Morning/6-6

少し読み進めた後、口を開いた。

「これは、最近のものかもしれない」

「なんで?」

 トオルが、下から首を傾げる。

「まず、干からびてないだろ? さっきのコンドームを見てみろよ。ここは吹き晒しで雨も入り込むだろうに、これは古びてるけど、しっかりと糊付けも生きてて、まだ読める。それに、普通長く保存されていたら焼けるもんだけど、これは焼けてない。最近でも、何度も捲られてる証拠だ」

「ヒカル、本とか読んでたっけ?」

 トオルが、ぽつりと呟いた。他の三人も、首を傾げる。それぞれに、そのようなシーンを思い出そうとしているのかもしれない。

「あまり、そんな記憶はないけど、でも、誰かは、確実に最近ここに来ている。ここを張る価値は、あるんじゃないかな」

 シズカの言葉に、四人はそれぞれ、視線を合わせた。

「やるか」

「じゃあ、放課後だね」

 ヤスユキとトオルが、口元を引き締める。

「もしかしたら、朝以外で集まるのは初めてかもね」

 シズカが少しおかしそうに笑った。

「じゃあ、放課後に」

 アキが、真っすぐ前を見据えて、言った。三人が同じ方向を見て、頷く。

 同じ視線の先に、太陽が赤々と昇り始めていた。

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