュウを振り向くと、シュウは一枚の写真を手にしていた。

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